読んだ本とか、漫画とか、映画とか、色々

王子に求婚された貧乏男爵令嬢オフィーリア。舞い上がっていたところを襲撃され逃げきったものの、気づけば女神のような美貌は平凡顔に変わっていて!?
襲撃者の目的がわからないまま、幼馴染の伯爵ウィリアムの所属する騎士団のまかない係として身分を隠して働くことにしたけれど……。
この美貌で弟の学費は私が稼いでみせる! ――はずだったのに、どうしてこんなことに!? 雑草のようなパワフル令嬢が織りなす、変身ラブファンタジー!(Amazonより)
面白かった! 弟と二人で暮らす貧乏男爵令嬢のオフィーリア。祖父譲りの美貌の持ち主の彼女はなんと王弟殿下から求婚された。幼馴染に報告しようとしたところで賊に襲われ、逃げ切ったら、何故か魔女と呼ばれた祖母の若い頃そっくりに変わっていた。
ささいな会話に登場人物の人柄が見えて楽しいのと、設定の活かし方が抜群なのと、エピソードの連なりがとても綺麗でまとまっていて、しみじみと面白いな……と思いました。
ただ残念なのは、これタイトルで損してると思うんですよ。雑草らしいたくましさよりも、まかない係というところよりも、魔法と勤労を押し出した方がよかったと思うんです。騎士団の厨房で働くところ、めちゃくちゃ面白かったので!
フィーがとても好感の持てる女の子なんですよね。サボり連中に啖呵を着るところ、めちゃくちゃかっこよかったし、潜伏中働いているときの彼女の人間関係の作り方になんていい子なのだろうと思いました。
なのでウィリアムはもうちょっとそういう彼女をちゃんと褒めてぐいぐいいってほしかった笑 けれどウィリアムのお坊ちゃんっぽい感じは育ちの良さを感じて好感を抱きました。仕事ができるけれど普段は爪を隠している感じ、好きです。
PR

花の女神を信奉するフローリエン王国で、初の女性庭師になった少女ニーナ。彼女は十六歳の誕生日を迎えた日、運命の再会を果たした。それは、幼いころに彼女を育て、忽然と姿を消した青年イオ。彼が現れたことを喜ぶニーナだったけれど――。あなたが悪魔だなんて、信じられない!? それに専属庭師として契約しろってどういうこと? 花しか食べられない悪魔から契約を迫られる少女と、彼女を手に入れたい悪魔のラブファンタジー。(Amazonより)
初の女性庭師となったニーナは元は孤児で、イオと名乗る「自称悪魔」の青年と暮らしていた過去があった。そのイオが当時と変わらない姿で現れたが、実は彼は本物の悪魔。花を食べることで飢えを満たす彼と仮契約したニーナだったが、悪魔が起こしたと思しき事件が発生して。
しっとりめのファンタジーだと思い込んで読んだら全然違った。ニーナはだいぶと活発で、ちょっと子どもっぽい。イオも威厳があるというよりは親しみのある性格。ふわっとした読み心地で思っていた以上に若い層向けだった気がするのですが、庭師の設定や、天使と悪魔が絡んでくるストーリーが「遠いどこかの国」感が出ていてよかった。
ただ会話における「っ」の多用と地の文の一人称の軽さが気になるかな……。せっかくの設定だったのでもうちょっとお仕事感のあるエピソードを読んでみたかったです。

伝説の暗殺者「人斬り抜刀斎」だった緋村剣心はいまは不殺の誓いを立て、旅をしながら人を守り助ける日々を送っていた。そこで根拠のない噂で門下生を失った神谷活心流の師範代の少女・薫と出会う。神谷道場に居つくことになった剣心はやがて新型阿片の密売と抜刀斎を名乗る辻斬りの二つの事件に関わることになり……。
実は原作をちゃんと読んだことがない。ないながらも再現度高いんじゃないかと思わせる良き時代劇だと思います。わかりやすいって大事。アクションシーンはかっこよく(……一部「んん?」と思うところはありますが笑)、明治らしい和と洋が入り混じった風景がまたいい。好きなやつです。色濃く残る幕末の気配が、殺し合いと不殺の間で揺れる剣心の心をうまく表しているなあ、などと思いました。
そして調べてみたら結構超大作なんですね。しかも最終章は2021年公開か。気になるなあ。

奨学金を目当てにカトリック系の学校に入ったキャスリーンは、次第に神への恋心を抱くようになった。ついにはシスターを志し、神の花嫁となるべく修練に励む。ときは1960年代。現代にまで影響を及ぼす第2バチカン公会議が遂行されようとしていた。
不仲な両親のもとに育った少女がシスターを目指すも、ハラスメントと取れる厳格な指導、過度な献身、自己犠牲に苦しみ、やがて訪れる修道女の立場が大きく失墜する出来事を経てなおもキリストの花嫁を目指す。結構扇情的なあおりがつけられているんですけれども中身はかなり真面目な、修道女になる道、という感じの内容。何を愛し、何を罪とし、罰を受けるか。己を厳しく律する少女や女性たちの揺らぎを描いた作品で、めちゃくちゃ好きなやつでした。
いやしかし予想していた展開にならなくてよかった……閉鎖的な空間における性犯罪みたいな内容を想像して怖かったんですが、ストイックかつ繊細で美しく、悲しくもほのかな熱を宿す余韻のある作品だった。もう一つのエンディングがある方が個人的には好きです。世の無常さと信仰の揺らぎを感じるから。

恋人の聡実が眠り続ける病気にかかってしまった。数時間が数日、数週間、数か月、数年と、眠り続ける時間がながくなる。眠りながら老いていく彼女を主人公は見守り続けるのだが――。表題作を含む、著者渾身の短編集(Amazonより)
眠り続ける病を患った彼女のそばにあり続けた彼の話。「眠り姫」。
使用人を人とも思わない所業で暴行された少女は、美しい男と出会う。男はまるで最初から存在していたかのように事実を捻じ曲げる力を持っていて。ダークファンタジー「汝、信心深きものなれば」。
架空の小説の感想文が受賞したのをきっかけに図書館司書の女性と親しくなる「さよなら、アーカイブ」。
すべてが水に飲み込まれた世界で生きる中、リーダーの死をめぐる「水たちがあばれる」。
ヤクザから仕事の下請けをするようになってしまった探偵・真木の三つの事件。「探偵真木」シリーズ。
2004年に富士見ファンタジア文庫で出たのかこれが。仄暗いところを描きつつも、肩の力を抜くような会話の軽妙さとか、一方で息が浅くなるような臨場感とか。切なくて懐かしいような感じとか。いまでいうライト文芸と変わらないような密度の高い短編集で、とてもよかった。




