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読んだ本とか、漫画とか、映画とか、色々
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冬のオペラ (中公文庫)
名探偵はなるのではない、存在であり意志である——勤め先の二階に事務所を構えた名探偵巫弓彦に出会ったわたし・姫宮あゆみは”真実が見えてしまう”彼の記録者を志願した……。猛暑の下町、雨の上野、雪の京都で二人が遭遇した、哀しくも残酷な三つの事件。(裏表紙より)

「三角の水」「蘭と韋駄天」「冬のオペラ」、三つの中短編集。
主人公が若いというのがいい。時々挟まるかっこで括られた注釈も可愛く感じる。
人間関係の醜さというものがよく描かれるのでもやもやと嫌な気持ちになって、私は本でそういうことに出会うと食い掛かったり殴りかかったりしたくなる……のは他人事だからだろう。
巫先生は渋い感じのおじさまみたいなんだが、どうも言っていることを見ると若いような印象を受ける。「〜ですな」とかは渋いが。
最後の事件はとても哀しかった。少し何かが違っていれば、椿さんは殺人犯にならずに済んだだろうに。裁かれるのは別の人間のはずだった。多分、そういうずれが起こってしまうのが犯罪なんだろう。
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騎士の系譜  フェンネル大陸偽王伝 (講談社ノベルス)
愛する兄の裏切り、投獄、国外追放——悲しき過去を持つ13歳の王女・フェンベルクはソルド王国にたどり着き、騎士見習いの少年・ロカと出会った。親友になった二人はある日、国立蔵書館へ。だがそこで国を揺るがすある計画を偶然耳にしてしまい、二人は命を狙われることに! 高里椎奈の王道ファンタジー第2弾!(裏表紙より)

旅の始まり。この本はまだ重いテーマが感じられなくて、旅行記や騒動記を見ているような感じがある。間を空けて発行してそれをリアルタイムで読んでいるのなら、面白いと思う。でも一気に読むと軽く感じられてしまう。
ところでロカはフェンが女の子だと知らないんだろうか。弟みたいと言ったけれど。
カティアが話さなければならないことというのも気になる。フェンの出自関係か。
孤狼と月 フェンネル大陸 偽王伝 (講談社ノベルス)
大陸の東端に位置するストライフ王国。幼くして指揮官に就いたフェンベルクは、悪鬼を従える獣兵師団を率いて外敵を打ち払い、順調に戦果を上げていた。しかし不意に舞い込んだ凶報が、次第に彼女を奈落の底へと導いて行く。投獄、国外追放、失意の果てに見た真実とは……。夜明けを目指す、王道ファンタジー第1弾!(裏表紙より)

物語の導入といった感じの一冊。フェンベルクがどういう人間かが描かれる。
テオに買われてから、フェンが歩き始めたことに驚いた。普通失意の底にあって家の中でぼんやりしていそうなのに。それがフェンの心の強さなんだろうか。
フェンの戦術的な能力と、普段の無知さが対照的で、読んでいるとメリハリが利いていて面白い。
ユイジーンはこの先関わってくるのだろうか。それともこのシリーズは国と登場人物が過ぎ去っていくものなんだろうか。読者も旅するような感覚。
この本は、情勢、周辺、人物の描写が細かくて、読んでいてしっかり書いているなあと尊敬する。
イーシャの舟 (ソノラマ文庫)
天邪鬼伝説が残る『入らずの山』に、産業廃棄物処理場が作られることになった。ある満月の夜、その建設現場の近くをライトバンで通りかかった宮脇年輝は、側溝にポルシェを脱輪させ立ち往生している美女・加賀山和美を助けた。和美の目の前で五トンもの車体を軽々と持ち上げる年輝——それを見た和美は、すがる思いで年輝にある頼み事をする。その結果、年輝は峠の天邪鬼に取り憑かれてしまうハメに——!? ファン切望の名作が大幅な加筆の上、転生!!(裏表紙より)

SFというより現代ファンタジー、それもほのぼのの色が強い。
ちょっと物足りない印象。天邪鬼との生活は良かったけれど在り来たりでもある。もうちょっと大きな事件とかときめきが欲しかった。例えば、イーシャがもう少し大きく成長する、とか。イーシャと年輝には子供と大人の関係しかなくて。
マルドゥック・スクランブル―The Third Exhaust 排気 (ハヤカワ文庫JA)
科学技術発祥の地”楽園”を訪れたバロットが知ったのは、シェルの犯罪を裏付ける記憶データが、カジノに保管された4つの100万ドルチップ内に存在するという事実だった。チップを合法的に入手すべくポーカー、ルーレットを制していくバロット。ウフコック奪還を渇望するボイルドという虚無が迫るなか、最後の勝負ブラックジャックに臨んだ彼女は、ついに最強のディーラーと対峙する——喪失と安息、そして超克の完結篇(裏表紙より)

アシュレイとのブラックジャックは多分現実的には有り得ないんだろうが、もし本物の戦闘として引き分けになり続け、傷を負いながら勝利を目指していると考えると面白いかもしれない。
シェルが来て、バロットがチップをわざと返していくのは、ダークヒーロー的。こんないやらしく返す主人公なんて滅多にいないだろうなと思う。
初読時は、ラストにウフコックが死んでしまったんだと思っていた。だが、今よく読んでみると、ボイルドに奪われた銃にはウフコックはいなくて、バロットの突き出した右手にウフコックがいた。そして最後に引き金のない銃になっている。スーツに干渉して「今度こそ本当に、もぬけの殻だった」とあるように、ボイルドには奪われてなかったのかと。本当私は濫用されかけて死んだのだと思っていた。
バロットとボイルドの差は、自らを委ねる事が出来たかどうかにあるのではないかと思う。ヴェロシティを読んでしまったら、ボイルドがただウフコックを使いたかっただけという理由が薄く感じられるけれど、ボイルドはウフコックの感情を読みとる能力を恐れてもいた。でもバロットは恐れなかった。ふと思った。一度死んだ者と生き続ける者の差というもの。
ボイルドはこの戦いの後、本懐を遂げる。それが本当のこの物語の終わり。
マルドゥック・スクランブル―The Second Combustion 燃焼 (ハヤカワ文庫JA)
緊急事態において科学技術の使用が許可されるスクランブル—09。人工皮膚をまとって再生したバロットにとって、ボイルドが放った5人の襲撃者も敵ではなかった。ウフコックが変身(ターン)した銃を手に、驚異的な空間認識力と正確無比な射撃で相手を仕留めていくバロット。その表情には、強大な力への陶酔があった。やがて濫用されたウフコックが彼女の手から乖離した刹那、ボイルドの圧倒的な銃撃が眼前に迫る——緊迫の第2巻!(裏表紙より)

ウフコックは濫用されてもバロットを離れなかったという所に、彼自身も心が成長している事が窺える。ボイルドたちが去ってしまった後の《楽園》は、更に進化しているようだ。人々は脳内で会話する。チャールズ博士は首だけになっている。ボイルドを駆り立てているのは好奇心だとチャールズ博士は言う。
トゥイーたちがまた来てと言うのと、ベル・ウィングが会いに来てくれと言うのと、二つの誘いがあるけれど、バロットはどちらの誘いも行けなさそうという感じがする。
袂を分かつきっかけになった事件の説明が、ヴェロシティとはちょっと違う。少女を保護したのをイースターも確認している事になっているような。その後車に戻って射殺したとあるけれど、確かそのまま車に閉じ込めたままだったような。
カジノの勝負を勝っていくのはわくわくするが、私にはまだバロットが戦っている感じがしない。
マルドゥック・スクランブル―The First Compression 圧縮 (ハヤカワ文庫JA)
なぜ、私なの?——賭博師シェルの奸計により、少女娼婦バロットの叫びは爆炎のなかに消えた。瀕死の彼女を救ったのは、委任事件担当官にしてネズミ型万能兵器のウフコックだった。高度な電子干渉能力得て蘇生したバロットはシェルの犯罪を追うが、その眼前に敵方の担当官ボイルドが立ち塞がる。それは、かつてウフコックを濫用し、殺戮のかぎりを尽くした男だった……弾丸のごとき激情が炸裂するシリーズ全3巻発動!(裏表紙より)

ヴェロシティのエピローグ直前。主人公はルーン・バロットという少女娼婦。なぜ自分なのかと問う事を許されていくまでの物語、と思った。ヴェロシティは虚無、スクランブルは魂の再生というのはヴェロシティ三巻の帯の文句。
相棒となっていくバロットとウフコックの過程が上手く描かれていると思う。バロットが超人的な力を手に入れる所も気持ちいいが、諫めてくれるウフコックの存在がきいていて良い感じ。畜産業者との戦闘はやはり手に汗握るが、ヴェロシティのように研ぎ澄まされた感覚がないように思う。冲方丁は進化しているんだなと思う。
オクトーバー社の作った人物、が仲間にいる事が書かれているが誰? と思った。ここでは創設者というわけではなくて、現在の腐敗に至らせた人物と見るのが、ヴェロシティを読んだ人間としての正しい認識の仕方だろうか。


「はるかな空の東―クリスタライアの伝説」

ナルはどこか異国の顔立ちの小学生。不思議な家族と暮らしている。ナルはよく夢を見た。自分とそっくりの少女と閉じ込められた塔の一室で会話する夢。そして耳に残るオルゴールのメロディー。そうしてある日叔母ハヤミから貰った「小鳥の言葉がわかる石」をきっかけに、家族たちが話している異国の言葉を理解し、自分の世界の存在を知る。夢の中の少女が自ら死に至ろうとした時、ナルは自分の元の世界に立っていた。

一番好きな児童文学。これが私のルーツかもしれない。十の紋章と神々と歌い手。設定だけでわくわくさせてくれる。自分が趣味でも物を書くようになった今では、三点リーダの数などが気になってしまうんだけれど。
私はナルが主人公だと思っているんですが、ある意味ハヤミも主人公と言えるかもしれません。
ナルの「自分は悪い子だから」。トオヤの「自分は可愛くない子だから」。それぞれに子どもで、でもだからこそ重い悩み。ハヤミの力の無さに苛まれる気持ちもよく分かる。
サフィアとトオヤ、サフィアとハヤミ、サフィアとサーヤ。それぞれ対立しあって面白い。トオヤの場合、千年の王と邪神の化身という対立。ハヤミの場合、力の強い魔術師と持たない魔術師。サーヤの場合、祝福されぬ者と祝福された者(神々の祝福という点ではそれぞれの祝福と言えるかも)
サーヤの立ち位置が昔からすごく好きだった。強さと弱さの中間にいる感じがしたからかも。本当は一番弱い人で、だから紋章を受け継いだように思う。そしてナルもそれに続くから、ハヤミと旅立つんだと思う。
続編を待ち望んでいる作品。この大陸でお話が続いて欲しいな。
恩田陸「Q&A」
三崎亜紀「となり町戦争」
定金伸治「ジハード」1・2・3・4・5・6
神林長平「戦闘妖精雪風〈改〉」
村山早紀「はるかな空の東―クリスタライアの伝説―」
冲方丁「マルドゥック・ヴェロシティ」1・2
マルドゥック・ヴェロシティ 3 (ハヤカワ文庫JA)
ギャングの世代間抗争に端を発した拷問殺人の背後には、闇の軍属カトル・カールの存在があった。ボイルドらの熾烈な戦いと捜査により保護拘束されたナタリアの証言が明らかにしたのは、労組対立を利用して権力拡大を狙うオクトーバー一族の影だった。ついに牙を剥いた都市システムにより、一人また一人と命を落としていく09メンバーたち。そしてボイルドもまた、大いなる虚無へと加速しつつあった——暗黒と失墜の完結編。(裏表紙より)

ヴェロシティは虚無の物語。虚無に呑み込まれてしまった絶望の人の物語。
カトル・カールによってメンバーが欠けた事が虚無への入り口。あるいはオードリーの殺害。もしくはボイルドの友軍爆撃。全ての虚無は最初から仕組まれて、ボイルドを突き落とした——もしくはその道を歩む事を選ばせた。
これほど報われないというのもすごいと思う。この巻のクルツの裏切り、オセロットの死、ジョーイ、ワイズ、ラナ。ナタリアまでが亡くなり、イースターとウフコックだけが残された。いや、子どももいた。ただシザースという人間とは別の存在として。
スクランブルのラストから続くエピローグ。愛した女と同じ最後を遂げた。肉体は残さずに吹き飛ぶ。自分が犯した爆撃の時と同じ言葉を、シザースとして意識を共有していたワン・アイド・モスが叫ぶ。「おお、炸裂よ!(エクスプロード)」
スクランブルを次に読みたい。虚無へと至ってしまったボイルドの心情がきっとよく分かるだろう。
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Author:月子
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