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ブロア物語―黄金の海の守護天使 (講談社X文庫―ホワイトハート)
 強国に挾まれ悩むブロア領主アスラン、政略結婚から逃げ出すその妹レイチェル、領主に恋するがゆえに別の男に体を許してしまう待女ジェシカ、騎士になれない体に苦悩する若きフランス王フィリップ、身分を捨て自由に生きる吟遊詩人ブラン。
 強い者が正義であった時代、若者たちは、運命に逆らい、本当の愛を模索していた。
 十二世紀のフランス、豊かなブロアの大地に、熱い青春の伝説が語り継がれる。(カバー折り返しより)

面白かった! 同じ作者さんの『マリア』に比べてロマンス分よりも、もっとこう、生きる喜びを探しているような物語でした。多いに悩み、苦しみ、見つけ出す、そういう力強さが、純粋な少女レイチェルや王であるフィリップ、対極にあるどの人物にも見受けられた気がして、とても清々しかった。
レイチェルは姫育ちなので、戦がどうとか政治がどうとか考えていないし、天使として愛されていると描写されています。そこに引っかかりを覚えるかもしれないし、愛されてるなあと思う人もいるかもしれない。私は半々でした。レイチェルのずれた言動にはらはらもしたし、けれどそれが無邪気でかわいらしいなあとも思う。それでも、アーロウの奇跡は素晴らしいと思いました。愛とか恋とかではなく、生きることを選び取ったように感じたからかもしれません。
レイチェルをさらったリチャードが彼女に何をしたのか、さらっと一行で書かれていますが、はっきり書ききったこともすごいなあと思いました。
面白かった!
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