読んだ本とか、漫画とか、映画とか、色々

大みそかの夜、ユカが目をさますと、12本のクレヨンたちが会議をひらいていた。クレヨン王国の王さまが、王妃のわるいくせがなおらないうちはかえらない、といってゆくえをくらましたのだ。おどろいた王妃は、ユカといっしょに王さまをさがしもとめて、ふしぎな旅に出る。(裏表紙より)
なんだか読みたくなって読んでみた。
12ヶ月の街を回る冒険もの。大人と子どもの旅、だけれど、王妃は本当に子どもみたいで、仲良しの友達と一緒に冒険しているみたい。思いがけない出来事に出会ったり、知恵を使ったり、とても楽しかった。最後のがいこつとの戦いは、どきどきしながら読んだ。あそこで王様が活躍するのは反則! 王妃もかっこよかった!
夢が冒険の入口だったけど、物語が夢オチらしくないのも、とても素敵だった。
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青い田園が広がる東北の農村の旧家槙村家にあの一族が訪れた。他人の記憶や感情をそのまま受け入れるちから、未来を予知するちから……、不思議な能力を持つという常野一族。槙村家の末娘聡子様とお話相手の峰子の周りには、平和で優しさにあふれた空気が満ちていたが、20世紀という新しい時代が、何かを少しずつ変えていく。今を懸命に生きる人々。懐かしい風景。待望の切なさと感動の長編。(裏表紙より)
再読。一回目は単行本で読んだ。文庫の方が表紙が綺麗で好き。常野物語のフォントが好きだ。
「にゅう・せんちゅりぃ」の訪れた日本の、ある地方での出来事を、峰子が語り手として語る。文章の穏やかさが、更に世界を穏やかに見せるのだけれど、みんながそれぞれ感じている暗闇はひたひたと、国を覆い尽くす影として膨らみ始めているのが、現代の私たちには分かる。
常野一族のテーマを、私は勝手に時間だと思っているのだけれど、これもやっぱり時間の物語かなと思う。この物語では時間というものが、美術として表現されていると思うのだ。そして、どこか、新しい未来へ向かわなければならない時代に、常野は現れている感じがする。
恩田陸さんの『少女』というと、どこか影のある西洋のにおいが漂っているのだけれど、この物語の日本の少女たちの清らかさが、とても素敵だった。

落ちこぼれ高校に通う理穂、美咲、如月。十七歳の誕生日を目前に理穂は失恋。身体が弱く入院を繰り返す美咲は同情されるのが大嫌い。如月は天才野球選手の兄・睦月と何かと比較される。でもお構いなしに、それぞれの夏は輝いていた。葛藤しながら自分自身を受け入れ愛する心が眩しい、切なくて透明な青春群像小説。解説・金原瑞人(裏表紙より)
ブックトークの授業に友人が紹介したもの。高校生たちの物語。いい爽やかさだった!
登場する多くはいわゆる底辺と呼ばれる高校生たちだけれど、きっと高校生の持つけだるい気持ちって変わらないんじゃないかなあ。親がうざい、勉強が嫌い、遊ぶことが好き。そんな感じ。
こういうタイプの高校生ものによくある薄暗さがなくて、若々しい青さ、青春、空、海、そんな透き通った清々しさがあったと思う。

アズベルグ地方は豊作祈願祭の真っ只中。街並みの賑わいにライセン一家が興じるなか、レネやジェダら傭兵団をひきつれたバルロイ、ディネロも合流してまさしくお祭り騒ぎ! アリシアを挟んで、暴君夫と時計公爵が静かな火花を散らしはじめた矢先、飛び込んできたのは——負傷したセイグラム。「ティルナードが〈翼の祈り〉教団に拉致された」。それはユーランの仕業か……。男たちが臨戦態勢をとるも、今度はアリシアとディネロが教団メンバーにさらわれて——!? ”嫉妬は贅沢品?” 死神姫ワールド激動の第5弾!!(裏表紙より)
一年近く積んでいたのをようやく読んだら、あまりの甘さに噴き出しました。ごろごろ転がるよりも、「こいつらは!」という気持ちの方が強かった。
ユーラン再登場で、〈翼の祈り〉教団の内部抗争が明らかになる今回。新登場の人物や、既刊の人物がたくさん出てきて、とても騒がしくて、明るくて、楽しかった。だからアリシアの「贅沢はいけない」が本当に切なくて。「自分は選ぶ立場にない」という思いは、普段ほわんとしたアリシア本人の自覚なく、心の傷になっていると思うと、カシュヴァーンは早くアリシアを幸せにしてあげてください。

「小説トリッパー」に初出された十の短編。現実と非現実の狭間、夜と昼のあわいにあるような空間の物語。
幻想には種類があると思いますが、この本の多くは、不安な幻想であるのかな、と思います。
どこにも向かっていない、あることを書いただけのような話もあれば、恩田陸作品らしい、少しブラックユーモアがきいた話、それでいて、少し不思議な話があったりもする。
夜と昼のあわい、というのは、朝方、まだ夜も明け切らぬ時間なのでしょうね。ふとうたたねをして、はっと目覚めた時、自分がどこにいるのか分からないという一瞬の不安と、妙な覚醒感と睡眠を欲して鈍い思考。その時に見ていたかもしれない、と思う夢。そんな短編の数々でした。
好きなのは、「Y字路の事件」「窯変・田久保順子」。「Y字路の事件」が、少し不思議な話で好きでした。田久保順子は、もう、ブラックでたまりません。それでもやっぱり皮肉でおかしい。

ミステリアス学園ミステリ研究会、略して「ミスミス研」。ミステリは松本清張の『砂の器』しか読んだことがない、新入部員・湾田乱人が巻き込まれる怪事件の数々。なぜか人が死んでいく。「密室」「アリバイ」「嵐の山荘」……。仲間からのミステリ講義で知識を得て、湾田が辿り着く前代未聞の結末とは!?
この一冊で本格ミステリがよくわかる——鯨流超絶ミステリ!(裏表紙より)
おすすめということで借りた本。
そんな結末ありですかー! というのが読み終わった第一声。
入れ子構造ものはすごく好きで、話の順々にどれが本当だろう、誰が「存在している」んだろう、と考えるのがすごく楽しかった。ミステリ講義は、勉強してきます! と思いつつ、会話が不自然でちょっと笑ってしまいました。構造上仕方なくて、それもまたすごく味だと思いました。
犯人はすごくすごくすごーく意外なのですが、いやでも、そんな犯人の存在って、すごくロマンだよなー!
面白かった!

いまはなにもしていず、夜の散歩が習慣の19歳の私こと子、おっとりとして頑固な長姉そよちゃん、妙ちきりんで優しい次姉しま子ちゃん、笑顔が健やかで一番平らかな‘小さな弟’律の四人姉弟と、詩人で生活に様々なこだわりと持つ母、規律を重んじる家族想いの父、の六人家族。ちょっと変だけれど幸福な宮坂家の、晩秋から春までの出来事を静かに描いた、不思議で心地よくいとおしい物語。(裏表紙より)
不思議な印象の物語でした。家族六人に流れる時間はみんな同じだと感じているのに、何故か、どこか、血の繋がりが感じられないという、変な印象を持ちました。あまりにも、個々が独特すぎるからかな。まったりのんびり、独自のペースで歩むこと子の視点だからか、本の中の世界がふわんとした時間の流れを感じさせて、ずっと同じ調子でページをめくりました。
事件が起こっているはずなのに、事件の印象がない。みんな独特なのに、六人揃うと「平らか」。そんな物語でした。

衝撃の辞令を受けて泣く泣く「季刊落語」編集部の一員となった間宮緑は、牧編集長の洞察力に感嘆しきり。風采は上がらず食べ物に執着しない牧だが、長年の経験で培った観察眼に物を言わせ、しばしば名探偵の横顔を見せるのだ。寄席の騒動や緑の友人が発したSOS、山荘の奇天烈も劇的な幕切れはご覧の通り。意表を衝く展開を経て鮮やかに収斂する、妙趣あふれるデビュー連作集。(裏表紙より)
日常の謎ミステリ×落語、というモチーフが好きなので、手に取ってみた。
緑と牧編集長の人となりは若干薄い感じはありますが、落語と落語界の人間模様や関係性に比重を置いて描いている感じがしました。芸の世界、というのか、そこにある普通とは少し違う上下関係や、好敵手関係が独特だと思うので、それ故に起こる事件の物語が、収録されている作品には多かった。
でも私はどちらかというと、落語の一つと比喩として絡めた「不機嫌なソムリエ」が一番好きだったかなあ。人間と夢と、小さな謎。これが一番日常の謎に感じました。

こんなにも身近なところに、古典の世界が息づいている。私たちの人生そのままに、かつて、生きて戦い愛した人々がいる。——「古事記」「萬葉集」から若山牧水まで、民族の遺産として私たちに残されたおびただしい古典の中から、著者が長年いつくしんできた作品の数々を、女性ならではのこまやかな眼と、平明な文章で紹介し、味わい深い古典の世界へと招待してくれる名エッセイ集。(裏表紙より)
友人の好きな本と聞いて、読んでみようと思って積んでいた。
古典が好きになりそう! という一冊でした。どうしても、古典は現代と文章が違うことで苦手意識を持っていて、実際苦手で全然読めないのだけれど、でもこうしてどう読んだのかというのを知るのはとても楽しい。こうしてみると、古典作品に取り扱われている恋愛って、とても人間性が現れるものなのだなあ。
「万葉集」のものが一番好きです、なんだか。冒頭から額田女王の話できゅんとしました。磐之媛の話も好きだ。
古典の勉強が一段落したら、読んでみるのにいいかもしれない。

中学に入学したばかりの菜穂は、「もう子どもじゃないって思ったときって、いつだった?」と話しかけてきた亜矢と仲良くなる。彼女と一緒に図書室に通いつめるなどして学校生活を送る菜穂。しかし、13歳の誕生日にママが「爆弾発言」をしたことで、状況は一変した。ママとは強い絆で結ばれていると思ってたのに……。注目度急上昇の作家・石井睦美の心温まる一作、ついに文庫化!〈解説・今江祥智〉(裏表紙より)
これ、すごくときめいた。いい女の子。いい少女予備軍。
私の少女の定義は少し薄暗いところなので、まだ少し純粋な菜穂はまだ女の子。対して亜矢は少女。そういうイメージで読みました。
中学云々からいじめの物語かなあと思っていたのですが、そんなことはなくて、女の子のための物語。親の理不尽に振り回されるという薄暗さも存在せず、先生の存在も、クラスの存在もほとんどなく、成長に焦点が当たっている。伸びやかな、心の成長が見て取れる。光のある方を見つめている、菜穂や亜矢やママの存在が、とても物語を温かく優しい雰囲気している。そんな印象でした。
ラストの先生との話がとてもいい。ガラスの靴じゃだめなのね、という先生も、本当に少女だ。
すごくすごく好きでした。優しい成長物語がお好きな方におすすめです。