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読んだ本とか、漫画とか、映画とか、色々
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『坊っちゃん』の時代 (双葉文庫)
「坊っちゃん」が創作されていくの課程を、その時代の光景と共に描き出す。明治の文人たちが登場する一作。実は創作も一部あるらしいとか?
漱石が変な人だ。あまり文豪のことは知らないのだけれど、「漱石先生の事件簿」という小説が、夏目漱石の「吾輩は猫である」を下敷きにしてあるのと、漱石自身のエピソードを絡めてあるというのが分かって、この作品と事件簿の方、両方が面白いことが分かった。
その時代、すごい人々が一挙に集まっている、素晴らしい時代だったのかもしれないと思った。
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6/1「桜庭一樹 ~物語る少女と野獣~」
6/2「エルヴァインの末裔」

6/2「海鳴の花嫁 玻璃暗涙」
6/5「さみしさの周波数」
6/11「大好きな本 川上弘美書評集」
6/12「バルハールの姫君」

6/16「カストレーデの皇子」
6/17「シェーンベルムの騎士」
6/18「ユスティニアの花束」
6/19「イシュターナの祝鐘」

6/20「『坊っちゃん』の時代」
6/25「グリム童話の世界―ヨーロッパ文化の深層へ」
6/25「白雪姫 (大学書林語学文庫)」
6/26「ジェニーの肖像」
6/27「おとぎ話にみる死と再生―白雪姫の深層」
6/29「ビルマの竪琴」
6/29「シュナの旅」


6月分は以上。
イシュターナの祝鐘 (角川ビーンズ文庫)
アダルシャン王弟アレクシードは、カストリア帝国に乗り込み、ようやく幼妻のユスティニアと再会する。しかしその喜びも束の間、再び離ればなれに!! 約束の場所を目指す二人だったが、アレクは美貌の皇太子ルシウスに捕らえられ、絶体絶命の大ピンチ!! 二人は敵対する母国を平和へと導くことができるのか? すべては、ハッピーエンドのために!! 年の差カップルが贈る〈アダルシャン・シリーズ〉ついに感動の最終巻!!(裏表紙より)

それぞれの選択が導く物語の終わり。
セオが少年らしい思いを抱いていて、だから許せないというのが非常に痛いです。
アレクとルシウスの対峙シーンが滾りました。ルシウスの言葉に対して、「……あなたの妹は、そうは言わなかった」と言ったシーンにはっとしました。何故かユティのことがぱっと過って、風が吹いたみたいに神聖な気持ちになりました。
兄弟の再会と、エリアスの選択も良いように終わりました。兄弟が相変わらず兄弟で安心。ユーゼルは本当に王者だなあとか。しかし努力の賜物なのは短編集の「ユスティニアの花束」で分かるので、ユーゼルにこの先も長く王座にあってほしいと思ったり。
意外とあっさり終わってしまって、アレクとユティは進展の気配を見せつつ……で終わってしまったし、騎士団やアゼリア、ファーナも出てこなかったし……とちょっぴりそこだけ不満です。できれば、大人ユティが見たかった! 彼女非常に綺麗になってるはずだ!
面白かったです。文章が好きでした!
ユスティニアの花束 (角川ビーンズ文庫)
それはまだ、ユスティニアが嫁ぐ前。彼女を誰よりも大切にしてくれた騎士との切ない約束を描いた感動作『花の約束』、貴婦人を目指すユティのハタ迷惑な奮闘が可愛い『未来の花嫁』、幼いアレクシードと兄王との絆を描く『てのひらの記憶』、近衛騎士フラッドとのアレクの出会い『ひだまりの誓約』に加え、ユティとフラッドの浮気疑惑(!?)や、アレクの初めての記念日など書下ろし新作を3本収録。芳しい物語の花束をあなたに!(裏表紙より)

好きなのは『ひだまりの誓約』と『てのひらの記憶』。フラッドの内心が分かってやっぱり腹黒だったかと思いながら読んだ。ユーゼリクスとフラッドの関係はここから来てるのかな。何故かユーゼルとフラッドの会話が好きなので、この短編で少年たちの会話が見れたのは嬉しかった。あとがきにあった幼いアレクの三パターンが爆笑ものでした。
『てのひらの記憶』にそれが集約されていて、噴きました。兄弟が、幼い子ども同士なだけに、兄は容赦なくて、弟は純粋というおばかで。楽しかった。
シェーンベルムの騎士 (ビーンズ文庫)
離宮への突然の襲撃により、アダルシャン王弟アレクシードは、幼な妻のユティと離ればなれになってしまう。元傭兵の色男・カジャに救われ、辺境の森に身を寄せていたアレクあdが、ある衝撃の事実を知り、ユティを探してカストリアに乗り込むことに!! 一方ユティも、アレクに再会するための計画を練るのだが!? 離ればなれの二人の、そして敵対する二つの国の運命は!? ユティの唇も狙われて、最高潮の盛り上がりのシリーズ第7弾!!(裏表紙より)

乙女巻でありました。王宮で暮らすユティの葛藤や事件と、救出に乗り出したアレクがどうしたら会えるのか! というものです。ユティの家族は母上がどんな人物かいまいち分からんのですが、でも非常にやり手な気がします。ユティの家族を見ていると、王の寵愛がどうたらという感覚がないようだし非常に王の趣向に理解がありそうです。
そんなことよりも、アレクですが彼は非常に女性相手に取り繕うのがうまいですね! 普段はどうしようとかすぐ考えてしまうのに、何故女子供相手になるとこうも紳士になるのか!! お姉様方が気になるところなのですが(喋り方フェチなのでアウレリアが好き……)、彼女らを前にしてもアレクが普通の騎士の態度なので絶賛ニヤニヤ祭りでした。皇女×舞踏会×救出はときめき。
カストレーデの皇子 (角川ビーンズ文庫)
アダルシャン王弟・アレクシードは、幼な妻のユティと離宮で穏やかに暮らしている。しかし故郷カストリアに近いせいか、ユティは昔を懐かしんでいるようで、アレクはちょっと複雑だ。
そんなある日、王都から衝撃的な報が届く。そこにはユティの兄・皇太子ルシウスの名が。やがて離宮の二人に魔の手が伸びて!? アレクはユティを守れるか!? 二人を想う人々も登場で波乱の予感!! アダルシャン・シリーズ、ドラマティックに急展開!!(裏表紙より)

ユティの、アレクに抱いた最初の思いが巡ってくる話でした。復讐心を抱いてユティは来たけれど、彼女は非常に頭のいい子だったから、何が悪いのかをよく分かっていたけれど、好きな人間を失った気持ちは変わらなくて、という、彼女もまた等身大の悩みを抱いていて。
今思うと話の進みが結構遅い感じがしますが、ひとつひとつのエピソードが大切にされている感じがして、こういうのを絆としていくんだなあと思ったり。
ルシウス兄上が非常に嫌な人物でにやにやどきどきしました。明確な悪役というのがこのシリーズにはいないようなのだけれど、戦争を仕掛けようとする兄上が悪役になっていて、夫婦の間に困難が! というのがときめきます。でもやっぱり悪役ではないんだろうなあと思ったり。
バルハールの姫君 (ビーンズ文庫)
王弟アレクシードは、幼い花嫁ユスティニアと、港町・バルハールの離宮で暮らすことに。遊び仲間(=夫)が一緒で嬉しそうなユティとは反対に、アレクは穏やかな生活に馴染めない。
そんなある日、バルハール最大の祝祭で、アレクはユティの危機を救った剣士と出会う。燃えるような紅い髪を持つ彼の、剣の腕に驚くアレクだが、彼のせいである事件に巻き込まれ…!? 一方ユティに恋の予感も!? アダルシャン・シリーズ新章開始!!

新章というわりには国の一大事ということはあまりなく……結構地味な印象の巻です。ほのぼのしてます。本当に普通の夫婦というか、平和に生活してますね……。
アレクのうじうじがまたあって、これで正しかったのかと考える様は、本当に普通の若者。彼に対して悪感情は抱けないんだよなあ……。うまく出来なくて、悩んで、考えて、それでも出した結論は、端から見たら愚かなのかもしれないけれど、でも彼には彼の信念があってそれを貫き通そうとする、その強さが非常に好感を抱くんだと思います。それを支えるユティがまたいい。

「それで、そなたはそれを悔いておるのか?」
(略)
「もし悪いと思うなら、謝れば良い。人は誰しも過つものじゃ。取り返しはつかぬが、次に同じことをせぬようにすれば良いと思う」
「…………」
「したが、悪いと思うておらなんだら謝れぬ」


「きっと、義兄上はお解りだと思う」
(略)
「お怒りではあるやも知れぬが、そなたに謝れと仰らぬであろうよ。(略)」


一方で陰謀の匂いを漂わせつつ、以下次巻。
大好きな本 川上弘美書評集
新聞などに掲載された書評を集めた一冊。

書評なんですが、なんだか読みにくかった気がします。本の内容がよく分からないということがあったんですが、それでも非常に文章が綺麗で、面白かったです。本当に全く違うタイプの読書傾向でした。うん、小説を書くように書評を書かれるなあ、言葉並びが綺麗で、丁寧に自分の心情を本の良さに絡めて解説している感じ。
本を読む時のTPOの話がちらりと出てましたが、私も時々考えます。「気分がいいからこの本」とか、「今日は○○があるからこの本」とか。

メモ
斎藤美奈子「紅一点論」ビレッジセンター出版局
筒井康隆「わたしのグランパ」文藝春秋 「銀齢の果て」新潮社
柴田元幸 訳「むずかしい愛」朝日新聞社
ジュンパ ラヒリ「停電の夜に」新潮社
久世光彦「女神」新潮社 「謎の母」新潮文庫 「蕭々館日録」中公文庫
スティーブン・キング「小説作法」
伊井直行「お母さんの恋人」講談社
酒井順子「枕草子REMIX」新潮文庫
吉田修一「パレード」幻冬舎文庫
さみしさの周波数 (角川スニーカー文庫)
「お前ら、いつか結婚するぜ」そんな未来を予言されたのは小学生のころ。それきり僕は彼女と眼を合わせることができなくなった。しかし、やりたいことが見つからず、高校を出ても迷走するばかりの僕にとって、彼女を思う時間だけが灯火になった…<未来予報>。
ちょっとした金を盗むため、旅館の壁に穴を開けて手を入れた男は、とんでもないものを掴んでしまう<手を握る泥棒の話>。他2篇を収録した、短篇の名手・乙一の傑作集。(裏表紙より)

晴れというテーマで本を探した時にこれが出てきたので、久しぶりに読み返してみた。何回目かの再読。
乙一さんの書く愛が好きなので、「未来予報」はかなり好きな作品。未来の予言に捕らわれて、未来を違えてしまったのかもしれないけれど、いつでも未来は不確定という古寺の『予報』の言葉が染みる。
「手を握る泥棒の話」もいいなあと思いながら。最初に読んだ時は、もっと不安定な気持ちだったのだけれど、今読んでいると、なんだか登場人物がみんな身近に感じられて、それでいて頑張ろうと思えるようになっているのが不思議。
「フィルムの中の少女」「失はれた物語」は乙一節全開だなと思った。
羽住都さんの絵がまた好きでたまらなくて、カラーページをずっと眺めてしまう。
海鳴の花嫁 玻璃暗涙 (講談社X文庫―ホワイトハート)
 亥国の第一公主巴璃は、幼い頃母親とも離れ離れにさせられ、嫌々神に仕える巫女になった。
 そんな彼女の寂しい心を唯一慰めてくれたのは、第三公子の海鵬。彼への思いを募らせる巴璃だが、結ばれると相手を滅ぼすという予言が重くのしかかる。
 一方、第二公子の紫陽は異国で暮らす妻子を捨て、初恋の相手との愛を成就させてしまう。
 運命に翻弄される二つの愛。衝撃的な結末は!?(裏表紙より)

二つの恋が語られるわけですが、ヒロインの巴璃の影が薄くてちょっぴり残念……。もうちょっと葛藤があったらなあと思ったんですが、彼女の幼い頃からの教えや、星を見て運命を知る能力から考えると、彼女の予言が国を動かしてきたことがあるのだから、すぐに大人になってしまうのは仕方のないことだなと思って、とても寂しい。海鵬を傷付けたこともあるからなあ……。
紫陽は愚かすぎて腹の立つ人物ですが、結末の付け方は、正直に言ってものすごく好みでした……。因果応報。狂気ごちそうさまでした。
なんだかこの子気になるなあと思っていた子があの人で、わああああ! となりました。これに全部持ってかれたというか。予言が切ない。あの人よりももっと大きな人がいて、道を指し示したんだと思うと、鳥肌を立ててうるうるしました。
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Author:月子
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