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業多姫〈5之帖〉春惜月 (富士見ミステリー文庫)
「残り何日か知りたい? 知ってその日までは苦しまずに過ごせる?」
 残りの日々。それは“颯音”が消えるまでの日々。
 颯音と同じ瞳、同じ声。けれど目の前にいるのは別のひと。
 ——うそに決まっている。
 海鳴りが耳を劈き、向かい風が、震える少女の頬をなぶる——。
 南の海に突き出した半島、入陽崎。異能集団「狐」の本拠地にやってきた鳴と颯音は、沖に現れるという帆掛け船の噂を探ろうとする。だが、颯音の故郷でもあるその地は、封印された彼の真実の姿を暴き出す。
“颯音”を生み出す発端となった十年前の春惜月——弥生の事件。徐々に膨らんでいくもう一つの人格、和玖也。そして、村の片隅で密かに進められる奴隷商いと、自我を崩壊させる不可思議な薬。全ての裏で糸を引く「狐」との戦いを前に、鳴と颯音、二人は——。
 五百年前の昔、最後の戦いへ向けた幕が上がる。(カバー折り返しより)

最後の戦いに向けて、鳴と颯音の関係も、捉え方の変化が。颯音のもう一つの人格、和玖也の育ったという村にやってきて……という巻。過去と向き合うのは必要だと思ったけれど、そういう解決かあと不思議な気持ちになった(異能の力とともに去っていった和玖也)。最後の戦いは、とても困難な道になりそうだ。
青津野刑部が、意外にできるひとっぽかったのがびっくりした。変態っぽかったけど。
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