読んだ本とか、漫画とか、映画とか、色々
人質をとった偽シェンブラック海賊団に対し、トゥルーク政府は人質の命が最優先であることを表明。そのため連邦軍の討伐艦隊はカトラス星系外縁部に待機せざるを得なくなった。
トゥルークの巧みな交渉のもと、資材を積んだ大型コンテナ船と人質とが順調に交換され最後の一隻となった時、なぜかコンテナ船が一斉に消失。不測の事態に激怒した海賊団はついに核攻撃を決行する。さらにそこへ、所属不明武装艦艇が跳躍してくるのだった。
この大混乱の結末は?『トゥルークの海賊』完結篇!(裏表紙より)
グランド・セヴンの面々が集まり、トゥルーク近くで大戦闘。リィたちは地上で静観。宇宙大戦争って感じの宇宙船の戦闘シーンが後半続くので、そういえばこれSFだったと思い出しました。
ケリーとジャスミンが若いことにみんな誰も突飛なほど驚かなくなってきた、というかあるがままを受け入れてくれる人たちがいっぱいいるなあと思いながら、いつかみんないなくなるんだろうかと寂しくなる。
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《パラス・アテナ》の前に武装した八隻の宇宙船がずらりと並んでいた。二代目グランド・セヴン達の船と、《ブラック・スワン》二世号とが。
探索の依頼を受けてトゥルークに赴いた怪獣夫婦は連邦軍の駆逐隊が壊滅する現場に行き合う。その襲撃者は恥知らずにも伝説の大海賊の名を口にした。——その時、ケリーの顔から表情が消えた。
一方、大いなる闇の顕現を告げられたトゥルークの僧侶たちは大混乱。ついにはサリース・ゴオランの僧籍離脱問題へと発展……?
内憂外患(!?)な惑星トゥルークの第2弾!(裏表紙より)
怪獣夫婦の捜査は、伝説の海賊たちを騙る者たちとの遭遇へ。さらに調査を進めるうちにトゥルークにもう一度行かなければならない、というところでリィたちのパートに切り替わり、トゥルークの僧侶たちの前にルウを連れていくことに。そこへさらに海賊たちが現れたという連絡が。
いけいけやっちゃえー! の前哨戦という感じ。次回が宇宙での戦闘でしょうか。ケリーが懐かしい顔に会えそうな引きだったので楽しみだ。
一世に呼ばれて赴いた先には、ものすごくド派手で威厳と風格と静寂を纏ったトゥルークの僧侶がいた。実は連邦の上層部でとある大事件が進行しており、惑星トゥルークが深くかかわっているらしい。
それでケリー・ジャスミン夫婦と僧侶(とその一行)とのご対面となったわけだ。
結局その問題の地へ乗り込むことになった怪獣夫婦だが、トゥルークは、かの「常識外」夫婦すらも仰天する変わったところだった——
『天使たちの課外活動』とリンクしつつも「大人」が主役? の新作登場!(裏表紙より)
課外活動の4巻を読もうとしたら、ジャスミンとケリーがトゥルークに行くのが二回目だという話をしているので、おやこれは読む順番を間違えたな? と思って『トゥルークの海賊1』を手に取りました。課外活動3→トゥルーク1ってことかな? 裏表紙の内容紹介を読んだかぎりだとトゥルーク3→課外活動4なんだろうか……って読んでみないとわからないことをつらつら書いてしまいましたが。
課外活動で登場しているトゥルークの僧侶にまつわるお話です。特殊能力じゃないけれどすさまじく勘のいい僧侶の皆さんがいる星で、怪獣夫婦は高位僧侶でありながら還俗したとある夫妻と知り合う。そこに夫妻の娘の恋愛問題や、怪獣夫婦に依頼された謎の麻薬事件、伝説の海賊たちのことが絡んでさあどうなる、という1巻。続きが楽しみです。
20世紀末に突如都市部を襲った天災から数十年後、震災復興のため首都湾岸地域に誘致された大規模なカジノ特区に、客寄せで作られたサーカス団。花形である演目を任されるのは、曲芸学校をトップで卒業したエリートのみ。あまたの少女達の憧れと挫折の果てに、選ばれた人間だけで舞台へと躍り出る、少女サーカス。天才ブランコ乗りである双子の姉・涙海の身代わりに舞台に立つ少女、愛涙。周囲からの嫉妬と羨望、そして重圧の渦に囚われる彼女を、一人の男が変える。「わたし達は、花の命。今だけを、美しくあればいい」(帯より)
いやあ……少女はいい……という気持ちになる少女の物語でした。
舞台に立つこと。パフォーマーであること。少女であること。矜恃。そうしたものがぎゅっと詰まって、最後にそういうラストに持っていくのかあと感心してしまった。面白いなあ。いいなあ。好きだなあ!
語り手は、サン=テグジュペリの身代わりである愛涙、動物使いのカフカ、歌姫アンデルセン。サブとしてパントマイムのチャペック。名前だけ登場する人もいますが、またこの名前がいいんですよね! 名前をまとう感じがいい。
自分の才能がわからずふさわしくないと思う愛涙、動物に寄り添い人間でいたくないと思うカフカ、サーカスを死に場所と定めているアンデルセン。そして死に物狂いでブランコ乗りであることに矜恃を持ち続けてついに舞台へ至る涙海。痛くて苦しくて、でもだいすきだという気持ちでひいひい言いながら読みました。少女はグロテスクでもあるというのがラストにつながった気がして鳥肌がたった。すごく好きな一冊でした。
「共犯者になるなら、守ってやる——婚約者なら当然だろう?」バイオリニストの伯爵令嬢・ミレアは、気が進まない婚約話に困っていた。そんな時、宮廷楽団指揮者で公爵令息・アルベルトから〈嘘の婚約〉を提案される。「で、でも私、お付き合いとかしたことないし」「僕の言う通りにすればいい。この総譜を片付けろ」「下僕扱いじゃない!」かくして、互いに望まぬ婚約よけで熱愛中ということに!? 宮廷ラブ・ストーリー!(裏表紙より)
はああああ面白かったー!! なんて元気で楽しい話なんだろう!
聖夜の夜に天使からもらったバイオリンを弾き続け、生き別れた伯爵家の令嬢として引き取られたミレア。その特殊な経歴を利用したい楽団の運営側に「バイオリンの妖精」として売り出すことを押し付けられるが、有名になって今でもバイオリンを弾き続けていることが伝われば、きっと聖夜の天使ともう一度会えると信じている。
果たして聖夜の天使は誰だ? というのはもうべったべたでわかりやすくって、だからこそにやにやが止まらない。皮肉屋で厳しいアルベルトの優しさが染み渡るシーンもあり、ずっとにやにやしっぱなしで、けれどバイオリンが壊れてミレアが押しつぶされそうになっているシーンではいろんな人の救いの手が泣けて仕方がなかった。
脇役たちもいい味を出していて、レベッカとフェリクスの恋模様が気になります。フェリクスもぜったい溺愛系だよね!笑
カラ・ブライ王国の後妻になることが決まっていたブラーナ皇女のリュビア。だが、王の急死により、その息子アレグとの結婚に変更されてしまう。おまけにブラーナ皇帝である兄は面倒な「持参金」を追加していた。紛争の火種となる聖地ハバト峡谷を押しつけられたのだ。ある理由から、夫となるアレグを警戒していたリュビアだったが、結婚する前から彼に頼らざるを得ない状況に陥って……!?(裏表紙より)
嫁恋シリーズ12巻、かな? 時期は1巻と2巻の間くらいだそうです(あとがきより)
ブラーナ帝国の皇女リュビアは、亡くなった姉の夫と結婚することになったが、その夫になるはずの王が急死し、その息子アレグと婚約することになる。またその持参金に、世界二大宗教ルシアン教、シャリフ教の聖地ハバトが加わったことで、リュビアとアレグの結婚はすんなりいかないものになってしまった。
リュビアがまさしく家族という世界で育った品のいい皇女様という感じで、自分の大事なものは家族だという彼女が、アレグと関わることによって少しずつ王族としての自覚を持つのがいいなあ。そのせいでどんどん色気がなくなるのがこのシリーズの醍醐味という感じなんですが、この巻はアレグが結構柔らかい上にリュビアに好意を持ってくれるので、ふたりのやりとりにもにやにやしました。
沙漠の聖地カヴルで天真爛漫に育った男装の少女ラビサは、“シムシムの使者”として旅立つことに。シムシムは水をもたらす奇跡の樹で、その種子を植えるに相応しい町を広大な沙漠からひとつだけ探すのだ。旅立ち直前、カヴルが盗賊“砂嵐旅団”に襲われ、ラビサは突如現れた少年ジゼットに救われる。そして二人は逃れるようにカヴルを離れ、運命の旅に出た! 沙漠を舞台にドラマチックな物語が始まる!(裏表紙より)
丈夫に育つようにということで男装して育ったラビサは活発な女の子。兄に続いて使者に選ばれたラビサは、シムシムを植える街を選ぶための旅に出ることになるが、旅立ちの日、砂嵐旅団に襲われ、窮地に陥ったところを夜色の髪の少年ジゼットに救われる。ふたりの沙漠と真実をめぐる冒険が始まった。
まっすぐな少女と、闇を抱えながらそのまっすぐさに感化されていく少年。ふたりの旅は簡単なものではないけれど、困難にぶつかったときの一生懸命さがいいなあと思いました。このふたり、今後どんな風に成長していくんだろう。
一条シンは、ある夜出会った如月ルヰからペンダントを託され、Over The Rainbowのライブに行ってほしいと言われる。承諾したシンは初めてプリズムショーを見て感動し、プリズムスター養成校エーデルローズの氷室聖に入学を勧められる。かくしてエーデルローズの一員となったシンは、エーデルローズと所属する生徒、プリズムスターを取り巻く状況を知っていき……。
噂のキンプリ。冒頭から置いていかれてぽかーんとしました。どんな話かと思ったら結構力技で話を進めていくので、お、おう……ってなりましたが、なるほど、これは応援上映をするのが楽しそうだ。
もともと女児向けゲームである「プリティーリズム」に登場した、男性アイドル(正しくはプリズムスター)側を描いた番外編作品なんですね。ちょこちょこヒロインと思しき存在をちらつかされるのでかなり気になりました。彼女居てんのかーい!笑
お話は次作へ続く! という感じで、とにかく何も考えずに歌やパフォーマンスやファンサを楽しめばいいんだなと理解しました。
フランス、パリ。スラム街出身の黒人のドリスは、失業保険をもらいたいがために介護職の面接を受け、事故で首から下が麻痺し車椅子に乗る富豪のフィリップに雇われることになる。介護の経験もなく、粗暴な振る舞いで周囲を困惑させるドリスだったが、フィリップを病人扱いせず対等に接することで彼と友情を育んでいく。
黒人と障害者、社会的に生きづらい立場にいるふたりが、ごく当たり前に友人になる。台詞にひやっとするところもありましたが、上品な会話と下ネタなど、ふたりのユーモア溢れるやり取りが楽しい。
自分の狭い世界に、相手の世界の言葉や常識を取り込んでいくっていうのは、奇跡みたいな出来事なんだよなあと改めて思う。一番いいなあと思ったのは、フィリップが半年間文通していたことを知ったドリスが、なんで会わないんだっていうところ。会いに行こうって考えることはすごいことで、会いに行けることってすごいことだと思いました。
またラストがなーーー。荒みきったフィリップが最後に見せた泣きそうなほどの喜びと感謝の表情がいいし、去っていくドリスの姿がまたぐっとくる。
素敵な作品でした。
「花は私が買って来るわ、とダロウェイ夫人が言った」小説の冒頭を書き記すヴァージニア。時を経て、二人目の子どもを妊娠しているローラはそれを愛読している。さらに時が過ぎ、編集者のクラリッサはエイズを患う作家の友人のために花を買いにいく。『ダロウェイ夫人』を中心に据えた三人の女性の物語。
三人の女性の一日が『ダロウェイ夫人』の、「花を買う」「この人生が正しいか自問自答する」「誰かが死ぬ」などの出来事が共通する。そのほかにもマイノリティとしての許されない恋も絡んで、輪を描くような構造。この輪を思い浮かべた時、死者に送る花輪を想像してしまった。
共通する三人の一日だけれども、少しずつ状況は違う。それは多分時代もあるし、そうした積み重ねで生きてきたそれぞれの精神状態や気力にも由来するのかな。まるでばらばらだった三人の時間は終わりに向けて重なっていく。クラリッサの時間がローラと重なった瞬間息を呑みました。リチャードってそういうことか!
終わり方としては、自分を押し殺して生き続ける苦しみが人生の終わりまで続くことと、やっぱりマイノリティであるっていう辛さを描いていたのかなあと思いました。三人とも女性相手に親愛の情よりも強い感情を持つキスをするんですが、彼女たちが性的マイノリティであることを描くんじゃなく、「女性として苦しい」ことの強調だったように思ったり。
静かで苦しい作品でした。