読んだ本とか、漫画とか、映画とか、色々
敏腕弁護士だった父と同じ弁護士となった宝生エミは、ドジと失敗続きで今度こそ後がないと言われる。そうして任されたのは、ある男が妻を殺した事件。被疑者である男は、事件があったその時、幽霊に金縛りにあわされていたという。エミは無実を証明するために、その落ち武者の幽霊に証言を依頼する。
三谷幸喜作品はすごく好きなので、今回もやっぱり面白かったし、ぐっときました。弁護士の女性と落ち武者の幽霊の絆ってなんじゃそりゃって感じなのですが、幽霊として存在することを証明する手段にははらはらどきどきでしたし、二人の生活がとってもハートフルでした。あっちの世界の事情があったりなどして、ただではいかないところも楽しかった。段田さんかっこよすぎる。ちょっと恐くて、チャーミングで、やっぱり底知れぬ恐さがあって。
一つ一つが伏線になっているので、どういう意味かなと思ってみていたんですが、最後やっぱり! 来たかー!! と分かりながらも感動しました。本当にうまい。面白い。ぐっときた。
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ローマ法王死去によって行われたコンクラーベ。有力候補たちを押しのけて選出されたのは、誰も予想だにしていなかったメルヴィルだった。誰もやりたくない法王の座を押し付けられたメルヴィルは、重要な就任演説を放棄してしまう。医者にかかり、精神科医まで呼んで、それでも足りず外の医者にかかったが、そこでメルヴィルは逃亡してしまう。
どこがハートフルだー! 詐欺だー! と叫んでしまったラストでした。「ええー!?」と驚きの声を上げる結末。途中からそういう予感はしないでもなかったんですが、なかなかブラック。もうちょっとエンターテインメントっぽくて明るくきゃっきゃした話かと思っていました。おじいちゃんたちはみんな可愛いのに……。
上記紹介文の内容が全体の三分の一くらいはあってどうも導入(だと思っている部分)が長いので、期待していたタイプの話じゃなさそうだなと思ったら。だというのに過程を省いているところがあって、これはどういう状況でそうなったんだろう、という点が気になってしまった。
しかし、単なる悲しい映画ではなくて、人としてどう受け止めているのか、また、どう受け止めていくのか、メルヴィルが淡々と、じっと自分と向き合っているのが分かる。周囲は全然彼に意識を向けなくて世界は滞りなく回っていて、けれど時折知らされるサン・ピエトロ広場に集まった信者たちの姿が突き刺さるように訴えてくる。エンタメ映画としての起伏はほとんどないのですが、精神的なダメージが見ている人間には結構ありました。決めなければならない、法王として立たなくちゃいけない、でも自分には無理だ、期待されている、みんな待っている、ごまかしは続かない、けれどいつバレるだろう……などなど。傍観者ならではのどきどきがすごくて、だというのに最後はアレかと! 突き落とされたわ!
外から招かれた精神科医(監督ご自身なんですね……)がまた、こいつめんどくさいっていうキャラクターで、この人結局なんだったんだろうなと考えてみたんですが、内と外の隔絶の象徴だったのかなあ。プライドが高くて自分が最高峰だと言う外の精神科医と、自分では無理だ導くことなんてできないと頭を抱える新法王。かたや街のどこにでもいる医者、かたや世界唯一の法王様。そう考えると、医者なんかもうお前法王になっちゃえよっていう傲慢さでのキャラクター配置だったのかもしれない。メルヴィルは謙虚こそ美徳だと思いますが、それが過ぎるとああいう結末になるのかも。
イングランド・ハンプシャーで、牧師の父を持つ貧しい家の娘ジェイン。高等な教育を受けた彼女は、小説を書いて朗読することを趣味としていた。やがてそれで食べていきたいと思いながら、しかしその時代、女の幸福とはお金持ちの家柄のいい相手との結婚だった。裕福なレディ・グリシャムの甥ウィズリーに求婚されながら、ジェインは都会からやってきた鼻持ちならないトム・ルフロイに惹かれて恋をする。裕福で愛のない結婚か、貧しい未来が待っていても愛ある結婚をするか。ジェインが選んだのは……。
「高慢と偏見」を原作も映画二本も見ていたし、主演がアン・ハサウェイだし、この時代らへんの映画見るの好きだしということで何の事前情報もなく見ることにした一本。すっごく好みで面白かったです。服飾とか調度品とか文化がね! ときめくよね! こうして見ていると「高慢と偏見」のエリザベスは、まるきりジェイン・オースティンに重なっているのだなあと思わずにいられませんでした。まあ、この作品も結構フィクションだと思うんですけれども……。
頭のいい女性の言動や、周りの無理解というか風潮、けれどそこにある家族の愛だとかは、「高慢と偏見」の中にあったものだなあと思いました。恋に落ちていくきらめきも、頭のいい女性だからこそ溺れきれなかったことも、悲しく切ないながらもジェインという人の芯が感じられてかっこよかった。愛がいつか蝕まれて崩壊する、というのは、素晴らしい台詞だった。
静かな気持ちで、年月を経たジェインを見ましたが、でも最後にあれは! トム、あれは! 反則だろう! 噴いたわ! でもよかった。ちゃんと愛はあったんだな。
好みの映画でした。面白かった。
孤児となった少女マリアは、叔父に引き取られ、ムーンエーカーの館に移り住むことになる。気難しく怒りっぽい叔父の住む館は、何故か荒れ放題。光る馬や不思議な鏡、天井の絵の星が落ちたり、誰かがドレスを置いていったり。しかも黒いならず者たちに襲われてしまうのだが、そこには、叔父たちメリウェザー家と、黒い一族ド・ノワール家、そして月姫と呼ばれる女性が関わっているらしく……。
可愛いファンタジーでした。すみません、原作は未読です。女性が書くファンタジーっぽいなあと思いました。
可愛い金髪巻き毛の女の子が、気難しやの叔父さまに引き取られる(萌えポイント1)。この叔父さま、かなり感情のアップダウンが激しくてどうも素直じゃないらしい(萌えポイント2)。ロマンチックな内装や小物、風変わりで可愛らしい服飾。しかも美少女がそこを動き回っているだけできゅんきゅんする(萌えポイント3)。とにかく美少女(萌えポイント4)。
ロマンチックで、女の子はどきどきしながら見そうです。私はもういい年なので……色々突っ込んで見るのも楽しかったですけれども、素直にきゅんきゅんできない自分が嫌! 一つの目標に向かって走っている時に別の物に気を取られてそっちに行くというのはちょっとアウトー(この辺がなんだか女性作家っぽいところだと思いました)
原作を読んでみたいと思いました。孤児の少女、不思議な館、叔父さま、敵対している少年の存在とか、要素がたくさんあって素敵なんですよね!
人気キャラクター、マロミが社会現象となりつつある頃、キャラクターの生みの親である鷺月子は、次回作への期待とプレッシャーを感じ、精神的に追いつめられ始めていた。そんな時、金色のローラーブレードに金属バットの少年に襲われる。その犯人「少年バット」は、やがてあらゆる人々を襲っていく。ただの無差別反抗なのか。少年バットの正体は。
今 敏監督のアニメ。めちゃくちゃサイコサスペンス。空想や妄想が現実に浸食してくる作品を描かせるとすごい人だ。
序盤は誰が嘘をついて何を隠しているのか、誰と誰が繋がって、真実はどこにあるのか、という部分がすごく面白くて、短編小説を読んでいるみたいでした。その話の主人公となる人の、心の闇が、次第に明るい部分を侵していくところにぞくぞくします。何度「やばー」と呟いたか!
半分くらいまではそういう感じなのですが、後半からがらっと色が変わって、心の闇が肥大化して現実に流入してくる。有り得ないことが次々と起こり始めて、それが空想なのか現実なのか分からない状態でみんなが「少年バット」を口にする。その中で本筋とは関係がない「明るい家族計画」はすごく息抜きになりました……後から見直すのがすごく楽しかった。作画の幅がすごく面白かったのは、次の回の「ETC」でした。
10話以降から話がどんどん膨らんで、有り得ないことが普通に起こって誰も疑問に思っていないところが空恐ろしかった。虚構のもの、創造物が氾濫して人を飲み込んだり、流行の闇が人を押し流していく辺りはすごく風刺がきいていて「わーお、ぶらっくー……」と思いました。
面白かったです。面白かったです……と、素直に言っちゃいけない深淵があるんですが(理解しないと言ってはいけないような気がする感じの)しかし好きです。毎回「どうなってるんだー!」と叫んで楽しみに見てました。
一昼夜かけて80キロの道程を歩くだけの学校の伝統行事、歩行祭。三年生の貴子は、クラスメートである西脇融を意識しながらも、ずっと話しかけられないでいた。ただそれは、恋心が理由ではなかった。また、融は友人の忍から貴子のことをずっと見ていると指摘されるが、彼もまた、その理由は恋ではなかった。ただみんなで夜歩くだけ、けれど特別なその日の出来事。
本屋大賞を受賞していたんだっけ、と予告編を見ながら思い出しました。原作は当時すぐ読んでいたので、今では詳細をほとんど覚えておらず、それでも説明不足は感じられつつも焦点がぶれなかったので、日常の延長にある切なさを感じられて好きな作品でした。貴子と融のことばかり見ると気詰まりなのですが、そこはちらっと見える周りの子たちのささやかなエピソードがいいスパイスになっていて、特に高見くんはすっごくよかった!笑 癒された。
融は、吹っ切れる前と後の表情がまるで違うのが、もうお姉さんきゅんきゅんしました。険しさが拭われて気の抜けた、忍から好かれるような本来の優しくてお茶目な顔が、もう本当に素敵だった!
それから私は美和子の役の女優さんが好きで、どこかで見たことがあるなーと思ったら、花男でつくしの親友役をやっていた方だったんですね。この方がすごく好きで、雰囲気もすごく素敵で、ぽーっとなってしまった。ブログを見に行ってみたら大人なお姉さんになっていて、おお……と思いました。やっぱり綺麗な人だなあ!
売春防止法が廃止され、一等赤線地区として復活した吉原の男の廓・花降楼。見世で妍を競った蕗苳、綺蝶、蜻蛉、忍、椿たち五人は、やがて切っても切れない絆で結ばれた伴侶とともに遊里を後にした。奈落から昇りつめた彼らの、その後の暮らしとは? 蜜のように甘く濃厚な愛慾の日々を描ききる、大人気・花降楼シリーズ第五弾!!(裏表紙より)
愛慾ではなくてラブラブ新婚生活編って言った方がいいと思うな! な、花降楼シリーズ、前四作に登場したカップルたちのその後の短編集。めちゃめちゃ可愛くてきゅんきゅんした!
特に、忍と椿が仲が良くて、正反対な新妻が仲良くしているのにすごくにやにやしてしまった。忍は、何故これが女の子じゃないんだ! と叫びましたが、新妻ぶりが本当に、何故女の子じゃないのかと……。椿と合わさると更に更に可愛い子だよなー忍。ちょっとずれてて、一生懸命なところが可愛い。
綺蝶と蜻蛉の二人も、蜻蛉は素直じゃないけれど、綺蝶がちゃんとリードしてくれていて安心しました。私は綺蝶のような、独占欲を押し隠してさりげなく手を打つタイプのヒーローが好きなので、見世にいた綺蝶も華やかで素敵でしたが、男っぽい彼もとても素敵だと思います。彼は普通に少女小説のヒーローとして出てきそう。
シリーズはまだ続いているようなので、是非読みたい。
王子は白馬を駆って荒野を走りつづけていた。自分の正体も、これから何をすればよいのかもわからずに。謎を解く鍵は、骨の城に隠されているらしい。城を守る竜を倒せば“世の秘密”が神瑛されるのだ。だが、魔女や巨人や妖怪変化が徘徊するこの異世界では、骨の城の竜退治など大いなる試練のほんの端緒でしかなかった……女流ファンタジストのキシュがユーモラスに語る、優柔不断でドジな王子のドン・キホーテ的探索の物語(裏表紙より)
ロマンチックファンタジーかと思っていたら、自分が誰で何をすればいいのか分からない、やりたくないのに勝手に旅が進んでしまう……という他称王子のファンタジーでした。表紙が中山星香さんだから手に取ったのですが、これ、中山さんが描くコメディファンタジーみたいな話だなあと思った。
怖いから行きたくないのに何故か行くことになっていたり、戦う剣が斬れないので文句を言うと「剣って投げるものでしょ?」みたいなこっちがおかしいことを言われたり、城が倒壊したり、月が四角かったりハート形だったり。物珍しくて面白かった。
売春が公認化されて十数年経ち、遊里としての姿を取り戻した吉原。蜻蛉と綺蝶は、男の遊廓である花降楼で双璧と謳われている傾城だ。だが気位が高く「お姫様」とさえ称される蜻蛉と、彼とは正反対に気さくな綺蝶は犬猿の仲とまで言われていた。しかし、そんなふたりも花降楼に来たばかりの頃は夜具部屋を隠れ家に毎日逢瀬を繰り返すほど仲が良かったのである。ふたりの関係はいったい……? 花降楼を舞台とするシリーズ第2弾!(裏表紙より)
男の遊郭、花降楼シリーズの第2弾、なんですが……これを読むなら是非、蜻蛉と綺蝶が出てくる他の作品を読んで、二人の険悪さや思い合っているがゆえのすれ違いを味わってから、この第二弾を読んでもらいたい……!! 少なくとも、他の作品を読んでいた私は「結局二人ってくっつくの、つかんの」とじれじれしていた気持ちが一気に消化されてふわああああと幸せな気分になりました。男同士なんだけど。
お互いに正反対な性格ながら、面倒見のいい綺蝶と、放っておけない蜻蛉は仲が良かった。きっと彼は傾城になるだろうと思いながら、でもいつか、年季が明けたら二人であの大門を出て行こう、と約束する。この時点でもうきゅんっきゅんでした。これから長くて辛い時間が待っているのに、こうして言い合えるのはお互いが本当に好きだからだよなあ。
そして蜻蛉の性格を知っていると、ただではいかないことが分かっているんですが笑 蜻蛉はいつも意地を張って大事なことが言えないんだもんなあ。もうちょっと素直だったらいいのに。しかし綺蝶の男前度合いが半端なかったので、二人はめでたく。綺蝶は長髪でもすっごい美人でしたが、髪が短くなったのがすっごい、すっごい美形でほわああってなりました。
この話は男同士というのが面白かったなーと思った作品でした。
不慮の事故でアンティークドールを大量に破壊し、多額の借金を背負うハメになった女子高生あかね。月々のバイト代から捻出できるのは5000円…も心許ないあかねに、冷酷非道な人形師美言は借金返済のために彼の屋敷に住むよう命じる。謎めいたクラスメイトのルイス、寡黙な少年リョウも暮らす男だらけの住まいに乗り込むけれど、同居人たちは秘密を隠し持っていて!? 『華鬼』の梨沙が贈る、一つ屋根の下のキケンな恋物語開始!!(裏表紙より)
ちょっと異質な学園に通う女子高生あかねと、長身で目つきの悪い人形師、金髪碧眼の同級生?と、感情の起伏が怪しい少年の同居もの。かなりスローペースで、同居するまでが意外と長かった。
一巻なので、まだまだ謎めいたところがたくさんあって、はっきりと出てこない要素も色々あるのですが、女子高生×人形×(ネタバレ)という組み合わせは、なかなか見ない。食べたことのない要素の合体なので、どうなるのかちょっと、変にわくわくしています。
元気系、かつおかんっぽく、あんまり深く考えない性質のヒロイン、あかねが、これからルイスを振り回しつつ(恋愛的な意味で)、美言といい仲になってくれる三角関係を期待する!