読んだ本とか、漫画とか、映画とか、色々

侯爵家の血を引く、天涯孤独の美少女サアラ。彼女は、身を寄せる遠縁の家の息子と婚約していたが、幽霊伯爵と呼ばれるコルドン伯爵の17人目の妻として嫁ぐことに! 更に嫁ぎ先は、墓地に囲まれ夜な夜な幽霊が現れるという場所で!? 妻に無関心な夫、何故かよそよそしい使用人達。けれど、サアラはのびのびと毎日を満喫し、逆に夫を翻弄して……!? 美しく強かに、少女は恋と幸せをつかみ取る! ルルル賞&読者賞W受賞作デビュー!(裏表紙より)
誰もが目を見張る美少女サアラ。婚約者と別れて伯爵と政略結婚した彼女だったが、しかしその言動は「私は美人です」と謙遜せず堂々と言い放つようなものだった。したたかで信念を持つサアラは、本当に幽霊が出る屋敷に臆することなく、むしろ幽霊に慕われるほどになっていく。
いろんなところの感想でこんなヒロイン見たことなかった、と読んだのですが、確かにこんなヒロインいなかった! 限りなく真っ黒。なのに嫌みじゃない。むしろサアラの台詞が気持ちいいなあ! 彼女の持つ過去が、彼女自身に傷を残していても、それを強さに変えることのできるかっこいい女の子なのだな。その強さは、人を傷つけない強さでもある。カインに対する思いが明かされるところは、サアラは黒いけどいい子だな……と思ってしまった。
ジェイクはちょっとずつサアラに関心を抱いているようだけれど、これからも振り回されてください。ジェイクは絶対懐が深い人だよ! サアラのものになってやってくれー!笑
面白かったです! オススメされた作品でした。ありがとうございました。
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戦時中のミッションスクールでは、少女たちの間で小説の回し書きが流行していた。蔓薔薇模様の囲みの中に『倒立する塔の殺人』とタイトルだけ記されたその美しいノートは、図書館の書架に本に紛れてひっそり置かれていた。ノートを手にした者は続きを書き継ぐ。しかし、一人の少女の死をきっかけに、物語に秘められた恐ろしい企みが明らかになり……物語と現実が絡み合う、万華鏡のように美しいミステリー。(裏表紙より)
少女たちの毒と愛の物語。このアンバランスな感じがとてもよかった。
誰が怪しくて何が鍵なのかというのは割とすぐに分かるのだけれど、動機が全然分からなくて最後までどきどきしました。手記として書かれている部分は書き手の思い出を補正しているから、美しく見えて当たり前なんだけれど、ダンスのシーンとか歌うシーンとか、女の子がきゃっきゃしているシーンがとても好きだ。そういうシーンの裏にすごい嫉妬心を抱いた人がいると分かるのも、好きだ。
なんとはなしに好きだなあと思うのが、イカちゃんと葎子と杏子のシーン。葎子が「授業のときには聞いたことのない優しい声」で杏子を気遣うのですが、その後、イカちゃんは「親友?」と聞くのです。この『親友』という単語、普通は出てこないんじゃないかなあと思うと、このイカちゃんという教師がとてもいいと思う。
この話、死という感覚がなんだか麻痺している感じがあって、そのぐらぐらしているところも面白かった。毒のあるお話。面白かったです。

リヒャルトが即位するために必要な宝剣の鍵を手に入れるため、結婚契約書にサインをしてしまったミレーユ。大公との挙式まであと三日と迫る中、リヒャルトはミレーユと王位奪還のため単身宮殿へと向かった。しかし再会したミレーユは、花嫁衣裳を身に纏い、リヒャルトの記憶をなくしてしまっていて——!? かくして身代わり伯爵の一途で感動的な奇跡が巻き起こる!! 恋愛指数最高潮!! シアラン編感動の完結巻!!(裏表紙より)
シアラン編完結! 両思いおめでとうー! とてもとてもロマンチックな活劇でした。
再会からの記憶取り戻し、王宮逃走辺りは、どきどきもしたし、にやにやもして楽しかった。そして何より聖堂でのシーン! これこそロマンス! ミレーユの啖呵はかっこよかった!!
でも誰がおいしいかというとフレッドがおいしかったです。一番じゃなくなる兄、というのが切ない。妹が大好きで、妹のためになら何でもできる。フレッドは自分のことを歪んでいると言うけれど、誰よりもミレーユの幸せのことを考えて行動できる人だな。ウォルター伯爵とは違う、と分かるところがやっぱり聖堂でのシーンで、フレッドスキーにもとてもとてもおいしい巻でした!
ミレーユとリヒャルトはこれかららぶらぶするんだろ! と思わずにはいられないラストでしたが、次巻から新章でまた一波乱ある気配ですね。二人ともがんばれ!

双子の兄・フレッドが行方不明になり、ミレーユはフレッドの『身代わり』として、『ミレーユ姫』のフリをする事に!! はじめは奇天烈なお姫様を演じていたが、大公の卑劣な行為にブチ切れ、ついに地を出し、大公の下に殴り込みをかける。だが待ちかまえていた大公に結婚契約を持ちかけられてしまい!? かくして身代わり伯爵の婚姻を賭けた駆け引きが始まる!! 第五師団にミレーユの正体もばれて——!? 急展開の第九弾!!(裏表紙より)
面白かったー! ミレーユの本領発揮! 前の巻の感想で、フレッドのおかしい設定が、伯爵令嬢としてミレーユがシアラン宮廷にいることになったら困らないかと思ったけれど、それがこの巻でちゃんとミレーユを守る設定になっていてよかった。
ミレーユが地を出すところがやっぱり好きだな。体当たりでいく女の子は大好きです。でもその一生懸命さを利用する大公が! 腹立つ! でも少女小説的にはおいしいよー!
第五師団に正体バレ、大変楽しくてありがとうございました。「男らしい」「雄々しい」とさんざん言われるのに爆笑した。にやにやしたー。
いろんなところが動き出す話で、「嘘をついているのは誰だ?」状態だったのでちょっと読むのがしんどかったけど楽しかった。登場人物も多くなってきたな。ちゃんと追っていけるだろうか。

ワケあって、田舎から東京に出てきた岩倉たがねは十五歳。数々のバイトをクビになり、空腹を抱えながらさまよっていた新宿で見つけたのは、毛筆で書かれた不思議な求人広告。「住み込みで食事付き」に惹かれたたがねだったが、雇い主は怪しげな婆さん・櫻木闘子。やさしい孫の恭介はいるものの、たがねを待ち受けていたのは、予想だにしないオシゴトだった!
笑いあり涙あり、ホワイトハート新人賞受賞作。(裏表紙より)
異能者が登場する現代ファンタジー。
あとがきの改題前のタイトルがツボった。これは少女小説のタイトルらしからぬ厳ついタイトル。元原稿はどんな話だったのかなあ。
ともかく、お話の内容はこんな感じ。現代日本には密かに「マロウド」と呼ばれる異界のものたちを狩る集団があった。この闘姫一族の一人、闘子の助手となったたがねのお話。ラブ方面の話はあまりなくて、たがねの一生懸命さがかわいいお話でした。
この小説のおいしいところは、ババ孫萌えだと思うんですよ! 孫に甘いおばあちゃんもえー! 家族内での甘やかしって、(人に迷惑をかけない範囲では)本当においしいんですよね! たがねは幸せになれー!

「わたしなんか、しあわせになれない」14歳の由宇がそう思うようになったころ、自分の姿と瓜二つの由芽が突然現れた。自分とは正反対で奔放な性格の由芽に振り回されてばかりの由宇。由宇は以前父親から聞かされた、由宇と一緒に生まれるはずだった、双子の姉妹のことを思い出す。切なくも心温まる物語。(裏表紙より)
令丈さんって児童書でよくお見かけする名前だなと思って手に取りました。児童書っぽかった。
いわゆる「ふたりっこ」な話かと思ったら、もうちょっと不思議系の話でした。結局由芽が誰なのかはっきり分からないながらも、由宇のいい子ぶりや「大人は分かってくれない」感がよかった。本当は離婚した相手方に引き取られていた双子の妹とか、実はパパが病んでたという話になりそうだと思っていたんですが、そういうところを上手に避けて書いたらこういう話になるのかなと思った。

三か月以内に借金が返せなかったら金貸しの後妻!? 借金返済のため、パミーナは高賃金だが三日と人が続かない“悪魔の屋敷”で働くことに。しかし、屋敷の主・美貌の天才博士クルトは、一筋縄ではいかない人間不信の変わり者で!?「泣いて逃げ出すまでいびり抜いてやる!」と辞めさせる気満々のクルトとの勝負を受けて立ったパミーナ! なのに、いきなり甘い言葉を囁かれ、ときめいてしまい!? 人生を賭けた恋と勝負の行方は?(裏表紙より)
たくましい女の子と子どもみたいに口が悪い変人美形青年のお話。きゅんきゅんしたー!
パミーナが一生懸命でたくましくてかわいらしくて、二人の口喧嘩が楽しくて。若干クルトの思考回路が変な気もしましたが、とてもとても少女漫画で楽しい話。言い争いが子どもっぽい一方で、ときめく台詞やシーンがストレートできゅんきゅん胸を突いてきて、にやにやが止まりませんでした。
何がいいって、やっぱりパミーナの性格だ。まっすぐで、純真で、ひねたところがなくて仕事に打ち込めるところや、ちょっとうぶなところ。クルトはパミーナがいないとだめになるなーと最後辺りのシーンで笑いました。
面白かったです!

第五師団が捕縛され絶体絶命の中、ミレーユはリヒャルトの即位に必要な宝剣を手に入れ、公女エルミアーナを救うため、炎上する離宮に飛び込んだ! それを知ったリヒャルトもミレーユの後を追い離宮へ飛び込むが、ミレーユは怪我で意識不明になってしまい!?「帰らないで。ここにいてください。俺のそばに」かくして『身代わり伯爵』の切なく命懸けの試みがはじまる!全員失恋!? 待ったなしのハイテンション・王道ファンタジー!(裏表紙より)
相変わらずにやにやにやにやしました。シアラン編がそろそろ終わりそうな気配だ。
ともかく。両思いおめでとう! おめでとう! 端から見てるとじれったくてたまりませんでしたが、ちゃんと好き合ってる二人が見られて嬉しかった。でもどこか決定的なところですれ違ってる感がーと苦笑い。でもきっと思いが通じるって信じてる!
ヴィルフリートがちょっと成長しているみたいなのがいいなあ。彼も彼でミレーユのことをちゃんと思っているのが分かって、本当にいいなあと思いました。ただ好きだー好きだーと言っているだけではだめだよな。
フレッドは、女装して好き勝手してるようですが、これって後からミレーユが困らないか? と思うなど。リヒャルトの婚約者になってシアランに住むときに困るのでは……と思いながらもわくわくする。
ウォルター伯爵の真意が、大体分かるような気がするけれどちょっと不気味なのが怖い。次巻が楽しみだー。

この二人には遭難しているという自覚がまったくないらしい。
シェラは残念そうに首を振っている。
「塩を持ってくるんでしたね」
リィも頷いた。
「だな。どうせならうまいほうがいい」
ハンスが大真面目に言った。
「いや、この際、贅沢は言えないよ」
全員がほぼ腹を満たすと、リィは荷物を持って立ち上がった。
途端にフランクが異議を唱えた。
「俺たちは遭難してるんだぞ。動かないで救助を待つのが常識だろう」
ハンスも頷いた。
リィは二人を見つめてはっきり言った。
「救助は来ない」
体験学習でリィとシェラは仲間たちとともに、総勢12人で惑星ヴェロニカに降り立った。
事件は、そこから始まった——。(裏表紙より)
今回は天使たちの話。
体験学習の安全なキャンプをするため惑星ヴェロニカに降り立ったが、そこは本当の目的地ではなかった。12人の子どもたちのサバイバルが始まる! ……とは言っても、自然生活レベル100以上のリィとシェラがいるので、ただのサバイバルものではないのでした。相変わらず最強過ぎる金銀黒天使。
今回はシェラが怖かった。笑顔でさらっと切り捨てられるものだから、これが正しいとは分かりつつも怖かった。でも鍋を見つけて喜ぶシーンはちょっと噴きました。かわいいなおい。

「あの子は漫画家になるのに必要なもの以外はすべてを切り捨てた!と姉が私の青春時代のことをそう言っていたように10代の頃の私は偏っていたかもしれない。それでも悔いナシ、です」と少女漫画家一条先生は言い切る。いつでもパワフルに道を切り開いてきた先生の生き方は、やることがみつからない!と悩んでいる人にとって格好の道案内となるはず。エッセイスト・岡部まりさんとの対談も収録。(裏表紙より)
とてもくだけた文体のエッセイでした。あれだ、コミックスによくある柱で書かれるような裏話を延々とやっている感じ。一条さんの子どもの頃の話や、漫画家になってからの努力、恋愛の話など。こうして知ってみると、一条ゆかりさんって『職人』な作家さんなんだなあ。何を思ってこれを描いたか、という話をされていてとても興味深かった。自分の大嫌いな人間を主人公にして描いてみようと思ってちゃんと描ききるなんてすごすぎる。『デザイナー』も『砂の城』も読んだので、そういう事情があったんだと新しい発見でした。しかし、恋愛方面の話をすごく軽い調子で語っているので、その辺りはちょっとはあー……と口を開けてしまった後に笑ってしまう感じでした。セキララというか、世間話を訊いている気軽さがあって、おかしかった。