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読んだ本とか、漫画とか、映画とか、色々
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セイジャの式日 (メディアワークス文庫)
不格好だけど素敵な恋と旅立ちの物語。

 絵を一枚仕上げるたびに、絵にサインを入れるたびに、もうやめよう、これで最後にしようって、考える——
 それでも私は、あなたのために絵を描こう。

 かつて彼女と過ごした美術室に、彼は一人で戻ってきた。そこでは、長い髪の女生徒の幽霊が出るという噂が語られていた。
 これは、不器用な人たちの、不恰好な恋と旅立ちの物語。(裏表紙より)

由良三部作の三巻目。二巻登場のハルは今回、夏休みの彫刻家のアトリエでのボランティアに由良を誘う。そこで起こる事件。そして、最終エピソードとなる、由良があの場所に戻ってくるお話。この二つが収録。
最初のエピソードは、ぞわぞわとする。そうなんだよ、創ることに対して身を削れてしまう、何かを削ってしまう人っていうのは必ず存在するんだよ。犀のことは、責めるべきなんだけれど、一概にそうとは言えない何かがあって。でも「ちがうんだよ」と泣きながら言えたハルは、すごくいい。
Aのその後がちらっと語られていたけれど、彼女は手に入れたのかな、と思う。
『プシュケの涙』ほどの衝撃はなかったけれど、最後の話がよかったなあ。いつでも、ああいう青春を送った人たちはいるのかもしれないな、と思わせて。地上から絹川さんを見上げた由良は、きっとすごく心から嬉しかっただろうな。そう思うと、長く高校生の頃の傷を抱えてきた由良がようやくその時代から抜け出すことのできたというのがこのお話の結末なのかもしれない。
ああ、いい話だったな。
オススメされた本でした。三部作楽しかったです。ありがとうございました!
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吸血鬼伝説 (「知の再発見」双書)
吸血鬼の発祥から、地方の伝説、吸血鬼を題材にした創作まで、吸血鬼にまつわることを書いた本。吸血鬼を描いた絵や映画から切り取った画像がページのあちこちに貼付けられているので、結構読みにくかった……。
吸血鬼のモデルとなった人物の話や、吸血鬼映画の話などもあって、面白い読み物でした。吸血鬼(ヴァンパイア)という言葉自体も、そういう血を吸う者の存在があって後からつけられたものだというのは、初めて知りました。
伊坂幸太郎---デビュー10年新たなる決意 (文藝別冊)
18歳のときに書いた処女作をリメイクした書き下ろし「クリスマスを探偵と」や、ロングインタビュー、対談などを集録した特集ムック。
書き下ろし小説面白かった! いい話だ。
インタビューもすごく面白くて、興味深かった。伊坂さんはすごく熱心な研究家でもあるんだなあと思った。そこまでして作り込まれた小説を読める読者はしあわせものです。それだけでなくて、編集者さんのコメントにあるように、お人柄も素敵。いい人だ。
すこしずつすこしずつ、小説の中でできることを探っていくところや、もやもやしたものを伝えたいと仰る。きっと、読んだ人がそこに自分なりのテーマを見つけるのが伊坂作品だと思うので、すごく腑に落ちた。
青春×小説―掘りだしものカタログ〈2〉 (掘りだしものカタログ (2))
掘りだしものカタログシリーズの二冊目。青春を取り扱った小説を紹介する。今回は文豪作品が多い印象でした。プロレタリアとか自伝的小説とか。現代作家作品もありますが、『バッテリー』がこの中ですごく浮いている印象です。この本の中では、青春とは煩悶とするものだという捉え方をしているみたいで、学校でどうこうという話はあんまりない感じでした。
光の帝国 常野物語 (常野物語) (集英社文庫)
膨大な書物を暗記するちから、遠くの出来事を知るちから、近い将来を見通すちから——「常野」から来たといわれる彼らには、みなそれぞれ不思議な能力があった。穏やかで知的で、権力への志向を持たず、ふつうの人々の中に埋もれてひっそりと暮らす人々。彼らは何のために存在し、どこへ帰っていこうとしているのか? 不思議な優しさと淡い哀しみに満ちた、常野一族をめぐる連作短編集。(裏表紙より)

多分人生で初めて読んだ「大人の小説」です。何かとお守りにするようにして持ち歩くことがあるんですが、今回久しぶりに手に取って読んで、泣いたー……。自分のルーツはここにあるんだ、と感じた再読でした。
連作短編集で、連作ですが、ちゃんと一つの方向に向かってまとめられたお話なので、最後の言葉がすとんと来るあのラスト数ページに、だーっと泣きました。もうこれは反射としか言いようがない気がする……(毎回泣くから)。恩田さんの初期にあたる作品なので、今ではいくつかの作品の続編や関連作が出ています(『エンド・ゲーム』や『蒲公英草紙』)。最近は、恩田さんの世界はもうちょっと硬派な筆致でミステリと不思議な世界の話の方向にいっている気がするので、違いを感じて面白かったです。
特に「引き出し」を持つ春田一族の話はとても好きだなあ! 最初に読んだお話がこれだというのは、本当によかったと思う。全体的に優しい語り口の不思議なお話なのですが、内容紹介にあるようにどことなく淡い哀しみ、切なさのようなものがあって、時間とか別れとかそういったものにひっそりと触れているところがあって私はこの本がすごく好きなんです。あー、もー、好きだなあ!
オススメされた本でした! ありがとうございました!
物語の役割 (ちくまプリマー新書)
私たちは日々受け入れられない現実を、自分の心の形に合うように転換している。誰もが作り出し、必要としている物語を、言葉で表現していくことの喜びを伝える。(裏表紙より)

三つの場所で行った講演を、大きく三つの部に分けて文章化したもの。すべて「物語」について語っています。これまで小川さんのエッセイも読んできたけれど、小川さんの語る「物語について」という話が、もうすっごく好きなんです。
上記の紹介文にあたる「私たちは〜転換している。」というのは内容にあるのですが、このことは私たちが自然的に作っている物語なのだと小川さんは語られます。誰も自分を責めていないのに自分を責めているのも物語であり、そこにあった木が「まだいるからね」と語りかけてくるように感じられたというのも物語。物語という言い方は、私がこうして書くととても軽々しいですが、この『物語の役割』ではとても尊いものであるという書き方がされていて、小川さんの文章がしんとつもってくるようでなんだか泣きたくなりました。
『博士の愛した数式』が生まれるまで、という章があり、小川さんがどうやってあの物語を見つけていったか(と私は思った)というのが書かれています。
「同じ本で育った人は共通の思いを分かち合う」というのは、小川さんがイスラエル版の『博士の愛した数式』を刊行するときのエージェントのメールにあった言葉だそうなんですが、この後の文章のようなことが起きれば、本当にそれは素晴らしいことだと思いました。

 民族も言葉も年代も性別も違う人間が、どこかで出会ったとします。(中略)もしその人が、『ファーブル昆虫記』や『トムは真夜中の庭で』や『アンネの日記』をあげたとしたら、私はたちまちその人と心を通わせることが出来るでしょう。
くうねるところすむところ (文春文庫)
編集長の仕事にも恋愛にも行き詰った梨央、30歳。ある日、酔った勢いで建設現場の足場に登り、降りられなくなったところをトビ職の徹男に助けられる。徹男に一目ぼれした梨央は、勢いで工務店に飛び込み就職。だがそこは、亭主に逃げられやむなく社長になった郷子がキレる寸前で大混乱中だった。女ふたりの行く末はいかに!?(裏表紙より)

面白かった! 30歳女性と、ずっと専業主婦だったのに工務店の社長をやることになった女性が、それぞれ仕事に向けて何かを見いだしていく話。
文章が小気味よくて好き! 梨央は途中くらいまで恋愛脳なのかなと心配になったけれど、段々と仕事にやりがいを感じていくところはかっこいい。すごくきらきらしてる。
お話もあんまり恋愛しているわけじゃなくて、とことん自分磨きというか、自分がどれだけできるのかを探していくものだったので、そういう自立心の強いところがある女性陣は本当にいい。仕事をすることに付随する人間関係の摩擦や仕事のやりくり、悩みなんかも、彼女たちなりに付き合っていくところとか、爽快! というわけではないのに、しみじみ、いい話だな! と思う。一言で言い表すなら楽しかった、かな。
オススメされた本でした。ありがとうございました!
先生×小説―掘りだしものカタログ〈1〉 (掘りだしものカタログ 1)
「先生」という働きを果たしている人物や出来事、そういった人が登場する話を紹介する読書案内本。薄いものですが、テーマ別にシリーズがあるようで、これは先生が登場する本を紹介したものです。芥川や三島、花袋といった文豪から、池波、司馬といった時代小説作品、小川洋子や芦原すなおといった今も作品を発表している作家、外国作品の紹介もあり、非常に幅広いです。
でもざっとみた感じ、社会性のあるものが多いのかな? なんとなく印象ですが、先生という職業が社会と関係するものだからかもしれません。
巻末に文学館、作家記念館のリストあり。デザインも好きな本です。
緑の我が家 Home,Green Home (講談社X文庫―ホワイトハート)
 浩志は、父親の再婚をきっかけに家を出た。
 壁に囲まれた路地を入り、「緑の扉」を開いた浩志を迎えたのは、高校生の一人暮らしには充分な広さの部屋と、不可解な出来事。無言電話、奇妙な落書き、謎の手紙etc.
 そして、「出ていったほうがいいよ」と呟く和泉少年の言葉が意味するものは……。
 嫌がらせ? それとも、死への誘い!?
 ——怖い——。しかし浩志の家は、もはやここ(・・)しかない! 息をもつかせぬ本格ホラー。(カバー折り返しより)

昔『過ぎる十七の春』を読んだときにぞぞっとしたのですが、今回もひいっとなりつつも、その怖さが面白かったです。「絶対に許さないよ」は怖い。
少年の罪、異界との境界にある家。悪意なのか、怪奇なのか。救われるものもありながら、決して動かせない異界がある。日常の中に入り込んだ恐怖をきっちりと描くとこんなお話になるのかと、面白かった。
オーデュボンの祈り (新潮文庫)
コンビニ強盗に失敗し逃走していた伊藤は、気付くと見知らぬ島にいた。江戸以来外界から遮断されている“荻島”には、妙な人間ばかりが住んでいた。嘘しか言わない画家、「島の法律として」殺人を許された男、人語を操り「未来が見える」カカシ。次の日カカシが殺される。無残にもバラバラにされ、頭を持ち去られて。未来を見通せるはずのカカシは、なぜ自分の死を阻止出来なかったのか?(裏表紙より)

デビュー作だったのか! はー面白かったー。一人称で進むお話なので淡白で薄い主人公なのだけれど、周りが濃い。手に汗握る面白さというよりも、淡々とした世界とシュールな設定の中のものが、どう結びついていくのかが面白い話だった!
閉ざされた島での奇妙な日々。そこに外の世界からもたらすものは何なのか、というのを、カカシ殺人事件から始まった謎の裏でずっと問われ続けてくるのだけれど、この、最後の! ずっと「島に欠けているもの」が何なのかというものが分かったとき、思わずぶわっとこみ上げてしまった。
好きな小説だった!
Profile
Author:月子
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