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読んだ本とか、漫画とか、映画とか、色々
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真紅の式使い (一迅社文庫アイリス)
「私のものになれ、彰」
死んだ者の魂を呼び戻し、式神として使役する《式使い》。孤独な式使いの少女・彰は、幼なじみの天帝・基に突然求婚される。師の仇である基の執着から逃れるために彰が降ろしたのは、強大な力を持つが記憶のない、美青年の式神・司。優しく真摯な司に、次第に惹かれていく彰だったが…。彰を想い彼女のためだけに戦う式神と、激しく彰を求める帝。二人の愛に翻弄される彰の運命は!?(裏表紙より)

ごちそうさまでした! 一人の少女に二人の男性が迫るというのは大変美味しいシチュエーションでございました。
彰がいい子で、やっぱりこういう女の子はいいなあと思う、芯の強い、瞳の強さが見えるような娘さんでした。そしてやっぱりツンデレ女子(仲良し)の存在は外せない! と思うのでした。女の子の仲良しいいな(にやにや)
最初に読んだ印象に『狂気と憎悪というには愛情の部分が強い』と書いたのですが、こうしてもう一度めくってみても同じように思いました。なんかあらゆる方向に矢印が散ってしまっていて、だからこういうことが起こってしまって……という感じ。だから非常に色んなことが切なかった。
ラストはびっくりしてしまったのですが、色々考えてみると梅の木があるよなあと思ったので、幻視という可能性も否定できないわけですよね。彼女は多分非常に意思の力が強かったと思うし。いや、そりゃ逢えたのならそれは幸せでいいんですが! でも行間を食い入るように読むのが本読みの宿命なのですよ!
そして表紙の赤が非常に綺麗だ。赤い本ってあんまり見ない気がする。
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作家のおやつ (コロナ・ブックス)
「作家の食卓」に続く、文豪たちのおやつに焦点を当てた一冊。

流石文豪、今でも老舗と呼ばれるお店のお菓子を食べるなあと思うものばかりを食べている。でも普通に明治のチョコレートを食べてたり、おせんべいを食べたり、カボチャの種を食べたりしているので親近感を覚えることもあった。写真がやっぱり綺麗でいいなあと思う。お菓子がとても綺麗だったり、風景がとても綺麗だったり、とても癒された。やたら月世界というお菓子が出てくるので、いつか食べてみたいと思っている次第。
メモ:凮月堂の玉だれ杏/神田「竹むら」の揚まんじゅう
凮月堂のやつは長野でしかないっぽい? 神田って、東京は遠いなあ。
作家の食卓 (コロナ・ブックス)
平凡社刊『太陽』の1994年10月号特集「作家の食卓」をもとに、追加取材・加筆・再構成したもの。作家たちの食卓を、再現したものや本人のものなどの写真を添えて書き記した一冊。

非常に美味しそうでした。写真がまた綺麗なんだー。記念館の様子や当時の様子の写真が乗せてあるので、文豪の書斎……とか思いながらハァハァしてました。掲載されている作家のひとり、森瑶子のヨロンどんぶりを再現して食べてみましたが、しみじみと美味しくて嬉しかったです。
メモ:内田百閒「御馳走帖」吉田健一「旨いものはうまい」池波正太郎「散歩のとき何か食べたくなって」森茉莉「貧乏サヴァラン」
メモの本はいつか読みたい。
TOKYO STYLE (ちくま文庫)
豪華な写真集や分厚い雑誌に出てくるようなインテリアに、いったい僕らのうちの何人が暮らしているのだろう。でも小さい部屋にごちゃごちゃと気持ち良く暮らしている人間ならたくさん知っている。マスコミが垂れ流す美しき日本空間のイメージで、なにも知らない外国人を騙すのはもうやめにしよう。僕らが実際に住み、生活する本当の「トウキョウ・スタイル」はこんなものだ!話題の名著文庫化!(裏表紙より)

1990年くらいの日本の、アパートやマンションや寮などの普通の人々が暮らしている部屋の写真集。非常に面白かったです。みんな結構雑然と暮らしているものだよなあ!
綺麗なお屋敷の写真集も非常に楽しいのですが、こういうごったごたの、何が置いてあるか家主にしか分からない部屋というのも大変面白いです。
書斎の部屋の写真があったのですが、本棚写真集があればいいのにと思いました。あと大学の寮の写真集とか。この本に掲載されていた芸術大学の寮の写真が非常にカオスで面白かったです。
穴 (ユースセレクション)
「まずい時にまずいところに」いたために、代々、イェルナッツ家の人々は辛酸をなめてきた。スタンリー(イェルナッツ四世)は、無実の罪で、砂漠の真ん中の少年院にぶちこまれ、残酷な女所長の命令で、くる日もくる日も不毛の地に〈穴〉を掘る毎日。
 ある日、ついにスタンリーはどこかにあるかもしれないイェルナッツ家の〈約束の地〉をめざして、決死の脱出を図るのだった。
 五代にわたる不運をみごと大逆転する少年たちの友情とプライドをかけた冒険物語!

鳥肌ものの素晴らしい小説だった! なんていうラストの怒濤の展開!
過去と現在が入り交じって語られて、どこがどこに繋がるのかというのを楽しみにしていたのに、こういうラストが来るなんて、笑いながら目を爛々と輝かせて読んでしまった(怖い)
少年たちの中で、弱気なスタンリーが次第に強くなっていくところというのも素晴らしいけれど、何のために穴を掘っていたのかというのが分かるところがすごい。不毛の地に繰り返される穴掘り、という生産性のない行為に、主人公のスタンリーが見つけるものというのが感動するのかも。
児童書っぽいこともあるので、読みやすくてオススメです。是非読んでもらいたい!
少年陰陽師 異邦の影を探しだせ
「ぬかるなよ、清明の孫」「孫、言うなっ!」
時は平安。13歳の昌浩は、稀代の陰陽師・安倍晴明の末の孫。
資質は素晴らしいのだが、まだまだ半人前。よき(?)相棒の、物の怪(愛称もっくん)にからかわれながら、修行に励む日々である。そんな中、内裏が炎上するという騒ぎが起き、昌浩はもっくんと共に独自の調査を開始するが……。
おちこぼれ陰陽師は都を救えるか!? 新説・陰陽師物語登場!!(裏表紙より)

とても元気な印象の小説でした。少年陰陽師の存在は知っていたのですが、今になるまでまったく手をつけたことがありませんでした。なんでだろう。
マスコットキャラというのがどうも苦手なので、私の視点はがんばる昌浩に向けられ続けてました。じいさまいいキャラ! しかし最後持っていかれたのがちょっと残念。昌浩がんばれ! もっとかっこいいところが見たい!
少年陰陽師と銘打っているだけあって、主人公の少年ばかりに焦点が当たるのですが、私は彰子が気になります。彼女はどこにいった、かわいい女の子は!?
私は少年少女を探し過ぎだと思うので、大人しく元気な昌浩を眺めておくことにします。
オススメしてくださったのに読むのが遅くなってすみません。ありがとうございました!
彩雲国物語―はじまりの風は紅く (角川ビーンズ文庫)
秀麗は彩雲国でもピカいちの名家・紅家のお嬢様。なのに家計は火の車。明日のごはん代を稼ぐため、舞い込んだオイシイ話に飛びついたのはいいけれど、その依頼ときたら即位間もない「ダメ王様」の教育係で、しかもお仕事(アルバイト)期間中は貴妃として後宮に入れというものだった。ほかに妃嬪のいない空室アリの後宮で、まったく女に興味ナシの困った王様と秀麗師(せんせい)の、奇妙な関係がはじまる! 〈第1回ビーンズ小説賞奨励賞・読者賞受賞〉(裏表紙より)

再読。以前読んだ時(帯はアニメ化のがかかってるのでそのくらい)は設定がごちゃごちゃしててちょっと読みにくいなあと思ったのだけれど、久しぶりに読んだら非常に楽しかった。真っすぐな道は王道なのに、そこに色んな背景を持った人々が関わってくることで、騒がしくもあり楽しくもある素敵な小説!
かなり、大人世代それもじいさま方の、苦悩や思いが描かれていて、この辺りとても切ない。解決してない不思議はあるんですが、でもこれも中華風ファンタジーの醍醐味と思うことにする。
楽しかった! オススメありがとうございました。記事を書くのが遅くなってすみませんでした!
ハルシフォンの英雄 (角川ビーンズ文庫)
新興国アダルシャンには、王権を守護するという宝剣がある。剣の名はハルシフォン。先頃、皇女ユスティニアと結婚した、戦神の誉れ高い王弟アレクシードに下賜されたものである。だが国王ユーゼリクスの剣となるべき英雄(アレクシード)には、現在(いま)も黒い噂がつきまとう。果たしてかれに、王の守護者たるべき資格があるのか、と。そんな折、アダルシャンと隣国との間に、国境の領土問題が発生して…? 「アダルシャンの花嫁」に続編登場!(裏表紙より)

前作である「アダルシャンの花嫁」での容赦ない展開に、大切な人を失ったアレクシード。非常に人間関係と政治部分がどきどきするシリーズだなあと思いました。うじうじする(でもやることはちゃんとやる)アレクシードが非常にいい登場人物で、彼が何を見つけていくのかというのが非常に綺麗な気持ちで見守りたくなる。
兄と弟の気持ちが、微妙にすれ違っているのに悶えてしまう。どちらも相手を大切に思っているのに、そしてそれぞれ正しいと思われる行動をしているのに、どうしても正面からかち合わない。ユーゼリクスがアレクシードのため彼を内政に近付けなかったのに、という思いと、アレクシードの兄のために国を守らねばという思いが、どうしてこうも他人の思惑や政治のせいですれ違ってしまうんだろう! これはいい兄弟小説です。
99%の誘拐 (講談社文庫)
末期ガンに冒された男が、病床で綴った手記を遺して生涯を終えた。そこには八年前、息子をさらわれた時の記憶が書かれていた。そして十二年後、かつての事件に端を発する新たな誘拐が行われる。その反抗はコンピュータによって制御され、前代未聞の完全犯罪が幕を開ける。第十回吉川英治文学新人賞受賞作!(裏表紙より)

導入の、息子を攫われた男の手記のところからものすごい勢いで引き込まれてしまった。
コンピューター制御による犯罪。88年刊なのに、私が読んだ21世紀の現在なら可能なのかもしれないと思わせるところにぞくぞくした! 多分警察の捜査も進化していると思うけれど、とても面白かった。
とても冷静で理性的な誘拐と復讐だったように思う。手記を読んだのが十一年後だとすると、その一年間に誘拐の準備をしたわけで。そうなると彼の心は、冷静というより狂気で静かだったようにも思う。
オススメありがとうございました!
チャイルド44 上巻 (新潮文庫)チャイルド44 下巻 (新潮文庫)
スターリン体制下のソ連。国家保安省の敏腕捜査官レオ・デミドフは、あるスパイ容疑者の拘束に成功する。だが、この機に乗じた狡猾な副官の計略にはまり、妻ともども片田舎の民警へと追放される。そこで発見された惨殺体の状況は、かつて彼が事故と遺族を説得した少年の遺体に酷似していた……。ソ連に実在した大量殺人犯に着想を得て、世界を震撼させた超新星の鮮烈なデビュー作!(上巻裏表紙より)

先生からお借りした本。
ひどく貧しい人々のシーンから物語は始まる。衝撃的なシーン過ぎる。「誰かに食べられる」という言葉は比喩だと思ってたのに、そのまんま事実だったというのが下巻で分かるのが怖かった。
上巻はレオが、フョードルの子どもの死体と同じ惨殺死体を発見するところで終わる。上巻はミステリーというより、ここがどういう世界でどういうことが許されまかり通るのかという説明だった気がする。頭の中で「オルフェウスの窓」ががーっと通り過ぎていった。
大変なことにまったく伏線に気付いていなくて、明かされたものにびっくりした。逃亡と追跡を二つやってのけるレオにどきどきして、葛藤を抱えて苦悩する彼にも魅力を覚えた。国家がなければ個人は成り立たない国での、個人を守るための物語だったのかな。ワシーリーとの決着や、犯人との決着、そしてレオが選んだ未来。結末はまさに、子どもたちの未来のためのものだった。ラストの素晴らしさは、世界観の残酷さや不条理さのために際立っていたと思う。
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Author:月子
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