読んだ本とか、漫画とか、映画とか、色々

落ちぶれた愛人の源七とも自由に逢えず、自暴自棄の日を送る銘酒屋のお力を通して、社会の底辺で悶える女を描いた『にごりえ』。今を盛りの遊女を姉に持つ14歳の美登利と、ゆくゆくは僧侶となる定めの信如との思春期の淡く密やかな恋を描いた『たけくらべ』。他に『十三夜』『大つごもり』等、明治文壇を彩る天才女流作家一葉の、人生への哀歌と美しい夢を織り込んだ短編全8編を収録する。(裏表紙より)
難しかった、です! だめだーこの文体合わないーと思いながら苦しく読みました。
一番好きだったのは「大つごもり」かなあと。「たけくらべ」もいいと言えばいいのですが(雨のシーンとか!)でもやっぱり私には読みにくかったです。だから感想が書きにくい。
解説には写実性を賛美されているようですが、その時代のことを知らないのであまり理解がなかったりするので、各々の作品に登場する未来性が決定されている者たちについては、なるほどなあと思ったり。
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「お母さん、これは、ひどい」都会でフリーライターとして活躍するみずほ。地元で契約社員として生活するチエミ。かつて友人関係にあった二人の人生は、チエミの母が殺害されたことで再び重なる。逃亡するチエミを追い、突き動かされて聞き取りを始めるみずほ。何故チエミは姿を現さないのか? 二人の女性と母の物語。
すごかったです。いつもの辻村さんじゃない……とか思いながら、ごくごく読みました。
逃亡する友人を追うために聞き取り調査をする、というところから、その人物が「どう見られていたか」が描かれるので、そういう視点の向け方や描き方がすごいと思いました。一定じゃないけれど、何か罪深いものとして見られているのが分かるので、チエミが追い詰められていたように感じた。
母親がその娘にどう関わるか、という問題作でもあったように思います。ちなみ我が家は、私は若干チエミ入ってる。妹はもう関わらないでと反発して離れていくタイプ。うわーやべーと思いながら読みました。
チエミの逃亡理由は大体察せられるし、それが結局どうなったかも想像がついていたんですが、その中で母殺害の真相がすごかった。
S学院は多分青南学院(冷たい校舎の学校)だろうなあと思いながら読む。全然話の筋に関係ないけど。

些細なことがきっかけでいじめられるようになったトシちゃんとワタルの逃避行「ロードムービー」彼と塾の問題児の少女の「道の先」ヒロとみーちゃんが冬の冷たい校舎に至るまでの一幕「雪の降る道」。『冷たい校舎のときは止まる』から生まれた短編集。
表題作「ロードムービー」が、辻村さんらしいトリックでとても面白かった。いじめの結果がそういうものになったのも、素晴らしくかっこよかった。直前まで冷たい校舎を読んでいたので、トシちゃんが誰の子どもかと考えたり、タカノのおじさんと、綺麗なおねえさんににやっとしたり。結末でようやくお前らは! となったり。とてもおいしゅうございました。
「道の先」は冷たい校舎で最初に消えた彼の話。若干彼女も出てきます。大人になった彼がどんな風に希望を指し示すのかという話だったのかなと。多分、冷たい校舎での出来事と、彼女の存在がなければだめだっただろうなあという、彼の成長ぶりが分かる話でした。
「雪の降る道」は幼い二人と兄ちゃんの話。みーちゃんは相変わらず人の痛みに一生懸命で、意外にもヒロがわがままというか自分勝手なのがびっくりしました。冷たい校舎の方では大人しい印象だったので。でもわがままも仕方がなかったのかな、と思う背景があるので、きっとこれをきっかけに、ヒロはみーちゃんを大切に思うようになったんだなと考えると、正直にやにやします。
せっかくなのでノベルス版。



文庫版も貼っちゃえ。


ある雪の日、学校に閉じ込められた男女8人の高校生。どうしても開かない玄関の扉、そして他には誰も登校してこない、時が止まった校舎。不可解な現象の謎を追ううちに彼らは2ヶ月前に起きた学園祭での自殺事件を思い出す。しかし8人は死んだ級友(クラスメート)の名前が思い出せない。死んだのは誰!? 誰もが過ぎる青春という一時代をリアルに切なく描いた長編傑作!(上巻・裏表紙より)
何度目かの再読。高校生の時に読んで、辻村さん大好き! と叫ぶきっかけになった作品。以降辻村さんを追いかけるようになりました。
上巻は、疑心暗鬼に陥って混乱しながらも冷静に推理をする人々と、充の話。
充の自己分析は、結構身に痛かった。優しいのは誰にも興味がないからだという。だからみんなに都合がいいし、頼られもする。傷を負った人を引き寄せもする。
ホストが誰か分かっているので、そういうのを考えながら読むのがやっぱり楽しい。
中巻は、清水、梨香、昭彦の話。一人一人の視点や悩みが、少しずつ自分と重なっていくのが分かってやっぱり好きだーと思う。なんで私の考えてることが分かるんだろうというのが、辻村作品が好きな理由なんだー。
今のところみんな恐怖を抱きながら消えていくけれど、消えた後、みんなはホストに対してどう思ったんだろう。こういうことになった原因がそうだから、仕方がないと思ったんだろうか、と考えたりする。
下巻は、菅原、景子、鷹野、深月の話。痛さが段々と増してきていて苦しかった。ただ、その中で、唯一自分から立ち向かうものを選んだ景子の話はかっこよかった。それだけに、鷹野が回避しようとした際の裕二との会話は、あれだけ短いのに痺れるほど素敵だった。
菅原の話はぼろぼろ泣いた。菅原の、何故『ひまわり』に来たくないのか、っていうのは、その通りだと私も思ってた。長編の一エピソードなのに、辻村さんらしいトリックや描き方で感動した。
鷹野の、深月に対する台詞。過去形かー!!! と思って泣いた。
ラストのまとまり方は、苦しいところを乗り越えた先に希望を見せてくれたようで、ほっとした。やっぱり好きだと思った。



文庫版も貼っちゃえ。


ある雪の日、学校に閉じ込められた男女8人の高校生。どうしても開かない玄関の扉、そして他には誰も登校してこない、時が止まった校舎。不可解な現象の謎を追ううちに彼らは2ヶ月前に起きた学園祭での自殺事件を思い出す。しかし8人は死んだ級友(クラスメート)の名前が思い出せない。死んだのは誰!? 誰もが過ぎる青春という一時代をリアルに切なく描いた長編傑作!(上巻・裏表紙より)
何度目かの再読。高校生の時に読んで、辻村さん大好き! と叫ぶきっかけになった作品。以降辻村さんを追いかけるようになりました。
上巻は、疑心暗鬼に陥って混乱しながらも冷静に推理をする人々と、充の話。
充の自己分析は、結構身に痛かった。優しいのは誰にも興味がないからだという。だからみんなに都合がいいし、頼られもする。傷を負った人を引き寄せもする。
ホストが誰か分かっているので、そういうのを考えながら読むのがやっぱり楽しい。
中巻は、清水、梨香、昭彦の話。一人一人の視点や悩みが、少しずつ自分と重なっていくのが分かってやっぱり好きだーと思う。なんで私の考えてることが分かるんだろうというのが、辻村作品が好きな理由なんだー。
今のところみんな恐怖を抱きながら消えていくけれど、消えた後、みんなはホストに対してどう思ったんだろう。こういうことになった原因がそうだから、仕方がないと思ったんだろうか、と考えたりする。
下巻は、菅原、景子、鷹野、深月の話。痛さが段々と増してきていて苦しかった。ただ、その中で、唯一自分から立ち向かうものを選んだ景子の話はかっこよかった。それだけに、鷹野が回避しようとした際の裕二との会話は、あれだけ短いのに痺れるほど素敵だった。
菅原の話はぼろぼろ泣いた。菅原の、何故『ひまわり』に来たくないのか、っていうのは、その通りだと私も思ってた。長編の一エピソードなのに、辻村さんらしいトリックや描き方で感動した。
鷹野の、深月に対する台詞。過去形かー!!! と思って泣いた。
ラストのまとまり方は、苦しいところを乗り越えた先に希望を見せてくれたようで、ほっとした。やっぱり好きだと思った。

あたし、大西葵13歳は、人をふたり殺した……あたしはもうだめ。ぜんぜんだめ。少女の魂は殺人に向かない。誰か最初にそう教えてくれたらよかったのに。だけどあの夏はたまたま、あたしの近くにいたのは、あいつだけだったから——。これは、ふたりの少女の凄絶な《闘い》の記録。『赤朽葉家の伝説』の俊英が、過酷な運命に翻弄される少女の姿を鮮烈に描いて話題を呼んだ傑作。(裏表紙より)
話の流れとしては『砂糖菓子の弾丸は撃ち抜けない』に似ていますが、もうちょっと救いようがあって、もうちょっと救いようがない。つまり救いと救われなさの種類が違うのですが、ラスト思わず頭を抱えました。桜庭さんは、なんて、どうしようもない少女がうまいんだろうと。
行き過ぎた思春期というのは俗に中二病と呼ばれますが、これが後から考えると「なんてどうしようもなかったんだろう……」ともんどりうつ存在なのです。この作品でその代表格が静香です。
一方主人公の葵は普通の子ですが、周囲との摩擦を恐れていたり、親の存在に苦悩する、ある意味どうしようもない状況にいる少女。「どうしようもない」のは物語の場合状況を指すこともあり、その状況が切羽詰まっているのが葵。
その二人が出会ったら、後は破滅へ進むしかないと思って読んでいたら。うああああ……。
助けて、ではなく、捕まえて、だったのが、もう……。

人間はこの世の中で一番やさしいものだと聞いている——北海の海底に一人寂しく過ごした人魚が、夢と希望を託して人間界に生み捨てた美しい娘の運命を描く『赤いろうそくと人魚』。ある夜中、おばあさんの家を風変わりなお客が訪れる『月夜と眼鏡』。旅人を眠らせてしまう不思議な町をめぐる少年の冒険『眠い町』等全25編を収録。グリム、アンデルセンにも比肩する児童文学の金字塔。(裏表紙より)
「赤いろうそくと人魚」を友人たちが課題に出されていて、読ませてもらったら面白かったので買ってみた。
「赤い〜」がやっぱりいいなあと。人間をこの世で一番優しいと聞いていると信じて娘を陸に生んだ人魚自身の本当の優しさや、娘が絵を描いた蝋燭を売れば儲かると考えた人間たちの欲。しかし蝋燭を灯せば無事に航海できるという純粋な信仰と、純粋さ故に絵を描いている誰かを思い当たらないこと。寂しくて、冷たい、ひとりの寂しさを感じていたのは、娘が大勢の人がいる場所で一人で絵を描き続けたからかもしれない。
幾年もして町が滅んだというのは、神様の存在があるのではと思ったりしました。その神様を航海の神様としてたたえたり、今度は嵐を呼ぶ神だと遠ざけたり。他者を思いやる心がなければ滅んでいくだけだ、と神様の存在を描いたようにも思えます。
色々綺麗で素敵な童話ばかりなのですが、国境を守る老人と青年の交流を描いた「野ばら」も好きです。すごく優しかった。

それは突然だった。保育園の頃、毎日遊んでくれた大好きだったお兄さんが、中学生になった夏実の前に現れた。「追われているんだ。かくまってくれないか」なんとお兄さんはロリコン男としてネット上でマークされていて!? こうして、夏実とお兄さんのちょっとキケンな逃避行が始まった——。可愛いだけじゃない。女の子のむきだしの想いが胸をしめつける、まぶしく切ない四つの物語。(裏表紙より)
『エバーグリーン』とか『檸檬のころ』タイプの小説を想像してたのに全然違ったー!
「あわになる」は良い意味での「さあ生まれておいでなさい」です。それはどう反応すれば……と若干困ったのですが、……本人たちがいいのなら良いんでしょうと納得してみる。
表題作は女の子とお兄さんの逃避行です。シリアスです。
「すこやかだから」は若干エロいです。女の子らしくない小学六年生とナイフを持ち歩く小学五年生の触れあいですが、雰囲気が背徳的。
変わって「ハローラジオスター」は大人っぽいです。女子大生の日々恋愛成分多め、です。遊ぶことに命かけてる感じの女の子の日々。希望があっていいなと思いました。
単行本版とはかなり内容が違っているらしいですとあとがきにありました。私が読んだのは文庫版です。

これからどうやって生きていこう? マイペースに過ごす女子大生可南子にしのびよる過酷な就職戦線。漫画大好き→漫画雑誌の編集者になれたら……。いざ、活動を始めて見ると思いもよらぬ世間の荒波が次々と襲いかかってくる。連戦連敗、いまだ内定ゼロ。吞気な友人たち、ワケありの家族、年の離れた書道家との恋。格闘する青春の日々を妄想力全開で描く、才気あふれる小説デビュー作。(裏表紙より)
就職活動する女子大生の日々。でも就職活動のマニュアル本じゃなくて、あくまで日々を綴ったもの(でも反面教師的だろうか……)微妙に伏せてあるが、試験を受ける会社は実在するあちこちの出版社の名前が……。
可南子の描き方や考え方もそうなのですが、すっごく渋いです。こだわりを感じました。分かってもらおうとはしていないけれど、こういう信念があるというところが格好良かった。でも吞気すぎるけど!
西園寺さんの存在が超素敵でした。おじいちゃん素敵ー。あらすじ読んだ時はうっかり不倫かと思ったんですが、そうじゃなくて普通に恋愛しているところもよかったです。やってることは若干変態チックだけど!
くすっと笑うところがいくつもあって、気楽に読めました。楽しかったー。

泣き虫の葵と美しい弥生。同じ孤児でありながら、葵は虐げられ、弥生は愛されて育った。ある日、五人の男が大企業の継承権を持つ少女を求め、二人のもとを訪れる。葵と弥生、どちらが本物の継承者なのか? 閉ざされた邸に引き取られ、ともに教育係の高杉に想いを寄せる彼女らが辿る運命とは——。権力争いの”駒”として育てられた少女二人の友情と懊悩を綴る『雪の断章』の姉妹編。(裏表紙より)
孤児4部作の2作目。誰が誰やらと思いながら読みました。『雪の断章』でさらっと書かれた飛鳥にも絡む糸の原因が、また別の形で絡まっています。
葵と弥生の正体に大どんでん返しがあると思ったんですが、この話はそういうところに持っていく必要のない話だったわと思い出しました。しかし『雪の断章』が好きな私にはちょっと不満でした。せっかく今度は女2男1なのに、もうちょっと「女の子の秘密」をしてくれたらいいのに!
『雪の断章』での彼が出てきてびっくりすると同時に、ああ因果だなと思ったのも確かです。この話の原因となったものが若干明かされるのですが、なんて悲しい糸の絡まりなんだろうと。続きは読めていないのでまだ何とも言えないけれど、どうやら原因たるものと少女たちの話になっているみたいなので、元気な時に読もうと思います。持っていかれるんだこの文体。

迷子になった五歳の孤児・飛鳥は親切な青年に救われる。二年後、引き取られた家での虐めに耐えかね逃げ出した飛鳥に手を伸べ、手元に引き取ったのも、かの青年・滝把祐也だった。飛鳥の頑なな心は、祐也や周囲の人々との交流を経て徐々に変化してゆくが……。ある毒殺事件を巡り交錯する人々の思いと、孤独な少女と青年の心の葛藤を、雪の結晶の如き繊細な筆致で描く著者の代表作。(裏表紙より)
マルシャークの童話「森は生きている」をモチーフにした、大変心が持っていかれる感覚のある小説でした。
何より、文章が美しい。流れるように、きらきら輝いている。あまり見かけない筆致で書かれる方だわ……と思ってそこからのめり込みました。読む人を選ぶというのか、無理な人は無理だと思います。
引き取られた先でこき使われて逃げ出したというのを責めたり、飛鳥が捻くれてる、とみんな言うのですが……飛鳥が養子だからと言葉を呑み込むのはよく分かるし、その辺りはもうちょっと心を開こうとも思うけれど、捻くれてるのとはちょっと違うような。なんだか悪く言われるところが言いがかりっぽくて悲しくてしょんぼりしました。それが狙いだとしたらすごいと思います。
祐也さん、史郎さんの存在がとても良い。仲間みたいにしてくれてる感じがしました。特に史郎さんは……と色々起こったことを思うと、とても飛鳥を愛しく思っていたのだなあと。飛鳥を拾って、育てると宣言した祐也さんもかっこいいですが、飛鳥だと決めていたという史郎さんにもときめきました。
愛や犯罪で思いを巡らす飛鳥が、年頃の女の子の様々な闇の部分を抱えている感じがしました。ラストは悲しいけれど、綺麗でした。