読んだ本とか、漫画とか、映画とか、色々

ミシアは復讐するために王宮にやってきた。八年前、自分を子ブタ扱いした少年はアドルファ・オレン。屈辱をバネにミシアは美しく生まれ変わった。だがいま目の前に立つその彼も腹が立つほど綺麗なオトコに成長し、面差しには陰りをたたえる。「むかし、あなたに対してひどいことを言った」再開に際してアドルファはミシアに謝罪した。幼いころとはまるでちがう彼にミシアの心は波うった。(カバー折り返しより)
三部作の一巻。
見返して惚れさせてこっぴどく振ってやる! と思い成長した少女が主人公。少女小説としてはとてもときめきがあるストーリー。だけれど、簡単にはいかないところがすごく良い。アドルファの馬鹿みたいな恋愛下手、不器用さ、彼が好きだった女性の存在、王からの婚約者候補、エネアドを狙う陰謀など、盛りだくさん。
何より会話がふるってるなあ! すごくテンポが良い。
ミシアがただの田舎の美少女じゃなくて、頭が良くていざとなれば凛とする事が出来るというのが格好良すぎる。
緋色の椅子



ニオルズから旅立っていった幼馴染みのルカに会いに、セツは王都バーゼンへ。ルカは国王の息子で、王位を継ぐ為に王都に向かったのだ。しかし披露目の際に王として現れたのは、ルカではない全くの別人だった。
ルカを探すセツたち。セツたちの思いが辿っていこうとするルカの思いは、やがて多くの人々の思いの強さを問うていく。
一番大切にしたい漫画。
こてこての恋愛物より、心の繋がりを大事にしたいと夢見ている私には、ラストが泣けて仕方がなかった。
モノローグが祈りに満ちていて綺麗。
この言葉が二人のどちらでも意味が取れて、胸がぎゅっとする。
一話一話の細かい所が繊細な大きな物語を作っていて、あの伏線この伏線とラストに向けて綺麗に重なっていくのがたまらない。
巻末にある、物語の断片のたくさんの絵が好きです。ちょこちょこ小ネタが効いていてとても嬉しいし胸がときめく。こういうシーンがあったんだよと想像を巡らせるのが楽しい。
残念な事に好き嫌いが分かれる絵なんですが、私は好きです。話はもっと好きです。緋色を布教し隊。これは二回以上読んで伏線を探してにやにやすると良いと思う。



ニオルズから旅立っていった幼馴染みのルカに会いに、セツは王都バーゼンへ。ルカは国王の息子で、王位を継ぐ為に王都に向かったのだ。しかし披露目の際に王として現れたのは、ルカではない全くの別人だった。
ルカを探すセツたち。セツたちの思いが辿っていこうとするルカの思いは、やがて多くの人々の思いの強さを問うていく。
一番大切にしたい漫画。
こてこての恋愛物より、心の繋がりを大事にしたいと夢見ている私には、ラストが泣けて仕方がなかった。
モノローグが祈りに満ちていて綺麗。
さみしい時は
空をあおぎ
あの人の暮らす地の
空を想う
きっと幸せに
笑っていると
唱えて日々を
越えてきた。3巻・LAST ACTより
この言葉が二人のどちらでも意味が取れて、胸がぎゅっとする。
一話一話の細かい所が繊細な大きな物語を作っていて、あの伏線この伏線とラストに向けて綺麗に重なっていくのがたまらない。
巻末にある、物語の断片のたくさんの絵が好きです。ちょこちょこ小ネタが効いていてとても嬉しいし胸がときめく。こういうシーンがあったんだよと想像を巡らせるのが楽しい。
残念な事に好き嫌いが分かれる絵なんですが、私は好きです。話はもっと好きです。緋色を布教し隊。これは二回以上読んで伏線を探してにやにやすると良いと思う。

外国のスケベオヤジに売り飛ばそうと美少女たちをのせた”人さらい船”に、総長シアシーカもとらわれの身となっていた。団長ハルセイデスを筆頭に〈黎明の使者団〉は船を急襲! 無事、救い出すことに成功する。解放された人質の中に、男装した女騎士もいた。その名はアスティル。プラチナブロンドに印象的なブルーの瞳をもつ美しい女性。しかし”自分は女性ではない”と主張しだして…!?(カバー折り返しより)
「グランドマスター!」第二巻。
「楽園の魔女たち」の初期と比べて、文章が軽くなったように感じる。その分想像を掻き立てる、くすっと笑える所がかなり盛り込まれている。
ネタ的にはありがち。けれど細かい所、決闘の描写なんかが書き込まれていて面白い。
シアシーカの能力発揮は今回はなし。けれどちょこちょこフォローしているみたい? ハルセイデスとシンクロしているのか、この辺りは伏線だろうか。
ハルセイデスはすでに無意識にシアシーカに「そんな顔させたくない」と思うほど感情移入しているらしい。にやにや。ついでに休日になると妙に口調が砕けている。ラストの包帯巻きのシーンは嫌がっていないのがポイントだと思われる。

強国シスタスがソルド王国を再び侵略——最悪の報せが偽王フェンベルクに齎されたあ。小国に残る友を救うため、戦いと恐怖の連鎖を断ち切るため、彼女は全ての元凶シスタス皇王がいる地へ。だが辿り着いた敵の中枢部で見たのは、強国が隠し続けた闇と思いもよらぬ人物だった!! 「フェンネル大陸 偽王伝」シリーズ完結編!(裏表紙より)
読み切った。
このシリーズしか読んだ事はないのだけれど、風景の描写はとても綺麗だ。
フェンは最後まで普通の子供で、誰かに作用できる力なんて持っていないと思っている。本当は生きているだけで誰でも誰かに作用できるんだと思った。
子供三人組が可愛いな。男二人は不器用だけれど、フェンは素直で真っ直ぐだ。
あくまで作者はフェンを普通の子供として書こうとしているみたい。この物語は一章のつもりらしい。フェンが出て来るなら読んでもいいかなと思っている。

王を名乗る者は全て粛清する——非道の大国シスタスによるこの皇王宣言に叛逆し、自らを偽王と名乗ったフェンベルク。命懸けで敵の牙城へと向かう幼き戦士は、シスタス軍の追撃から逃れた町で、ある真実を知る。それは嘗て、雲の国・ラビッジで起きた恐ろしい事変と、戦友・リノに隠された悲しい過去だった!! 戦乱を駆け巡る、王道ファンタジー第6弾!(裏表紙より)
偽王と名乗ってついに人が集まり始めるのかと思っていたのだけれど、作者さんはあくまでフェンは普通の子供として書こうとしているらしい。ルバーブの者、商人の娘、どちらも同じものだと、フェンは正しい事を貫こうと藻掻く。誰かに影響する事、つまり生きる事の重みを、強く感じ取っていく。
フェンは正しい。みんなが心の底で信じていたい事をきちんと考えて、口に出来る強さを持っている。それが誰かに影響するんだと思う。
もうちょっとリノ自身の視点が欲しいかなと。リノにまだ思い入れを強く感じない。設定はとても好みで、集まる人々の理由も分かるのだけれど。どっちかというとマットの方に感情移入してしまう。レティシアは戻らずに一人淡々と復讐の機会を狙ってるんじゃないかなと思ったけれど、最終巻を途中まで読むとどうやら、自分が幸せになってはいけないと考えているらしい。
でもここまで焦らす感じが、最終巻の終盤で一気に人々と思いが収束するだろうという期待に溢れる。

「黒窓の会」。西之園萌絵を囲んで開かれるその秘密の勉強会にゲストとして招かれた犀川創平は、古い写真にまつわるミステリィを披露した。屋根飾りと本体が別々になった奇妙な石塔は、何のために作られたのだろうか。S&Mシリーズ二編を含む、趣向を凝らした十作を収録。『まどろみ消去』に続く第二短篇集。(裏表紙より)
全編素晴らしく読み応えのある一冊だった。やはり一冊を通して書かれる物よりはトリックが簡単な物で、よくあるモチーフだったりするんだけれど、きっちり書いているのは森博嗣の魅力。
「小鳥の恩返し」。可愛らしい。登場人物たちが。そして切ない。小鳥の名前は「キヨシ」。清の字かなと考えた。
「片方のピアス」。結局残ったのはどちらだったのか。曖昧に書いて考えさせているように感じた。流れ的にはトオルのようだけれど、逆も有り得る。
「僕に似た人」は一番毛色が違う。でも好き。森博嗣は思考や迷いを書かせると、すごく上手いと思う。僕が誰か分からなかったんだけれど、小学生と読んでびっくりした。
「河童」はとても文学的だった。芥川の「河童」は読んだ事がないんだけれど、何か引用があるんだろうか。
「気さくなお人形、19歳」。れんちゃん登場。確か第二シリーズくらいで登場するんだったか? 二次創作サイトさんでちょこちょこ絵を見ていたので、こんな子だったのかとちょっとびっくりした。一人称が僕って、ちょっと私はひいてしまう。
ついうっかり睦子叔母様を萌絵の大人バージョンとして読んでしまう。どの本かは忘れたけれど、睦子叔母と萌絵の、小説という文字媒体そのものをトリックとした小説はとても面白かった。だから叔母様が萌絵と重なって見える。

他国を侵略、王を粛清するシスタス。この大国に対抗する小国連合を作るべく大陸を駆けるフェン、ロカ、リノであったが、彼らにもシスタスは圧倒的な力で牙を剥く! だが希望失われしその時、大国に弓引く者出現。その者、自らをこう名乗る——「偽王」。シリーズ名に隠された謎が、今、明らかに! 乱世に生きた少女の、王道ファンタジー第5弾!(裏表紙より)
面白かった! ようやくキタキタキターと手を握る展開になってきた。あと二巻で終わるみたいだけど。フェンが偽王を名乗るのは予測が付いていた。そこにどうみんなが集まってくるか。
よく考えると登場人物がほとんどみんな若くて、自分の魂、生き方をどう獲得していくかが、この物語なんだと思う。フェンは最初まっさらで、今でもまだその印象は拭えないけれど、誰かを大切に思う気持ちがある。
けれどその大切に思う気持ちは、もしかしたら故国での兄王への思いが拭えていない証拠かも。いや、違う。元々フェンとしてあったものだ。誰かの為に生きられる「フェン」だ、きっと。
クレインが登場して、紋章が戻ろうとしているのが運命的。王家に連なる彼女が王、偽王として立つ時を確かにしたように思う。人々も集おうとしている。段々加速してきた。

大国シスタス、ソルド王都を急襲。炎に包まれる美しき都、人質となる市民、強敵を前になすすべなく敗走するソルド軍。衝撃的な知らせを聞いたフェンベルクは逃げ遅れた親友・ロカを救うため戦場へ。その勝ち目なき強敵シスタス軍との戦い、フェンはある意外な行動に出る! 風雲急を告げる、王道ファンタジー第4弾!(裏表紙より)
北の大国パラクレスからソルドに戻ってくると、ソルドはシスタスによって攻め込まれ、退却を余儀なくされていた。フェンは王都にいるロカを助ける為に、ソルドの軍陣に。
リーク双貴国の二人が良い味だ出してるなーと思った。彼女たちが闇と光の双翼なのか。
戦場のシーンはすごく格好良かった。この人すごく本格的に書く人だなと思う。国々の違いが明確で、それによって道具の差違もあって、とても面白い。
カティアの『戻ってきたら伝えたいこと』はあっさり、彼女自身の『国に歩み寄ろうと思う』という決意の事で、フェンとはあんまり関わりがなくて気抜けした。
アシュレイはなんとなく向こう側に行く気がしていたけれど、きっと敵の懐に潜り込んでから戻ってこようとすると思う。なんてったって王道だから。
冲方丁「マルドゥック・ヴェロシティ」3
「マルドゥック・スクランブル」1・2・3
岩本隆雄「イーシャの舟」
高里椎奈「フェンネル大陸偽王伝」孤狼と月・騎士の系譜・虚空の王者
北村薫「冬のオペラ」
神林長平「ライトジーンの遺産」上
「マルドゥック・スクランブル」1・2・3
岩本隆雄「イーシャの舟」
高里椎奈「フェンネル大陸偽王伝」孤狼と月・騎士の系譜・虚空の王者
北村薫「冬のオペラ」
神林長平「ライトジーンの遺産」上

衝撃のソルド八世王誘拐から一月——王を捜すため入国したパラクレスでフェンベルクは思わぬものに遭遇する! 恐ろしいほどに王に似た男・クドラ、彼女を襲う女・ベルテ、隠れて立つ謎の研究所。この奇妙な謎と王の誘拐に関係はあるのか? そして命を狙われたフェンの運命は? 謎が渦巻く、王道ファンタジー第3弾!(裏表紙より)
謎らしい巻だった。逃げたり、潜んだり、潜り込んだりする話は好きだ。
ただソルドとパラクレスの関係というか、秘密に関しての描写がバタバターと過ぎていった感じ。クドラがいなくなったからかなあ。彼は今後出て来て大きく物語を左右させるんだろうか。
サチが良い味出してる。物語のムードメーカーだと思う。二十代前半だという話にちょっとびっくりした。うん、まあそのくらいの年だろうな。
巻末はベルテの短編。何故ベルテだったのかなあと考えて、クドラを掘り下げようとしたんだろうかとも考えたけれど、ベルテ自身の話が長いからそうでもないか。でも少しはあるんじゃないだろうか。