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黄昏のまぼろし 華族探偵と書生助手 (講談社X文庫)
 昭和初期、京都。三高に通いながら中村紡績商会社長邸に書生として住み込む庄野隼人は、社長直々に高倉伯爵家の次男で作家の小須賀光を紹介される。
 美貌で華族らしい気品を漂わせる小須賀に感嘆したのも束の間、庄野は小須賀の類を見ない毒舌に絶句する。庄野は小須賀に助手を命じられ、謎の失踪を遂げた鹿嶋子爵秘書の行方を追う羽目に。
 失踪の裏にある秘密に華族探偵と書生助手が迫る!(裏表紙より)

これがホワイトハートなのか、というとてもしっかりした昭和初期を舞台にしたミステリー。衰退していく華族、国を覆っていく共産主義、若者たちは悩み苦しみ、小さな爆発が起き始めている。国が変わっていくもやもやとした雰囲気が、京都のうだるような暑さと人間関係の濃密さにも表れているように思います。
とある華族の秘書の行方を探すんですが、真相はだいたい想像がついたものの、それにたどり着くまでの人間関係の複雑さや、庄野の目を通して語られる人々のちょっとした言動が面白くて、とても濃く感じられました。
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Author:月子
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