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村田エフェンディ滞土録 (角川文庫 な 48-1)
1899年、トルコのスタンブールに留学中の村田は、英国人のディクソン夫人の元、ムスリムのムハンマド、ドイツ人のオットー、ギリシア人のディミィトリスと下宿している。彼らと日々議論を交わし、発掘に参加し、日本人と交流し、様々な神々と触れ合う日々。しかし帰還命令の帰国から数年、あの友たちは、第一次世界大戦の運命に巻き込まれ。

光が染みた。どうしてこんなにきらめくんだろうと思った。梨木さんの光は本当にラストにさあっとよみがえって射す。
村田たちの日々が、きっとどこにでもある普通の日々だった、けれどかけがえのない日々だった。

 鸚鵡だから人馴れはしているだろうというのは見当違いである。最初は暴れて、知る限りの(多分)言葉で啼き立てた。

という一文から、(多分)の言葉に笑ってしまって、この瞬間から引き込まれていたのだと思う。
神様同士の喧嘩が面白かった。ちょっととぼけた感じになって、必死になったり被害を被ったりする村田たちがおかしい。

 ねえ、私達はあの小憎らしい鸚鵡を、結局、随分愛したわねえ……。鸚鵡と、鸚鵡の周りの私達の笑い声を。

 ――友よ。
 と甲高く叫んだ。


ぶわっと涙が溢れてきた。なんて光なんだ。
淡々としているのに鮮やかに描きながら、降り注ぐ淡い光を梨木作品は忘れていないように思う。越えていける強さというのか、きっとこれを思えば大丈夫というような、一瞬の輝きを感じる。
読んでよかった。
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