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蛇行する川のほとり (中公文庫 お 70-1)
憧れの存在だった上級生の香澄と芳野に誘われ、舞台背景画を描くために三人の合宿に参加することを決めた毬子。しかし合宿前に「九瀬に関わるのはよせ」と香澄に対する忠告を見知らぬ少年から受ける。待っていた合宿が始まり、三人だった香澄の家「船着場のある家」にやってきたのは、忠告をした少年月彦と、毬子に思いを寄せてくる暁臣。五人の合宿は、やがて夏の日に起こった二つの事件を暴こうとしていく。

恩田陸成分補給。久しぶりに底知れないところで怖かった。
少女たちの幻想というのか、一枚の絵を見ているような。ちょうど、表紙の酒井さんの作品のような、絵がずっと連続して続いている感じ。
恩田さんの視点みたいなのをずっと感じる作品だった。あとがきにもあるように、恩田さんの、少女たちを見た時の思いがずっと滲んでる。それが多分、一人称で語られながらも、第三者が見ているような、絵を見ているような不思議な感覚を引き起こすんだろう。
一番好きなのは芳野の章「ケンタウロス」。香澄の「愛してるわ」の意味がラストでぐっと迫ってきて良かった。少女から少女へ、という愛なので、少々倒錯的と言えるのだけれど、暗黒さはないので、とても良かった。
最初のページの文は、意思みたいなのが語りかけてる感じなのかな。
夏に読む童話的小説。でも読み終わるとやっぱり怖い感じ。
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