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読んだ本とか、漫画とか、映画とか、色々
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私の男
腐野花は結婚する。しかし相手は、私の男ではない。養父であり男である淳吾は、傘を傾け雨から花を守る。ずっと守ってきた。結婚し、新婚旅行から戻ってきた花は、以前の部屋から淳吾が消えてしまったことを知る。罪の象徴であった、あの死体を片付けて。

これ構成がすごくすごーく好きだ。設定が暗く澱んでいて、あんまり読み進める気がしなかったのだけれど、読んでいくうちに考えていけばいくほどすごく面白かった。
全6章。視点を変えて次第に過去へ遡っていくのが構成。1章は謎を残したまま終わり、2章から少しずつ明らかになっていく愛情と罪と繋がり。純度を増していく一方で、読み終わった章の歪みを強調していく、というのがとても感動した。あくまで私感だけど、すごいこれ。
第4章の「花と、あたらしいカメラ」の、叫ぶシーンがすごく頭にある。どんより曇った、雲の低い風の強い空の下で、濁った暗い海の前に立っているぼろぼろの花と、親父さん、というイメージが。
決して希望のある未来は迎えないのに、ラストの希望を抱いた花の言葉が苦しい。
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僕僕先生
李隆基の大唐帝国、二度目の全盛期の時代。官僚の父を持つ裕福な青年王弁は、人から見れば自堕落と言えるほど毎日気ままに暮らしていた。ある日里山に住まうという仙人の元へ無理矢理訪れさせられることとなった王弁は、そこで十代半ばの美しい少女に出会う。彼女こそ、強い力を持つ仙人僕僕だった。

一人の青年が様々なものを見ながら緩やかに成長していく。なんだかとてもアニメ映画で見たいなあと思った。
現実の側面である帝国の政策と、夢のようで非現実な僕僕先生と王弁の旅。これは人から神仙から離れていくことも描いているのかなあ。なんだか女の子に振り回されている青年の葛藤みたいな微笑ましいところが随所にあって、終わりはあっさりしそうだなと思ったのに、現実に引き裂かれる辺りはときめいてしまった。
続きがあるそうなので、どんな話になっているんだろうなあと思う。
鹿男あをによし
ある失敗で研究室の空気が険悪になっていた頃、担当教授から奈良の高校に非常勤講師として送り出されることとなったおれ。慣れぬ教師生活が始まったところ、喋る鹿に話しかけられる。”使い番”から”運び番”へ受け渡される神宝とは。これは神経衰弱と言い続けられるおれが作り出した幻覚なのか?

日常の中の非日常が楽しい話だった。ぽかーんと突き抜けるようなすっとぼけ具合がいい。かなり重大な事件が起こっているのに、一歩一歩生きているというか、すごくマイペースな印象がした。「先生」の奮闘話なのか青春なのか判別できないけれど、生きにくい人がもう一度熱血するという感じなのだろうか。人を渾名で呼んだり、ラストの、マドンナへエールを送る辺りは青春だなーと思った。
人物の性格が生き生きしていて気持ちいいなあと思う。人間はもちろん、鹿や鼠も。うっかり鹿、鼠、狐の長い時が経っても抱き続けている思いにときめいた。
精霊の木
環境破壊で地球に住めなくなった人類は、さまざまな星へ移住した。
少年ヤマノシンの住むナイラ星も人類が移り住んでから二百年をむかえようとしていた。
ところが、シンの従妹リシアが突然、滅びたと伝えられるナイラ星の民「ロシュナール」の〈時の夢見師〉の力にめざめてしまう。

SFファンタジー。上橋さんのよく描かれる、淘汰される種族と征服者の現状がストレートに描かれている感じ。少年少女の冒険譚な要素もあり、少年少女の出生の秘密や、大人たちの思惑なんかもいっぱいに詰め込まれてる。時間とか、大人とか、思い通りにならない現実があって、それを越えて道を踏みしめて歩いていくシンとリシアがいいなあと思った。
ひとつのシーンを見たために、物語が姿を現すことってあるよね! と上橋さんのあとがきを読んでいつも思う。
2008年読んだ本は161冊。多分(というのは感想文ファイルを検索にかけて出た数字だから)。今年の途中から一ヶ月まとめを書かないようになってしまっていたので、数えるのが面倒なことになってしまいました。このブログ、移行した記事が何故か月エントリーの数に反映されていないというおかしな自体になっていますが気にしない!
今年は何が面白かったかなーと考えたのですが、多分今年読んだというのを上げておきます。

新版 クラウド・コレクター (ちくま文庫)
クラフト・エヴィング商會「クラウド・コレクター[手帖版]」 →【感想

東京バンドワゴン (集英社文庫)
小路幸也「東京バンドワゴン」 →【感想

檸檬のころ (幻冬舎文庫)
豊島ミホ「檸檬のころ」 →【感想

オペラ・アウローラ―君が見る暁の火 (角川ビーンズ文庫)
栗原ちひろ「オペラ・アウローラ」 →【感想

wonder wonderful 上wonder wonderful 下
河上朔「wonder wonderful」 →【感想

クラフト・エヴィング読んだの今年だったかー。wwとオペラは妹もハマってくれた小説でした。改めてオススメだと仰っていた方々にお礼を申し上げます。オペラは妹と「ごろごろ小説だよね!」ということで意見の一致を見ました。先生から本をお借りしたり、オススメを読みまくったりの一年でした。
今年始めた(移動した)このブログは、基本を「好きだったところを書く」にしてあるのと、読書記録ということでつけています。純粋な感想を求めていらっしゃる方には優しくないかもしれませんが、「参考にしてますよ」と仰っていただけたのでこの方向で進めることにしました。週に一回程度の更新ですが、どうぞ2009年もよろしくお願いいたしますー。
インシテミル
アルバイト情報誌に載っている実験参加のバイトの時給一一二〇百円という数字が誤字か真実か、それぞれの思惑の元に集った十二人のアルバイターたち。不思議な地下空間で7日間の共同生活を強いられることになったが、部屋の〈玩具箱〉と呼ばれる箱には、何故か人を殺せる武器が入っていた。これはなんのための実験なのか、果たして無事に帰還することはできるのか。

密室殺人もの。読みやすい一冊だった。途中はただのパニックものなのかなと思っていたら、後半になっていきなり進みが速くなった。結城の変身ぶりはすごい。そして安東の金銭感覚麻痺っぷりはどうだ。
結構すいすい読めるのに、その実、結構ど暗いものがあるんではなかろうか。密室における疑心暗鬼、依存や心の逃亡、金銭感覚の麻痺とか。ラストそれぞれみんな戻って行ったけれど、最後まで人間の醜いところが書かれてたなと。
意外と須和名さんが活躍しなかった。須和名さんがどうも真賀田四季@S&Mシリーズに見えるなーと思っていたので余計に意外だった。
小説・秒速5センチメートル (ダ・ヴィンチブックス)
小学六年生、高校三年生、二十九歳。好きだった。逢いたかった。生きていた。貴樹は明里が好きだった。だが二人の間には、未だ巨大すぎる時間が、茫漠とした未来が、どうしようもなく横たわっていた。どれだけの速さで生きれば、君にまた逢えるのか。「桜花抄」「コスモナウト」「秒速五センチメートル」の三編。

映像の「秒速五センチメートル」を監督自身がノベライズしたもの。映像を見たことがあるならすごくいい補完になっていると思うし、これだけでも言葉の大切さがよく分かる小説で、とても良かった。
映像の方は、世の男性方に「鬱だ」と言われる決着が着くのだけれど、映像の第三話がプロモーションビデオのようになっているので、小説できちんと書かれているのは良かったなあと思った。希望がある。
第一話「桜花抄」は十二歳と十四歳の二人の物語で、初々しくてうまくいかなくて甘酸っぱい。第二話「コスモナウト」は一番好き。貴樹に恋した女の子が一喜一憂して、最後「——優しくしないで」と願う切ない話。第三話「秒速五センチメートル」は前述したように、もがくように生きてきた貴樹と希望の話。
映像も綺麗なので合わせて見てほしい。
秒速5センチメートル 通常版 [DVD]
読書と読者―アンシャン・レジーム期フランスにおける
レポートに必要だったので読んだ。分厚い重たい。本編は400ページぐらいある。
16世紀から18世紀のフランスにおける書物の歴史をまとめたもの。聖書、礼儀作法書、一枚刷り絵、瓦版、青本とそれを読んだ読者についてと、それを印刷した者たちについて。最初がとっつきにくい感じがしたけれど、後ろになるほど面白いなーと思った。
読んだものの書影がなかったので、新装版の方の書影を貼っておきます。
魔術師の帝国 (ハヤカワ文庫 FT フ 2-12 リフトウォー・サーガ 第 1部1) (ハヤカワ文庫FT)異世界の虜囚 (ハヤカワ文庫 FT フ 2-13 リフトウォー・サーガ 第 1部2)偉大なる者―リフトウォー・サーガ第1部〈3〉 (ハヤカワ文庫FT)
14歳になったパグとトマスの少年時代は終わった。掟により、二人は自分の適性にかなった職業についた。だが、戦士になったトマスは喜んでいたが、魔法使いの弟子となったパグは面白くなかった。自分に魔法の力があるとは思えないのだ。そんなある日、難破船の知らせが届いた。実はこの事件が異次元人侵略の前兆だった……。別世界ミドケミアを舞台に、新人が従来のファンタジイにはかつてない壮大なスケールで描く超大作(上巻、裏表紙より)

上巻438ページ。下巻は515ページ。パグとトマスという二人の少年がメインで、パグの方に焦点が当てられている。ありがちな児童向けファンタジーなのかなと思っていたら、結構どっしりと進んでいって、上巻中盤から一気に面白くなってきた。戦争が始まった頃は巻き込まれたような形の少年たちが、成長して大人になっていく物語。上巻はパグがいなくなるので、ちょっと魅力半減という感じだった。下巻からツラニの捕虜にされてしばらく音沙汰なかったパグが登場。パグが登場するときたきたきたーと思う。ツラニはどうやら西洋における想像上の東洋みたいな感じらしい。名前の音がちょっと不思議。登場人物たちが成長してどっしりとした印象の下巻。人物がみんなしっかりとした足取りで歩んでいて、それが今思うと手堅い感じでも、パグという主人公が現れるとわっと盛り上がる。最後パグに贈られたものを考えると、パグの成長物語であり、様々な人々の成長物語だったんだと思う。
狩猟長官マーティンと、船長エイモス・トラスクがなんか好きだ。マーティンはユーモアも理解してちょっと皮肉っぽい影のある人。エイモスは豪快で勇猛な元海賊。この二人の活躍ももっと見たいなあと思っていた。
ラストはそれぞれに綺麗に終わっている。戦争の始まりと集結がこの「魔術師の帝国」なので、死や裏切りもあってまだ謎は残るけれど、どっしり読んだと思った。
レプリカ・ガーデン 水葬王と銀朱の乙女 (B’s‐LOG文庫)
人形は夢を見る。恋もする。初めての恋に落ちたら、胸の魔抱石に性別を与えられ、人間になる——。イファは、数ヶ月前に生まれた”魂持ち”の人形。いつか運命の恋をして立派な男になるまで、人形師のヘィディや弟子のアーセルと楽しく暮らすはずだった。突然の別れも、その先に待ち受けていた”水葬王”フォルトナートとの最高で最悪な出会いも、そしてまさか自分が”女の体”になってしまうなんて、全くの予想外で……!? 恋をするすべての人へ贈る、栗原ちひろの新境地ラブファンタジー!!(裏表紙より)

表紙がかなりきらきらしいのが、20歳になってから手に取るのがとても恥ずかしくなった……。思わず最後の挿絵見て友人と「ひょー!」と叫んでしまったことだよ。
主人公イファの魔抱石の出自が呪われていて、その出自に関係して相手役フォルトナートがイファに対して憎しみを抱いている、というゴシックファンタジーなのだけれど、文体と台詞の明るさからか暗い気持ちにはならなかった。私はオペラシリーズみたいな文章が好きだったんだけれど、でもこの底の方できらきらしている明るさは好きだ。イファが見出したフォルトナートの魂みたいなものなのかな。
フォルトナートがバラッドの塔へ踏み入るあの辺りがとても好きだ。「砕けて、なくなっちゃったね」の台詞がなんだか好きだった。
イファの性格が本当に良くて、主人公だな、救い手だな、という感じで栗原さんのことだからきっと素敵な終わり方をするんだろうなと思っていたら、ラストは素晴らしかった。これ映像にしたら綺麗だ……。しかし一方でフォルトナートの所行の悲しみと暗さがある気がするんだけれど、でも、本当に綺麗な光景が浮かんだ。
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Author:月子
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