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名探偵に薔薇を (創元推理文庫)
むかしむかし、それはわるい、とてもわるい博士がいました。悪行の限りをつくしたあげくあっさり死んでしまいましたので、仲間を殺された小人たちはうらみのはけ口がありません。話しあいのけっか、ハンナ、ニコラス、フローラの三人をやりだまにあげることにきめました。つもりつもったうらみをはらすと、村にへいわがもどりました。めでたしめでたし。〜『メルヘン小人地獄』より〜(裏表紙より)

表紙裏の紹介文だけ読むと何がなんだか。
ガンガンで連載されていた『スパイラル〜推理の絆』の原作者さん、城平さんの本業の方。私は城平さんをスパイラルで知ったので、ミステリを読むのは初めて。
謎の怪文書「メルヘン小人地獄」の通りに人が殺される事件が起こり、「小人地獄」という必殺の毒薬の存在がちらついていた。最初の被害者に関係する藤田家の家庭教師だった三橋は、名探偵を呼ぶことにする。瀬川みゆきという名探偵は、ある真実を見抜いて……という「メルヘン小人地獄」と「毒杯パズル」の二部構成の物語。
「メルヘン〜」の方は普通に面白いなーと思っただけだったんですが、「毒杯パズル」のくるくる回る真相がすごかった! 最初に「もしかして真相ってアレか?」と思った自分を褒めてやりたいぜ! でも予測がついていても、やっぱり翻弄されてしまったわけですが。
名探偵側の視点から事件を解いて、しかもその名探偵も揺れ動く人間だというのが面白かったです。名探偵という存在がどんな苦悩を抱えているか。けれど安易な物語として終わらないところも、名探偵という存在は孤高なのだと寂しくも気高く感じられました。
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