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誰に見しょとて (Jコレクション)
東京湾に新設された超巨大フロート建造物〈プリン〉のメインテナント〈サロン・ド・ノーベル〉には、美容に関するすべてが収められていた。理想の化粧品や美容法を求めて彷徨う“コスメ・ジプシー”たる岡村天音は、大学の先輩が生まれ変わったような肌をしていることに驚く。彼女は“美容+医療”を謳う革新的な企業コスメディック・ビッキーの〈素肌改善プログラム〉を受けたというのだが……。やがて〈ビッキー〉は、アンチエイジング、身体変工などの新商品を次々に発表し、人々の美意識、そして生の在り方までを変えていく——『永遠の森博物館惑星』に続く、著者5年ぶりの最新連作集。(裏表紙より)

まだ文字がないような古代の頃と、近未来的な世界、二つを繋ぐ化粧と美容の物語。めちゃくちゃSF! という感じでないと思ったら、急速に進化していく美容技術にあっという間に世界が飲み込まれていくのが恐い。化粧していたかと思ったら、年齢が不詳になるアンチエイジング技術とか……恐すぎる……。
お化粧だから女性の怨念めいたものがあるのかと思ったら、男性も描いたり、その中間もあったりと、変わっていく世界の話なのが面白いし、やっぱり恐い。自分をデザインする、という時代が本当に訪れるなら、きっと受け入れられるときがくるんだと思うけれど、抵抗を感じてしまうのは、指標となる人がいないからか。この物語ではそれは山田リルという人であり、その存在が、古代パートで語られる「姫巫女」たちによって強調されているので、現実感があってぞくぞくしました。
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