読んだ本とか、漫画とか、映画とか、色々
愛と恐怖のレクイエム
おばあちゃん、まるで後を追うみたいだったね。病院で、返事をしないおばあちゃんにむかって、話しかけてたよね。「ねえ、音楽は聞こえてる?」おかあさんは、そう聞いたんだ。しわくちゃの手を握りしめて。(「死者のための音楽」より)民話の世界に足を踏み入れたかのごとく、美しく切ない光景が眼前に広がってゆく。子どもたちへの愛と死を描いた、妖しく哀しく懐かしい山白怪談の世界。
教えたこともない経を唱え、行ったこともない土地を語る息子。
古い井戸の底に住む謎の美女。すべてを黄金に変える廃液をたれ流す工場。
身元不明の少女に弟子入りされた仏師。山に住む鬼におびえて暮らす人々。
父を亡くした少女と、人が頭に思い浮かべた物を持ってくる奇妙な巨鳥。
生まれつき耳の悪い母が魅せられた、死の間際に聞こえる美しい音楽。
親と子の絆を描いた、懐かしくも幽幻な山白朝子の怪談7篇。
(裏表紙より)
面白いってこういうことを言うんだよなあ! という気持ちで読む。いい短編って心が潤うわ……。
ホラーだったり幻想的だったりといういろんな要素があって、後味がいいわけではないんだけれども、お話としてやっぱりすごく面白くて、ぞわっとしたり息を飲みくだしたり、すごく楽しかった。
どれもそれぞれすごく好きなんだけれども、読み始めて「めっちゃくちゃいいなこの本……」と思った教えたこともない教を唱える子どもの「長い旅のはじまり」が一番好きかもしれない。
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