読んだ本とか、漫画とか、映画とか、色々

「驚愕の一行」を経て、光り輝く異形の物語。
明治も終わりの頃である。病死した父が商っていた家業を継ぐため、東京から金沢にやってきた十七歳の菖子。どうやら父は「竜胆」という名の下で、夜の訪れと共にやってくる「おかととき」という怪異をもてなしていたようだ。
かくして二代目竜胆を襲名した菖子は、初めての宴の夜を迎える。おかとときを悦ばせるために行われる悪夢のような「遊び」の数々。何故、父はこのような商売を始めたのだろう? 怖いけど目を逸らせない魅惑的な地獄遊戯と、驚くべき物語の真実――。
応募総数4,467作品の頂点にして最大の問題作!!(Amazonより)
ああなるほどなあ! と思わせる作品でした。こういう構成を想像はせどもしっかり形にした人がいることがすごい。
仕掛けとしては序盤の段階で「もしかして……」と思ったんですが、あの一文が出てくるとは思わなくてぎょっとしました。ずっと「誰だお前」と思っていたし、カウントしているのは物語っぽいと思っていたんですけど、あの台詞は衝撃だった。
書き切ったのがもう本当に賞賛に値する……と思った人たちがいたから受賞作になったんだろうなあ。
あとがきを読むとわかるけれど、物語と人のお話だったんだなあ……と。「物語の力とは何か」を物語側から、そして人間側から描いたんだろうと思いました。残酷で恐ろしい幻想と恐怖の物語の美しさ。それを歪ませてしまった人の心。物語に想いを込めた誰かがいるということ。そのすべてを一つにまとめたことがただただすごかった。
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