読んだ本とか、漫画とか、映画とか、色々
父親が亡くなり、子どもたちのために母親は忙しく働き、ユリシーズは弟と手伝いにきている叔母と暮らしている。ユリシーズはある日母親のヒール靴を履いているところを弟に見つかり、叔母にきつく叱責されて家を飛び出した。夜の街をさまようユリシーズは土曜の夜の教会で開かれるLGBTQの人々の集まりにたどり着く。安らぎを感じる一方、家庭の窮屈さは増していき……。
深い夜に隠れざるを得ないマイノリティの人たちが集まる様子が、とても寂しい。土曜の夜だけ自由になれるって。間違っている、という言葉が適切かはわからないけれど、違う、と思う。自分が自分らしくあるためにこの世界は不自由すぎる。
多忙な母親はユリシーズの状況に気付かず、家の切り盛りを任されている叔母はユリシーズのあり方を理解できず否定する。弟は年齢のせいか環境のせいかユリシーズの嫌悪を示す。学校でのいじめシーンもきつい。苦しい。
そんななか、教会で新しい友人たちと過ごすシーンの、寂しくはあるけれどほっとした安らぎが癒やしでした。現実には貧困や売春、人種の問題もあって、居場所を得るにはここまでしなくちゃならないのかと、やるせない気持ちにもなって。
そして歌がなあ! すごくいいんだよー。ミュージカル風に歌い始めるシーン、誰も彼も美しい歌声で感情を高らかに歌い上げていてはっとさせられた。
なんだかとても雰囲気が好きな作品でした。
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