読んだ本とか、漫画とか、映画とか、色々
![ヘドウィグ・アンド・アングリーインチ [DVD]](https://images-fe.ssl-images-amazon.com/images/I/51B27TYe66L._SL160_.jpg)
冷戦時代に東ドイツで生まれ育ったハンセルは、ある日米兵のルーサーから結婚を申し込まれ、母の助けもあってパスポートを偽造し性転換手術を受ける。だが手術は失敗。股間には「怒りの1インチ(アングリー・インチ)」が残った。しかも結婚生活は破綻を迎えてしまい……。
ヒューマンドラマと音楽。ヘドウィグの怒りと叫びが込められた魂の歌とその物語。
片割れを見つける物語だったなあ。男と女、どちらかの性だと決めなければならないような気がしてしまうけれど、どちらも持っていていいのだと思うし、持っていなくてもいいのだと思った。ずっと歌っているけれど心情を語るその歌がすごくよくて、また画面が雑然としているのに綺麗なんだよなあ。
失墜と成功が非常にドラマティックで面白かった。舞台、一度見に行ってみたい。
![([お]4-3)ピエタ (ポプラ文庫 日本文学)](https://images-fe.ssl-images-amazon.com/images/I/51xyWmpEaJL._SL160_.jpg)
18世紀ヴェネツィア。『四季』の作曲家ヴィヴァルディは、孤児たちを養育するピエタ慈善院で、《合奏・合唱の娘たち》を指導していた。ある日教え子エミーリアのもとに恩師の訃報が届く——史実を基に、女性たちの交流と絆を瑞々しく描いた傑作。2012年本屋大賞第3位。(裏表紙より)
不思議な陰影のある話だったなあ。カーニバルという顔を隠す祭りの非日常感もあれば、淡々と日々を生きているような語りもあり、生きることの息苦しさも感じたり、歴史の大きな流れがどうどういっているのが聞こえるようでもあり。
先生と慕うヴィヴァルディの訃報を受けたエミーリアは、同じ教え子で現在《合奏・合唱の娘たち》を率いるアンナ・マリーアとその話をする。同じく教え子で裕福な家の娘ヴェロニカにピエタへの寄付の話をしに行ったエミーリアは、彼女からヴィヴァルディ先生が彼女のために書いたという楽譜を探し出してほしいという依頼を受ける。彼と懇意にしていたというコンティジャーナのクラウディアや、彼の恋人の噂があったパオリーナとジロー嬢の姉妹といった女性たちとの交流、過去への追想を経て、時間は流れていく。
楽譜の行方がとても胸を打ちました。ヴェロニカがなにを思いながらその詩を綴り、その楽譜がどのように流れて行ったのか。形を変えても何かを祝福したいという思いは変わらずそこにあるという清らかさを感じて、つかの間息が止まりました。
静かな映画のような作品でとてもよかった。おすすめされた作品でした。ありがとうございました。

「メリル・フォースター、俺の子供を産んでくれ」魔術学院に通う、いたって平凡な少女メリル。ある日の放課後、彼女は突然名門貴族の美青年ギルベルトに押し倒されてしまって大混乱。しかも彼が迫ってきたのは、メリルの珍しい「体質」を手に入れるためで——!? 家柄にも無駄な美貌にも興味はないし、好きでもない相手に体目的で迫ってくる最低男なんて、お断りです! 逃げる少女と恋に不器用な青年の学院ラブコメディ(裏表紙より)
さほど学園っぽい風景はないんですが、ツッコミ気質なヒロインが、常識が完全にずれている美貌の先輩から逃げ回るラブコメディ。冒頭からギルベルトに対してメリルの台詞がまさしくという感じでした。初対面の人間にその言動は頭おかしいです……。
しかし迫られてやっぱり悪い気はしないもので、改めて向き合ってみるとギルベルトはだいぶとずれているけれどいい人ではあり、ときめきもあり……というのがリアルだなあ笑 好意を向けられるとぐらぐらきちゃうよね。最後の小話でギルベルトがちゃんと最初からメリルに好意を持っていたこともわかったのでよかったな。

妄想に囚われ、妻の浮気を責め続ける夫マサヨシ。単純な嫉妬と見える振る舞いには、本人も気づかぬ深層心理が絡んでいた――。地道な調査とカウンセリングを武器に、家庭裁判所調査官は家族問題の現場へ踏み込む。誰にも起こる感情転移、知的エリート女性の挫折と暴力、「家族」代わりの薬物使用、「家族神話」のダークサイド……。18の家庭に巣食った「しがらみ」の正体を明かし、個人の回復法を示す実例集。(裏表紙より)
2016年刊行の本。実例を取り上げながら、どちらかというと当事者の心理を解くという印象の話が多かったかな。心理学っぽい内容だったように思います。
家庭裁判所に持ち込まれたり、カウンセラーのところにやってくる問題は、家庭、家族を構成するもの全体に事件の原因や理由があるのだなとわかる。子どもだけの話じゃないし、親だけの話でもない。人がどのように生きてきて何に傷ついたのかっていうのが、事件の根本にあるんだなあ。

それまでの名声を捨てて、ついに山村こと楊建明の元へ向かったフミ。馬賊となった彼女は建明のかつての女と比べられながらも、彼女らしい強さを持って仲間と認められていった。しかし曠野は多数の思惑と罠と野望が行き交う戦場と化して……。
読んだのは単行本。芙蓉ことフミの千里を駆ける物語。
実に大河だなあというお話で、女性が凄まじい勢いで歴史の中を駆け抜けていく感じ、実に須賀しのぶさんらしい作品だと思いました。炎林との関係とか、大河小説ならではだよなあ! とわくわくして読み終わりました。
歴史が大きく動いている時期のお話なので、話の大半が戦況の説明だったり、フミに対する仕打ちというか彼女に襲いかかってくる展開が、酷い……きつい……辛い……(でも面白い)というのが楽しかったです。歴史って男性のもののように感じられるときがあるんですが、フミはそうした裏側を駆け抜けた人だったなと思う。

仕事一筋だった私が結婚したのは元FBI捜査官。「日本一腕のいい錠前屋を探せ」「デパートでも居酒屋でも、トイレに入る前はFBI式にドア点検せよ」「仕事靴はハイヒールのみ。スカートをはいて自転車に乗るな」。それは彼のトンデモ指令に奔走する、ジェットコースター人生の始まりだった。愛と成長とドタバタの日々を描く国際結婚エッセイ。(裏表紙より)
国際結婚の難しさと、結婚した相手と自分の文化や価値観の違いがわかるなあと思いました。危機管理もすごいですが、プロファイリングがすごい! 人を見る目ってこういうことなのかあと勉強になりました。旦那さんの変わった(って言ってもきちんと裏付けがある)言動がクローズアップされているけれど、自分と家族の身を守るための適切な行動だったというのが後にわかるのが切ない。そういう時代だったし、いまはこんな時代になってしまった。
2012年の文庫版刊行に合わせてのあとがきで、ダーリンとの別れが語られていて、なんだかもう泣き笑いになってしまった。そうかあ、最期までダーリンはダーリンだったんだなあ。
![KINGSGLAIVE FINAL FANTASY XV [Blu-ray]](https://images-fe.ssl-images-amazon.com/images/I/51cXjXoOHHL._SL160_.jpg)
古い時代から続く王と魔法の力、そしてクリスタルが存在するルシス王国と、機械文明の発達により急速に巨大化していたニフルハイム帝国は、長きにわたって戦争を続けていた。移民によって成り立つ王の従兵たち「王の剣」もまた、あちこちの先頭に駆り出されており、ニックス・ウリックも例外ではなかった。だがついに和平が成り立つというその日、帝国はルシスの懐に入り襲いかかろうとしていた。ニックスたちは王都を守るため、行動を開始するが……。
ゲームの「ファイナルファンタジーXV」では語られていない「その頃王都では……」のお話。
ものすごい大変だったんじゃないかよ!
ノクトたちがのんびりロードムービーやってる一方で、王都陥落というすごい展開を迎えるわけですが、この状態でルーナがオルティシエに来ていたとか、凄すぎて。もうちょっとノクトとルーナが交流しても良かったんじゃないか……などと本編のだめだめさ加減が浮き彫りになる映画ですが、しかし映画は映画でルーナを唯一のヒロインに仕立て上げてしまっているのでそれはそれでちょっと物申したい笑
映画は移民たちの悲哀の話。故郷を失った人たちがたくさん出てきて、力を求めて奔走する。ニックスも同じように力を求めるわけだけれど、ルーナの神凪らしい発言に感化される。王と認められたわけではないけれど心が揺るぎなくなったのかな。新参者の王に優しい歴代の王たちはちょっと笑ってしまいましたが笑 血族はかわいいんだろうか。多分ここが指輪に認められるには強い心が必要であるという伏線なんでしょうね。
とてつもなく美しい3Dで作り上げられた作品で、バトルシーンがはちゃめちゃにかっこよかったです。でかい敵が出てくるの、たぎるなあ!