読んだ本とか、漫画とか、映画とか、色々
ジョージアナ・スペンサーは十七歳になろうかというところでデヴォンシャー公爵の花嫁になった。だが後継を求める公爵と政治と賭け事の世界で遊ぶジョージアナは価値観が合わず、公爵にはすでにメイドとの間に娘がいた。さらに友人となったエリザベス・フォスターと公爵が関係を持ち、ジョージアナと公爵の関係はますます冷え切っていく。
実話を基にした作品。女性に自由がなかった時代の男女のどうしようもなさが描かれていて、見ていて辛い……。
若き花嫁と愛のない結婚。それは多分生涯覆されることはなかったんだろう。作品では子どものことを救いのように描いているけれど、心はずたずただったんじゃないかなあ。夫と愛人と同じ屋根の下に暮らしていてもずっと良き妻ではいられなかったと思うんですよね。ともかくそういう価値観の時代だったんだろうなあ。
貴族の女性の普段の生活とか、暮らしぶりとかを見るのが面白かったなあ。ドレスとか手袋とか、特に寝間着とか、ロマンだわあ。
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地域紙の記者を経て世界放浪の旅に出た著者。訪れた国は100にのぼる。その国でしか食べられない肉や魚がある。驚きの肉や魚とそれを食べたエピソードがまとまった一冊。初出は「おとなの週末.com」の連載「世界一周"仰天肉グルメ"の旅」。
すごく面白かった。インドで牛という比較的ソフトなものから始まって、羊の脳みそ、ラクダ、キリン、アルマジロ、カブトガニなどなど。食べた国でのエピソードとともに、食べた料理と味の感想もあり、すごく興味をそそられました。
そそられたんですが、あんまり美味しくなさそう……笑 そういう風に食べるっていうことはいままでそうやって食べられてきたってことなんでしょうが、すごく野性味あふれているのでなんとか美味しく調理できないものかなあと読みながら考えてしまった。
ダチョウは食べたことがあるので、兎やカエルくらいは一回食べてみたい。
「学校でそんなことが許されているはずがない」という強烈な怒りに突き動かされて私は学校で起きる性被害「スクールセクハラ」の取材を続けてきた——(カバー折り返しより)
2014年の本です。
いまもなお変わらないんだろうなあという学校側の体制や、明るみに出ない性被害が数多くあると思うとやりきれないし腹が立つ。
ここに登場する第三章の教師の言動は特に感じるものが多くて、強者の立場からこうやって支配するんだと、この本みたいに別のケースとして俯瞰できるものがあると、忘れようと思った怒りがふつふつと。
自分語りは置いておいて。
ケースは女生徒ばかりで、男子生徒のこともちらりと触れられていますが、性別関係なく見過ごさないでほしいと思うし、教師同士にも起こりうることなんだと忘れないでいたいと思いました。
後宮の奥深く、妃でありながら夜伽をすることのない、「烏妃」と呼ばれる特別な妃が住んでいる。その姿を見た者は、老婆であると言う者もいれば、少女だったと言う者もいた。彼女は不思議な術を使い、呪殺から失せ物さがしまで、何でも引き受けてくれるという——。時の皇帝・高峻は、ある依頼のため烏妃の許を訪れる。この巡り合わせが、歴史を覆す禁忌になると知らずに。
誰もが知る"彼女"の、誰も知らない正体。(裏表紙より)
面白かった! あわいの世界を描きながら中華後宮ものという、華やかな場所を選びながらもしっとりとした雰囲気を楽しみました。
なにせ語句の選び方が綺麗なんだよなあ。中華ものはどっしりした印象があるんですがこの作品は語句が優美で綺麗な気がして、雰囲気にとても合っていたと思います。
後宮ものなのでどろどろかと思いきや、そうしたものとは薄い壁を一枚隔てたところにあって、謎解きも妖しのものとそのわざを用いていて美しくてファンタジックだなあと感じました。こういう柔らかくてしとやかなお話、好きです。恋愛に振り切らないところもとてもよかった。
大阪から横浜へ越してきた小学生の大貴は、マンションで同い年の真吾と出会う。性格は全く違う2人だったが惹かれあい、親友に。やがて高校生になった2人は、雑誌の読者モデルをきっかけに芸能活動をスタート。同居も始めるが、真吾だけがスターダムを駆け上がっていくことで2人の仲は決裂してしまうが……。ステージという世界の魔法、幻想に魅入られた幼なじみの2人の青年の愛と孤独を鮮やかに描いた、切ない青春小説。(裏表紙より)
すごかった……。脳みそが揺れた。ピンクとグレー、色は違うけれどどちらも中間色。曖昧になる相手と自分、かあ……。
小学生のときの出会いから青年期の別れまで、印象深いエピソードとともに、大貴の視点から真吾を追っていく。そしてその事件をきっかけに、大貴はさらに真吾=白木蓮吾の思考をトレースする。あのとき彼は何を考えていたのか? ということを演技以上の同化で描くので、後半はとにかくぞくぞくしっぱなしでした。最後はやっぱりああなるよなあ……。
中盤からラストまで一気に読んでしまった。すごかった。
『これからよろしく、共犯者どの?』フェルが偽の花嫁だと知っても、クロウの態度は変わらない——どころか前より(物理的な)距離が近い気がする! そんな心臓暴れ馬状態のフェルをよそに、春分節の儀式のため、クロウの父が兄弟全員に召集をかけた。ついに皇宮で因縁の母と直接対決! と思いきや、クロウに反逆者の疑いがかけられてしまい!? これは罠? それとも花嫁修業!? ニセ新婚生活第8弾!(裏表紙より)
身代わりがばれて共犯関係になったフェルとクロウ。そんな中皇宮へ呼び出しを受けた。ついに皇帝、そしてクロウを呪うリグレイン妃と対面。帝国の成り立ちに妖精王が関わっていることが明らかになり、最後に現れたのは……。
試練の内容が明らかにまじないめいていて、フェル! ちょっと待て、よく考えろ! と叫んでしまった。そういう謎かけってあわいのものを引き寄せるよねえ。
敵側に回っている人たちの思惑もそろそろ明らかになってくる、かな? パールが現れるとまたしっちゃかめっちゃかになりそうではらはらする。大丈夫かなあ。
都心に広大な敷地を誇る代々木公園。3月の最終日曜日、まだどこにも咲いていないはずの桜が舞う今日、公園にいる人間を標的とした、ある伝説が現実のものとなる——。ロカビリーグループ、高校演劇部、殺陣役者、ネットアイドルオタク、お笑いコンビ、イケメン俳優など、何の繋がりもなさそうな人間たちの事情が巧妙に絡まりあい、思いも寄らぬ化学反応を引き起こす。その果てに、伝説の主人公となるのは一体誰なのか? リアルな現実を照射するなかに、人間の愚かさや愛おしさを浮かびあがらせた群像劇。(裏表紙より)
三月最後の日曜日、代々木公園に現れる都市伝説〈チェッコさん〉。公園内にいる人々のグループのいずれかにいつの間にか入り込み、代わりにグループの中の一人が存在を忘れられ新たな〈チェッコさん〉になるという。
そんな日曜日に偶然集まってしまった人々が、それぞれの事情を抱えながらとても長い一日を過ごす群像劇。
チェッコさんの登場はすごく自然にとても違和感がある感じで入り込んできたので、一瞬あれ読み飛ばしたかなと思いました笑
だいぶと後味の悪い人が何人かいて、救われたのは限られた人たちだけなんですが、たくさんの人の視点がぐるぐると入れ替わって、この出来事はAさんにはこう見えていたけれどBさんにはこう見えていた、というのが好きなので楽しかったです。
冬休みに突入した午後、自分の出生にまつわる秘密を知ってしまった女子高生・こずえは母を一方的に責め、衝動的に家を飛び出した。ひょんなことから鍵屋を営む鍵師・淀川と知り合い、年齢を偽って助手として彼の家で居候することに。そこへ「亡き父が遺したものを知りたい」という依頼者たちにより、他の鍵屋で開けられなかった手提げ金庫が持ち込まれるが…?
鍵をかけ、しまった秘密はなんですか——?(裏表紙より)
もうすぐ十六歳になろうかという女子高生のこずえは、自分と母が実の親子でなかったことに衝撃を受け家出をする。行くところのないこずえは、偶然出会った淀川からもらった甘酒で酔っ払った結果、彼に介抱され、なしくずしに「淀川鍵屋」の居候兼見習いとして束の間の日常を過ごす。
鍵をかけて封印した秘密、がテーマですね。鍵屋のお仕事として金庫を開けることから、様々な事情が見えてくる。遺産相続で揉める家族っていうのは定番ネタだと思うんですが、いい感じに終わってよかったよかった。
赤穂の国で暮らす異邦人のカイは、幼い頃行き倒れていたところを浅野氏に救われ、恩義を感じて忠誠を尽くしていた。だが見た目から差別を受けて周囲の侍たちからは獣以下の扱いを受け、浅野氏の娘ミカを思いながらも結ばれずにいた。ある日将軍を迎えもてなした浅野氏だが、同行していた吉良氏は妖術を用いて浅野氏を陥れ、彼らを守る臣下やカイたちを軟禁、あるいは奴隷として売り飛ばす。領主を失った赤穂の国で残された後継ぎであるミカは吉良氏から結婚を申し入れられ、父の喪が明ける一年後、その婚儀の日がやってこようとしていた。
忠臣蔵を和風ファンタジーハリウッド映画に仕立てた作品。服飾や美術が美しく、和風ファンタジーとしてはたいへん面白い作品だなあと思いました。というより、日本の侍をファンタジーにしたという感じかな? 侍ファンタジー。
異邦人である主人公カイが、忠義から国を併呑しようとする巨悪と妖女と戦うわかりやすい王道ストーリー。最下層の身分である彼が周囲から認められていき、姫と思いを通わせ、しかし最後には切腹して散っていくという、ああこれが海外が日本に求めている美学の一つかと思わせてくれる。2013年の作品だからかそれとも架空日本を舞台にしているからか、戦う女性がいないのがちょっと珍しい気持ち。男装の浪士とかいそうなものだったんですが。
美術として見るのが楽しい作品でした。