読んだ本とか、漫画とか、映画とか、色々
アリアカンパニーのシングルであるアイは、今日も先輩である灯里の指導を受けていた。ある日姫屋の藍華、オレンジぷらねっとのアリスと偶然に再会する灯里。アイはそれを「みらくる」と言い、灯里は独り立ちする前の三人で一緒にいた日々を思い出す……。
原作読了済。アニメは第1期、第2期、第3期視聴済で、OVAは未視聴。
本編のその後が垣間見えるOVA。修行時代の灯里たちのエピソードをやりながら、"アクアマリン"となった灯里と後輩のアイのお話をやってくれるという、ボーナストラック的なお話が三つです。一話目がアリシアさんの裏誕生日の話なんですが、アテナ先輩がいないのが泣けてしまう……でも登場してくれた……嬉しい……。
二話目はケットシーの最後のお話。三話目は先輩から後輩へ、後輩から先輩への気持ちがいっぱい詰まった未来軸でのお話。ウンディーネ三人組が三組揃うという奇跡のショットが見られて嬉しかったです。アテナ先輩……。みんなが揃うようにお話が作られていてよかった……。
出会いと別れを繰り返しつつも、その一瞬一瞬にある幸せなことをめいっぱい味わう登場人物たちが素敵でした。
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二歳年上のOLヨリコと付き合うことになった大学生のヒナタ。けれど告白のときに彼女から逆告白されたのは、オタクであることと腐女子であることだった。彼女の妄想や同人誌やゲームなどの趣味に振り回され、それでも一途に彼女を思うヒナタは……。
2009年の映画。原作は未読。
こういう、オタクや腐女子を過剰気味に描いている作品はあんまり好きではないんですが(オタクはちゃんと隠れるよ! 気を許した相手にしかオタ話しないよ!)、とにかくヒナタがいい子すぎて……。彼女に付き合ってアニメ関係のイベントに行くって優しすぎる……。
そして見たことあるようなと思っていたらヨリコさん役は電王のお姉ちゃんだったかあ。
声優の福山潤さんと日野聡さんが本人役で出演していて笑ってしまい、それを前にしているお客さん(キャストさんですよね……?)の反応がガチっぽくてまた笑ってしまいました。跳ねるよね、嬉しいとね。口抑えちゃうよね。何かが出そうで。
腐女子という設定はあるものの大人の女性と年下の男性が付き合っていくには……という現実的でビターな部分もある作品で、オタク部分はハイテンションめで生暖かい感じなのに、恋愛部分はシリアスという落差が、あんまり見ない感じだったので不思議で興味深かったです。
戦地で一枚の写真を拾ったローガンはたった一人生き残って国に戻ってきた。手にした写真に守られたように感じていたローガンは、そこに写っていた女性にお礼を言うため、彼女を探してルイジアナへやってくる。そして写真の女性であるベスと息子ベン、彼女の祖母エリーと関わっていくが、写真のことは伝えられないまま恋に落ちてしまい……。
戦争というものは人の心を傷つけ、その傷はうまく塞がらないものなのだ、ということを最初に感じました。
男性主人公視点のハーレクインロマンスみたいなストーリーなんですが、ところどころに見える心の傷や寂しさの気配が上品でいい映画だなあと思いました。どんなに痛くても空白が埋まらなくても、寄り添って生きようとという人たちの切なさと力強さを感じる。誰もがより良い方向に変わりたい、運命を変えたいと願いながら、少しずつ前に進む。そういう堅実さが愛おしい作品だ。
なんだか心がしんとなる、好きな映画でした。
頭にロックしかなく、やりすぎのパフォーマンスと人間性のクズっぷりからバンドから追い出され友人からも見放されそうになったデューイ。私立小学校の代用教員にありつくものの授業をやる気はない。しかし生徒たちの高いポテンシャルを感じ、授業と偽ってロックバンドを結成してしまう。しかも学校と保護者には内密で大会に出場しようとし……。
デューイのあまりのクズっぷりに、言いくるめられて騙されている生徒たちが心配になるんですが、子ども側から見れば大人を出し抜く楽しい作品なのかな。保護者の反応は当然だと思いますが、音楽は人生を少し豊かにするよなと思います。がちがちで固められた人生よりも遊びがある方が楽しい。
みんなどこかしら鬱屈した思いがあってそれを「ロック」にぶつけるのが楽しかったなあ。どんなにがちがちの人でも案外そういうものに救われた年頃があるのかもしれない。
好きだという気持ちの狂気と喜びは大人として見ていて少し怖かったですが、子どもたちは楽しそうだ。楽しみを見つけた子どもたちなので、音楽のある人生を楽しんで成長していってほしいです。
再びの社交シーズン。刺繍好きの伯爵令嬢アウローラは、指輪で結ばれた美貌の近衛騎士・フェリクスとの逢瀬を楽しみに王都に向かっていた。ところが、彼に出会えた喜びもつかの間、侯爵家の次期奥様としてアウローラは王宮で花嫁修行をすることになってしまい…!?(裏表紙より)
花嫁修業として次期王太子妃の臨時侍女になって、知り合いや伝手をいっぱい作ってきてね! と送り出されたアウローラ。近衛騎士のフェリクスには過保護にされ、城内デートなんかもしたりして相変わらずの熱愛ぶり。しかし王太子妃となるリブライエルの花嫁衣装のベールが盗まれた!
という感じでアウローラ自身ではなくリブライエルが狙われたところを巻き込まれるわけですが、熱愛が度を越してすごいことに……というラストで笑ってしまいました。情熱的すぎるだろう! 大丈夫か!?(爆笑)後半は結構深刻なシーンもあったんですが、おまけの小話で全部吹っ飛びました。
次は結婚の話かな? 暴走するフェリクスをどうやって制御するのか、アウローラには頑張って欲しい、切実に。
おそらく、信じてはもらえまい。でもたしかに彼女はそこにいる——文筆家を目指するみ子は、祖母から一族の秘密を聞かされ、それを書き記すように告げられる。秘密とは、一人の女性のことだった。嘉栄という名のその人は、世間からひた隠しに隠されていた。(裏表紙より)
祖母・豊世から、家族から隠された女性・嘉栄の話を聞いたるみ子。祖母と双子として生まれてきたはずの嘉栄は、しかし緩やかにしか歳をとらない不思議な体質だった。表沙汰にはできないと隠されて育てられ、ある時には外国に、ある時には家の蔵に閉じ込められた嘉栄は、豊世、その娘・静子、そしてるみ子に大小の影響を及ぼしている……という不思議なお話。るみ子が聞き取った話も交えて自分語りのようにして進行していきます。
ほぼ何も起こらないんですが、嘉栄の不気味さ、侵し難い何かがぐうっと迫るようでした。この一族の磁場でありながら、埒外のところにある存在で、どうしても理解できないし需要もできないけれど、確かに血が繋がっているのだ、という……。
掴み所はなかったのですが、なんだか最後の最後にぞくっとしてしまった。
“氷の貴公子”と名高い、美貌の近衛騎士・フェリクスが投げた指輪で縁を結ばれた、刺繍好きの伯爵令嬢アウローラ。初めての恋に戸惑いながら、豊穣祭の衣装準備に追われていたある日、彼女を狙う不審な団体がいるとの情報が! アウローラは婚約者であるフェリクスに護衛してもらうため、同じ屋敷に住むことになって…!?(裏表紙より)
社交シーズンが終わり、領地に戻ったアウローラたち。しかしアウローラのポルタ領ではこの時期は豊饒祭の準備の真っ只中。衣装に刺繍を施すアウローラだったが、街では彼女を探して暗躍する魔術師たちがいるらしい。
というわけで情報を聞きつけたフェリクス(王太子殿下付き)が捜査に乗じてアウローラといちゃいちゃする話。指揮をとっているはずの王太子殿下が霞むくらい、フェリクスの「アウローラ好き好き」光線がやばいです。カイの「もうやだこの人」に爆笑しました。
ものすごい気持ちが高まっているフェリクスに、アウローラが慣れる日は来るんだろうか……というくらいです。暑苦しいくらいの愛情を示してくれるフェリクスはもはやギャグ要員なのではと思ってしまう。本人はいたって大真面目ですが、周りの人は大変だなあ。
恋愛に興味がなく、刺繍が大好きな伯爵令嬢アウローラ。彼女は、今日も夜会で壁の花になっていた。そこにぶつかってきたのはひとつの指輪。そして、“氷の貴公子”と名高い美貌の近衛騎士・クラヴィス次期侯爵による「私は指輪が選んだこの人を妻にする!」というとんでもない宣言で…!?(裏表紙より)
軽快で楽しい、恋をしたり自分を受け入れてもらえる喜びがめいっぱいに詰まった、幸せなロマンス小説でした。
アウローラの現実的、というには違うかもしれませんが状況を冷静に判断する視点と、フェリクスの見た目とは相反する不器用さが合わさったときの「しっくり感」が読んでいて非常に楽しくて、彼がアウローラを離し難いと感じる気持ちに「そうそうそう! そうなのよ!」とうなずくことしきり。
アウローラの刺繍趣味も長く続けていたことが花開くという喜びがあって、とても微笑ましかったです。服装の描写が素敵で、アウローラでなくとも刺繍に美しさを想像してうっとりしてしまう。
そしてアウローラのお胸が! 肩幅も腰も人並みにばーんとしているところが大変魅力的だと思いました。華奢なのも可愛いですが、普通に肉付きがよくて女性らしいのも素敵ですね。
刺繍と占術と魔法という組み合わせが非常に面白くて、おおっとなりました。そういう運命的な設定、大好きです!
とても楽しい作品でした。面白かったです。
魔術師フォン・ロットバルト男爵によって昼は白鳥、夜は人に戻る魔法をかけられた少女たち。犯した罪に対する当然の罰だという父の言葉を信じて監視役を務めていたオディールは、余暇には魔術研究に励み、父親を満足させようと試みるが果たせず、鬱屈した毎日を送っていた。だが白鳥の女いうに試練が課せられ、その罪の告白を聞くことでオディールの頑なな心に変化が生まれ……。ラッキー版「白鳥の湖」登場!(裏表紙より)
魔術師の娘のオディールと、小国の王女でありながら男を裏切った罪でフォン・ロットバルト男爵に囚われ白鳥に変えられたオデット姫。抑圧された少女たちは果たして真実の愛を貫いて解放されるのか、というお話。
女性が解放される話なので、そういう価値観の世界だとわかっていても、男性陣、ジークフリート王子のひどさが目に余ってしまい、オデットと恋に落ちても罠にはめられるとわかっているので、大丈夫かなとはらはらしました。いや本当に大丈夫か? こういう価値観ってなかなか改められないと思うけれど……。
しかしエピローグ部分当たる「みんなが幸せになりました」はみんなが幸せの尻尾を掴んだ描写に溢れていて、大団円というラストでした。
20世紀初頭、フランス——。百貨店を経営する裕福な一族の娘・ミシェルは、社交界デビューを目前に控えていた。両親を亡くしているミシェルにとって、後見人は冷酷な伯母夫婦。厄介払いのための結婚をさせられる日も近いと知ったミシェルは、ずっと手紙を交わしていた「三日月伯爵」に会うため、パリに行く決意をする。顔も知らない彼を捜しだせるのか…!? 黒猫と手紙が導く奇跡の恋物語。
『きみが大人になったら、パリでまた会おう』(裏表紙より)
足長おじさん的なお話。財産目当ての伯母一家に厄介払いされ、修道院に入るもののひどい折檻を受けて辛い日々。ある日それが匿名の告発によって女学院に生まれ変わるも、ミシェルはそのまま学校に入れられる。学校生活は楽しく無事に卒業を迎えたけれど、今度は社交界にデビューして、遺産を狙う人々の前に立たなければならない……。ここまでくると将来に絶望しそうなものなんですが、ミシェルを支えるのは「三日月伯爵」。ああもう甘酸っぱい! いつかあなたに会いたいと願い、行動する女の子は素敵だ。
エリオットの帽子職人という仕事も、実に少女小説的できゅんきゅんします。手先の器用な男のひとっていいよね!
三日月伯爵の秘密はちょっと凝っていたなあと思いました。面白かったんですが、そこはやっぱりストレートにいってほしかった気持ちもあり。
可愛らしいお話でした。