読んだ本とか、漫画とか、映画とか、色々
「ああっ、この本ページが足りないわ!」ある日遠子が図書館から借りてきた本は、切り裂かれ、ページが欠けていた——。物語を食べちゃうくらい深く愛する“文学少女”が、これに黙っているわけもない。暴走する遠子に巻き込まれた挙句、何故か文化祭で劇までやるハメになる心葉と級友の芥川だったが……。垣間見たクラスメイトの心の闇。追いつめられ募る狂気。過去に縛られ立ちすくむ魂を、“文学少女”は解き放てるのか——? 大好評シリーズ第3弾!(裏表紙より)
どうしてこの学校にはこんなに闇を抱えた人物が揃っているんだ(そういう話だからです)というメタいことを思いながら、黒々とした人の感情に息を飲みつつ読了。
今回は武者小路実篤『友情』がモチーフ。謎自体は簡単なものなのに、狂気に陥る当事者たちがちょっと怖かった……。すれ違いをこじらせるとこうなるのかもしれない。
遠子先輩が食べる物語がどんな味か、すごく気になってきた。すごく美味しそうに食べるんだもんなあ。
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「どうかあたしの恋を叶えてください!」何故か文芸部に持ち込まれた依頼。それは、単なる恋文の代筆のはずだった………。物語を食べちゃうくらい深く愛している“文学少女”天野遠子と、平穏と平凡を愛する、今はただの男子高校生、井上心葉。ふたりの前に紡ぎ出されたのは、人間の心が分からない、孤独な“お化け”の嘆きと絶望の物語だった——!
野村美月が贈る新味、口溶け軽めでちょっぴりビターな、ミステリアス学園コメディ、開幕!!(裏表紙より)
2巻から読んでしまったので、1巻冒頭の明るめのトーンに結構びっくりしたんですが、あとがきを読んで、なるほどコメディだと思われないよう続く2巻はシリアスなトーンにしたんだなと納得しました。
ラブレターを代筆したはずが、送る相手が実は存在しない? という謎から始まる悲しいお話。『人間失格』と重なる巻です。真相が、というより謎に関わるところで人死にが多くておおう……と思った。
心葉が再び筆をとることができるのか、しばらく見守っていきたいと思います。
文芸部部長・天野遠子。物語を食べちゃうくらい愛しているこの自称“文学少女”に、井上心葉は振り回されっぱなしの毎日を送っている。そんなある日、文芸部の「恋の相談ポスト」に「憎い」「幽霊が」という文字や、謎の数字を書き連ねた紙片が投げ込まれる。文芸部への挑戦だわ! と、心葉を巻き込み調査をはじめる遠子だが、見つけた"犯人"は「わたし、もう死んでるの」と笑う少女で——!? コメディ風味のビターテイスト学園ミステリー、第2弾!(裏表紙より)
何がびっくりしたって、何の疑問も思わずに2巻を読んだことだよ。1巻読んでないのに普通に読めるのもすごかったけれど(でもやけに登場人物の解説がないなあとは思った)、1巻を読んでないことに最後の内容紹介を読むまで気付かなかった私もすごいわ。
というわけで初めての文学少女シリーズ、何故か2巻から読むという読み始め。
この巻の謎は「嵐が丘」の内容に沿っていく。現代にすると結構非現実な内容だと思うので、なかなかファンタジーだなあと思う。もっと現実味を帯びた話をイメージしていたので、そういうところとか、最後に人が死んでしまうのとか、ちょっとびっくりしました。
世は百年に一度の神話祭。
巫女と勇者が各地を巡り、世界の理を保つ一大イベントを前に、神秘と慈愛に満ちた巫女・マリアベルの心も静かに高鳴っていた。
あるときは………弱き者に救いの手を差し伸べ。そして、フラグを立て——。
あるときは………悪しき者に勇気を持って立ち向かい。そして、フラグを立て——。
あるときは………神の導きを受けて秘境へ赴き。そして、フラグを立てて! 立てて! 立てて! 絶対に勇者とらぶらぶちゅっちゅするんだから!——と。
これは、のちに『神殺しの大勇者』と呼ばれる少年と、『死と誕生の巫女』と呼ばれる少女の、不純と覚悟と冒険に満ちた物語。(帯より)
八つの神殿のそれぞれの巫女がそれぞれに勇者を選び旅立つ神話祭。その中で最も不人気、死の神メメントモリの巫女マリアベルは、日々桃色の妄想に耽り、いつか出会う勇者とゴールインすることを夢見ていた。
普通に書くなら本当にごく普通の、少年向けファンタジーなんでしょうけれど、それがマリアベルの視点になって「ふにゃああああああん!!」「らぶらぶちゅっちゅするんだからぁ!」という妄想視点が入ると、一気にコメディ化するという……笑 さらにゲーム脳が、「各地でサブクエストをこなして信仰心を集めよう!」みたいなシミュレーション的な部分も想像してしまい、笑いながら読み終わりました。
アウスティナに関しては類友って感じで、これからも仲良くしてください笑
装丁めちゃめちゃ凝ってていいなあああ! 透明カバーとか羨ましい。こんな本作ってみたい。
男に生まれたのに、聖レーミッシュ帝国の皇女として育てられたアレク。なんとか姫君生活を返上したあと、なぜか皇帝を務める羽目になっていた。それを企てたジークは藤花選帝侯兼帝国副宰相の座に就き、変わったようで変わらず帝都の日常は続いている。ところがある日「僕達の結婚式は来月の一日でいいかい?」などと、ジークが突然ニコニコと官僚達が居並ぶ執務室に爆弾発言を落としたことから……? アレク、ジークそれぞれの恋バナを収録、人気シリーズ番外篇!!(裏表紙より)
アレクの元にギィ・アドルフの妹、マリー・エレーヌがやってきた「初恋到来?」。突然ジークがアレクの腹心の侍女で今は秘書官をしているマーリに結婚式の日取りを訪ねた「花嫁合格!」。弟の結婚の知らせを聞いたノエルとギィの小さな話「恋愛結婚ノススメ」。最後のお話にふさわしい、みんなが未来と幸せに向かって進む一冊でした。
アレクの結婚が描かれるとは思わず、とても楽しく読みました。アレクはめちゃくちゃいい子だなあ。自然と惹かれてしまいますよね。みんなどこかしらぶっ壊れた感覚の人たちなので、微笑ましい恋の話でした。
「花嫁合格!」はこれまでずっと笑顔でのらくらと好きなことをしていたジークの恋の話。めちゃめちゃ打ちのめされるのかと思いきや、マーリが物分り良すぎたおかげで結構すぐに立ち直って笑いました。でもやっぱりジークも親世代での出来事にかなり深く傷ついていたんだなあ……と思うと、これから幸せになってほしいなと思うのでした。
シリーズ楽しかったです。ありがとうございました!
女に生まれたのに、聖レーミッシュ帝国の第一皇子レオンハルトとして育てられた聖祓魔師ノエル。その育ちゆえか、最愛の人である副祓魔師ギィ・アドルフとの結婚を明後日に控えても、恋する乙女は悩みに悩んでいた。そこへ「あたくしのギィの花嫁にはさせなくってよ!」と現れたフレンキシェ国の王女エレオノール。元婚約者の王女に微妙な態度を示すギィ・アドルフを見て、ノエルはつい「婚約は解消致しますわ!」と言ってしまい……? 人気シリーズ、待望の外伝!!(裏表紙より)
アレクが皇帝となったあと、ノエルとギィ・アドルフの結婚式が間近に迫っていた。けれど母親に対する心の傷が癒えないノエルは、ギィの家族との距離の取り方を知らず、さらにいつもの癇癪を爆発させてしまう。
ここまで読んでいるとだいぶとノエルの性格もわかってきてるので「ああー……」って思うんですけど、これまですれ違っていたギィもだいぶうまく取り扱えるようになってきていた様子なのが微笑ましかったです。変わっていないようで、いい方向に変わっているふたりがいいなあ。
心配していた初夜もちゃんと終えられたようでよかったです。幸せになれ。
宗田真響の視点で描く、「最終巻」その後の物語。
冬休み明け、泉水子と深行の関係が強まったことを知った真響は「チーム姫神」として不安を抱く。折しも大がかりなスケート教室が開催されるが、そこに現れたのは真響の従兄弟克巳だった。彼は、自分こそ真響に最もふさわしい相手だと宣言、彼女に手を差し伸べるのだが……!?(他短編三本収録)
本編中の深行の心情を描く、中三の初夏、中三の秋、高一の秋の三つの短編。そして本編その後に当たるエピソードを真響の視点で描く表題作。
表題作は真響→泉水子のちょっとした百合というか……「守ってあげなくちゃ」と思いながら「どこまで進んでるのか聞きたいけど聞けない」っていう脇役だけれど重要な位置にいる友人のもだもだ感を楽しく読みました。泉水子は別の視点から見ると、ちょっと不思議で神秘的な女の子だというのもわかって面白かった。
三つの短編を読んだあとだと、深行が「氷の靴 ガラスの靴」でどんな風に思っているのか、泉水子と一緒にいるとどんな風に感じているのかが想像できてにやにやしました。
湖畔の村に彼女が帰ってきた。東京に出て芸能界で成功した由貴美。ロックフェスの夜に彼女と出会った高校生・広海はその謎めいた魅力に囚われ、恋に落ちた。だが、ある夜、彼女は言う、自分はこの村に復讐するために帰ってきたのだと。村の秘密と美しい女の嘘が引き起こす悲劇。あまりに脆く切ない、恋の物語。解説・千街晶之
ミステリーかと思ったらとんだホラー&サスペンスだったよ! 新年一冊目がこれか!(※読書記録の記事は予約投稿しています) と思った一冊。閉鎖的な集落に戻ってきた女が、村長の息子である広海と出会う。彼女が告げるのはこの村への復讐。村ぐるみで隠されていたとある不正を暴こうというのだ。
男と女の話かと思いきや、後半になるにつれて『ムラ』という巨大なものがふたりを飲み込んでいくのにぐらぐらしました。由貴美と広海に対して「一緒になったらどうかな」は怖すぎた。ひいってなった。そうして広海の選択は、というラストまで息を詰めて読みました。
あらゆる物事を深刻に考えすぎないようにすること、あらゆる物事と自分の間にしかるべき距離を置くこと——。あたらしい僕の大学生活はこうして始まった。自殺した親友キズキ、その恋人の直子、同級生の緑。等身大の人物を登場させ、心の震えや感動、そして哀しみを淡々とせつないまでに描いた作品。(裏表紙より)
最後まで影を感じる作品だったなあ。うまく読めた自信がないんですが、途方もない、茫漠とした世界に取り残されているような気持ちになって、どうしよう、と思ってしまった。
何が自分を自分たらしめるのかとか、うまく自分の思いを口にするにはどうしたらいいのかとかを、うまく誤魔化しながら生きている感じに気付いてしまった瞬間、直子のようになってしまうのかもしれないなあ……。うまく社会に適応するかそうでないか、という話のように思えました。傷付くものなのだと肯定してくれてはいるんだけれど、うまくはいかない。もやもやしたものを抱えながら読了。
暗く重たい雨雲をくぐり抜け、飛行機がハンブルグ空港に着陸すると、天井のスピーカーから小さな音でビートルズの「ノルウェイの森」が流れ出した。僕は一九六九年、もうすぐ二十歳になろうとする秋のできごとを思い出し、激しく混乱していた。――限りない喪失と再生を描き新境地を拓いた長編小説。(裏表紙より)
村上春樹を読むのは久しぶりだ、というわけで『ノルウェイの森』を。
当時大学生になった僕ことワタナベトオルは、親しかった友人キズキをなくし、彼と幼なじみだった直子と交流を持っていたが、関係を持ってすぐに彼女は姿を消し、山奥の療養所へ行ってしまう。
センチメンタルというのか、埃っぽくて白い光が見えるようで、鬱屈した雰囲気がなんとも。これどこに落ちるのかなあと思いながら上巻を読み終えました。