読んだ本とか、漫画とか、映画とか、色々
「堪忍して、お兄様……」富豪の家に母の連れ子として入った雪子。待っていたのは義兄の執着愛。独占の証のように刺青を彫られ逃れられない。緊縛、言葉責め……。章一郎との淫らすぎる夜は、雪子を官能の深みに堕とす。禁断の愛に震える雪子に救いの手を差し述べたのは貞吉。純真な好青年との逢瀬で知る初めての恋。しかし兄は妹を奪い返さんと悪魔のような企みを!? 明治官能浪漫!(裏表紙より)
すさまじい内容で話題になったTL小説だと認識していたんですが、TL小説というより官能小説ですね……。そして気持ちいいほどバッドエンドです。
サイコパスな義兄と、彼に服従してしまいM気質を目覚めさせてしまったヒロイン。この二人がおかしいだけで、周りの人たちは基本的にはいい人というのがまた。最終的に義兄の章一郎は弟までをも服従させるんだから、救いようがなさすぎて笑ってしまうくらいです……。プレイとしてもアブノーマルなものが多く、刺青を彫るくだりでは恐ろしくてぞくぞくしてしまいました。
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コバルト文庫、「小説ジュニア」から「Cobalt」へ移り変わっていくところから、現在呼ばれている少女小説の変遷を見る一冊。非常に興味深く面白く読みました。「少女小説」という呼称がどうやって用いられるようになったのかというのをぼんやりとしか知らなかったので、なるほどなあと思った。
テーマは「少女小説」ですが吉屋信子まではあまり遡らず、「コバルト文庫」の誕生から現在まで、そしてその周りを取り巻くBL、ライトノベル、他少女小説レーベル、TLなどの話。知っている作家さんや作品の名前が出てくると「ほうほう!」とすごく面白く、ジャンルとしてどのように動いてきたのかを知ることができてたいへん興味深かったです。偉大な作家さんたちに思いを馳せました。
西大陸ケナージュローゼには、男性が女性に愛を捧げる証として、女性の爪に青入れ師が装飾を施すリーフィンという風習がある。
だが21歳になる青入れ師シェネラの爪には、ひとつもリーフィンがない。理由は、彼女の下に不定期に転がり込んでくる「顔だけが取り柄のぐうたら亭主」——ルネ。
周囲は、彼と早く別れるようシェネラに忠告するのだが、二人には誰にも明かすことが出来ない秘密があった……。
未来も今も、過去さえも変えてしまう異能・調幻の力が導く本格ファンタジー、開幕!(裏表紙より)
すごくざっくりいうと、ファンタジックな刺青とネイルという特殊技能を持つ主人公のお話。この「氷翠」と「青入れ」や、あざを尊ぶ習慣、愛を奉じる儀式などすごくファンタジックで作り込まれているなあと思いました。設定が作り込まれている分、理解するのが追いつかなくて最終的な種明かしに「ちょっと待って」と前のページに戻ってしまったんですが、本格で面白い。
謎の男ルネの正体は想像がつくんですがどこで明かされるんだと思いながら、しかしヒロインの後ろから彼女を抱えつつ立つというシチュエーションにもえてました。もうちょっと彼が活躍してもよかったのではという気もします。このままだとあまりに変人すぎる……笑
主人公の恋模様については「私たちって付き合ってるよね?」という以前に「私たちってどういう関係?」と考えながら本人に聞けず、ずるずると一緒にいるだめ女の見本のようです。くすっと笑えて楽しかったです。
19世紀帝政ロシア。父の死をきっかけにある能力に目覚めた少女オリガは、早春の公園で見たくないものを見てしまう。止むをえず少年の失踪事件捜査に関わるのだが、行く先々に現れるいわくつきの副署長ロジオンに、腹が立つやら調子を狂わせられるやら。しかもこの副署長、女性問題で地区警察に左遷されてきたという噂…。秘密を抱えて奔走するオリガに、いたずらな春の風が吹き始める…!(裏表紙より)
ロシアの空気を味わえる作品だなあと思いました。すごく雰囲気があって、寒さや暗さをすごくよく感じる。
貴族の子女オリガは、父の死をきっかけに伯父の屋敷で暮らしている。絵が描くことが好きな彼女は皇后の犬を描いたことさえある。でも「人の死ぬ直前からその瞬間までの姿が見える」という能力は秘密だ。ただでさえ変人扱いされている彼女の周りには、イギリス人弁護士アーサー、憲兵将校レオニード、元近衛隊中尉現地区警察副署長のロジオンなど魅力的で一癖も二癖もある男性陣が揃っている。……でも恋愛的甘さにならないのがいいよなあと思いました!笑
事件を追ったり、追及をかわしたり、危険な目にあったりするのですが淡々とした調子で進み、最終的に大きな謎である「父の死」については明らかにならないのが残念……。
しかもあとがきにも事件が。迷い犬だったり死臭のする米袋だったり、すごいな!? と別のところでもまた思ってしまいました。
スウェンが黎明国女王に即位し8年。時代は姉妹が荒野を駆け抜けた動乱期から、妹ルシェの一人娘・イーリアと、その姉として育てられた前十娘・エジカが生きる再生期へと移り変わりつつあった。
初代女王を思わせる鮮やかな花の痣と、幼いながら叔父のキナンを超える星読の才能を持つイーリア。その傍らでエジカは、自らが国の荒廃を招いた前女王の忌むべき血を引くことに悩んでいた。
新しい時代に生きる二人の王女が歩む、自らの人生とは——?
祈りと共に国を統べる娘たちの大河ロマン、堂々の完結。(裏表紙より)
第三巻。前巻で登場して黎明国へ迎え入れられた、本人をして「疫神」の血を引くエジカのお話。ルシェとエルダの娘イーリアは彼女の対比的な存在として描かれているので、さほど突出した活躍はないけれど、ルシェの血を引いてめちゃくちゃ可愛くて有能な子だというのがびんびん伝わってきます。
国自体が落ち着いているので大きな事件はなく、各々が「我が身に流れる血」や「脈々と受け継がれてきたもの」に想いを馳せる巻だったかなと思いました。
年齢的にエジカの恋のお相手は出てくると思ったんですが、君かー笑 前の二冊で有能だけれどどことなく不憫だった彼でしたが、この巻でもちょっと不憫で、でもそのおおらかなペースが心地いいなあと思いました。
これにて完結とありますが、ここからイーリアの物語が始まっていくかと思うとわくわくします。生き生きとした女性たちのお話、堪能しました。
理屈っぽくて合理的で知られるドイツ人。しかしミュンヘン在住のジャーナリストにうつった彼らの素顔はバラエティーに富んだものだった! 夏のミュンヘンで最も重要な交通手段とは? ビールの意外な楽しみ方、朝7時半に出勤し3時には退社するサラリーマン事情、アウトバーン、美味いジャガイモなど、身近で楽しい話題と愉快なイラストで、面白くてタメになる情報が満載。(裏表紙より)
1997年の本。だいたい3ページから4ページで一つのテーマが終わるのでとても読みやすかった。
EU全体が結構揺れている2017年に読むと、どう変わっているのかなあと気になりますが、多分人の生活の仕方はほとんど変わっていないのではないかなと推測する。
ヨーロッパでやっぱり特徴的なのが働き方や社会保障かなと思いました。だらだら働いてもいいことないよね……(我が身を振り返りつつ)。さくっと仕事終わらせて、ちゃっと休暇を取る働き方、見習いたいです。
アメリカの全寮制名門高校に奨学生として在籍しているチャーリーは、裕福な家庭に生まれ育った同級生たちにいじられている。そんなある日三人の友人が校長の所有する高級車にいたずらを仕掛ける現場を、もう一人の友人と目撃。二人で校長の取り調べを受けるが、チャーリーは校長から、密告してハーバード大への推薦を手に入れるか、黙秘して退学するかを休暇後に回答するよう迫られる。一方、アルバイトとして盲目の元軍人スレード中佐の世話を任されるが、気難しく突飛な言動をする彼に振り回され、ニューヨークにいくことになってしまう。
おすすめされた作品。苦学生と元軍人が、人生の行き詰まりを感じたときに出会い、もう一度新しく生き直す物語。
登場人物が目の見えない元軍人なので女性の香りに関するシーンと台詞がすごく印象的で官能的だなあと思いました。しかし気難しいあまりだいたいの台詞が怒って聞こえるのが見ているとちょっと辛いところもあったのですが、ひやひやさせるシーンと胸を引きしぼられるような悲しいシーン、ユーモア溢れるシーンの緩急がすごくて見入ってしまいました。
審問会のシーンはやっぱり演説がうまいなあと思いました。ここでうまくないとずっこけるので、どれくらい練るんだろうなどと考えてしまった。
面白かったです。おすすめありがとうございました!
外では大人の女性として働く蛍は、家ではジャージ姿でごろごろしながらビールを飲む干物女。高野部長と結婚し、相変わらずごろごろする毎日。そんな二人は新婚旅行と仕事を兼ねてイタリア、ローマへ行くことに。宿泊先のホテルでは同じような干物女が滞在していたり、ローマでは誘拐事件が起こっていたり……果たしてのふたりの旅の結末は。
ドラマはろくにみていないんですが、綾瀬さんの「ぶちょおぅ~」が可愛いなと思っていたのでなんとなく映画を見ることに。
イタリアをウェディングドレス姿で走り回るのはなかなかロマンですね。もっと派手なドレスだったらよかったのになあというフェチズム。ドレスをめちゃくちゃ汚すのが気になって仕方がなかったんですが……。
こういうラブコメなドラマの映画はだいたい展開が予想できるのが面白いなあと思うんですが(だいたい事件の原因は、主人公側を試す試練。あるいはとてもくだらないすれ違い)、これもやっぱり想像通りの展開で安心して見られました。登場人物の言動としてはありえないなあなんて思うんですが、蛍が楽しそうなのでいいや! でももっとにやにやらぶらぶなシーンが見たかったなあと思いました。
あとエンドロールのやりとりって即興なのかな。ウクレレのくだり、綾瀬さんまじ笑いしているように聞こえて噴きました。
ジャスミンには女友達がほとんどいない。だから、その貴重なひとりであるエルヴァリータの就任式に、どうしてもどうしても駆けつけたかった。
一方、エルヴァリータは闇の神の託宣により最高位への昇格が決定した以上、どうしても是が非でも、ルウに就任式に参列して欲しかった。
かくして、何が何でも絶対に二度とトゥルークには降りたくないダイアナとルウは「そこを何とか」とくどかれまくることになる。この事態にすねまくる彼らは手に手を(!)取ると、家出を決行! さてこの後日談的結末はいかに——?(裏表紙より)
天使たちの課外活動4の次、かな? エルヴァリータとダレスティーヤの就任式に行こう! という話で、派手な事件は起こらず、逃げるルウとダイアナを追いかける話。どうして表紙がルウとダイアナなんだ? と思ったら、なるほど手に手を取り合い家出ですね……笑
ケリーとジェームスが話したり、怪獣夫婦の家族の話があったりしたのに加えて、トゥルークにいるとある家族たちの話もあり、親と子の話だったなあと思いました。
就任式のエルヴァリータとダレスティーヤの挿絵は、さすが鈴木理華さんという感じで細かく美しい。
アンヌとの約束を果たすべく怪獣夫婦がテオドール・ダナーに子連れでやって来た。「子」の方が年長に見える「子連れ」だけれども。
店には共和宇宙でも十指に入る高名な投資家であるシメオン・パラデューがやって来たり弟子入り希望の料理人が押しかけて来たりで、かなり騒がしいが繁盛しているようだった。
ところがある日、店主がダナーを息子に任せて行方不明に……?
さらになんと、もろもろの事情からその店主を怪獣夫婦が護衛することに……!
珍しくものんびりと陸路の旅を楽しむ(?)夫婦を待ち受けるものとは?(裏表紙より)
課外活動3までを読んだ次にこれを読み、トゥルークの話が出たので話を飛ばしたと思って『トゥルークの海賊』3巻までを読んでから戻ってきたんですが、トゥルークを読んでいなくてもあんまり関係がなかったことが分かった(冒頭の話の事情が分からないっていうのはあるかもしれませんが)
天使シリーズですが、リィたちの出番は薄め。課外活動3で登場したレストラン、テオドール・ダナーと美術品にまつわる事件で、怪獣夫妻がメインです。
料理が人の心を掴むっていう展開が好きなので、にやにやしてしまった。のんびりと護衛する怪獣夫妻もいちゃいちゃしてて嬉しかったし、事件性も薄くて平和に終わってよかったよかった。