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読んだ本とか、漫画とか、映画とか、色々
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もしもソクラテスに口説かれたら―愛について・自己について (双書 哲学塾)
わたしたちはいったい何を愛しているのか。ソクラテスがつきつけたこの問題は、わたしたちを思わぬ世界に引きずり込みます。その世界には落とし穴や地雷がいっぱい。迷路もあれば抜け道もあります。実際に歩いて体験する哲学実習。(カバーより)

ゼミ内で行われた討論をまとめたもの。
「もし「わたしはあなたの顔も性格も嫌いですが、あなた自身を愛しています」と言われたら、うれしいだろうか。うれしくないなら、なぜだろうか。」というところを考えるのがこの本です。ソクラテスが、アルギビアデスを口説く時に使ったやり取りをテキストに、「身体」と「魂」と「わたし」について、学生とやりとりするのですが……これがまあ、どんな発問、答えを口にしても、ぐるぐる回るだけでほとんど答えが出ない。発言していた学生たちが、いらいらしているのが文面から伝わってくるような気がしました……。
最終的に、ことば、の問題であるという話に行き着きます。哲学むずかしい……というのをひしひしと感じた一冊でした。
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おちくぼ姫 (角川文庫)
高貴な生まれにもかかわらず、意地わるな継母に縫い物ばかりさせられている貴族の姫君。落ちくぼんだ部屋にひとりぼっちで暮らす彼女は、邸の者からも「おちくぼ」と呼ばれていた……。そんなある日、都でも評判の貴公子が姫君の噂を聞きつけて求婚を! 熱心な貴公子に姫君の心も動かされるものの、さまざまな問題が立ちはだかる。はたして二人の恋の行方は……? 若い読者のために現代訳された、田辺流「王朝版シンデレラ」!(裏表紙より)

何か古典にまつわるものを読んでみようと思って。あとカバーが可愛らしかったのもあって。
宮様の血筋だけれどその実母が亡くなり、継母からいじめられて、邸の落ちくぼんだ部屋にひっそりと住まう姫君。縫い物が巧みなので、針仕事を押し付けられている。乳兄弟として彼女にお使えする女房・阿漕は、それが悔しくてならない。夫を持ったものの、姫様の幸せを見届けるまでは、と思っていたところ、夫である帯刀の乳兄弟、いまをときめく右近の少将が姫君に興味を抱いたらしく……。
という状況で、阿漕や姫は、相手に、一生私ひとりと添い遂げてほしい、という。いじらしくって純粋で、でも多分この時代では難しかったのだろうなあ、というところを、帯刀や少将は叶えてくれるんですが、いやーとってもロマンチック! 部屋に忍んでいるところを見つかるか否かはどきどきしました。
最後に復讐するところも面白かった……。姫の心優しさがちょっといい子すぎるとも思ったのですが、まさに「ざまあ」でした。
透明な鎖―障害者虐待はなぜ起こったか
1996年に起こった滋賀サン・グループ社事件。障害者に対する虐待が明るみに出るまでと、当事者からの聞き取りから事件の中身がどのようなものだったかなどを記した一冊。1999年の発行で、この本が出た頃はまだ裁判の最中。でも、どうやら、年金横領で逮捕はされたものの虐待に関しては不起訴になったのかな……?
行政側の動きがもどかしく、初動が遅くなってしまった家族側の動きも分かるような気がしたし、虐待の内容が語られていくにつれて息苦しくなって、読んでいて辛かった。
ホームレス中学生 (幻冬舎よしもと文庫)
麒麟・田村裕の子どもの頃の貧乏生活、高校卒業までを綴った自叙伝。いろんなテレビ番組で聞いたエピソードですが、まさかお母さんを絡めてくるとは思っておらず、麒麟の田村さんはお母さん思いの子なんだな……としみじみしました。文章は巧みではないけれど素朴に綴っているところが感じられて、著者の人のよさがすごく滲み出ている……。ええ子やなあ……。よおがんばってるなあ……。なんておかん目線な気持ちになった読後でした。
火花
お笑い芸人二人。奇想の天才である一方で人間味溢れる神谷、彼を師と慕う後輩徳永。笑いの真髄について議論しながら、それぞれの道を歩んでいる。神谷は徳永に「俺の伝記を書け」と命令した。彼らの人生はどう変転していくのか。人間存在の根本を見つめた真摯な筆致が感動を呼ぶ!(帯より)

身近な人の感想を聞くと「よくわからん」「すごく面白かった」という二つに分かれるので不思議に思っていたんですが、私はすごく面白かったと思った方です。たぶん、芸とは、創るとは、才能とはということを書いているからなのではないか、と勝手に思う。
読み終わったあと思ったのは「才能の話だな」ということと「生きやすさと生きづらさの話だな」ということでした。才能と生きやすさと生きづらさの話はすごく密接に結びついていると思っていて、才能について考えるだいたいの人は生きづらいんですよ……ということを思いました。
私自身は深くのめり込んだわけではないのですが、この作品を読んで「私のことが書いてある」と思う人は多いんじゃないかな、と思いました。面白かったです。
明日がある児童養護施設の子どもたち
『明日がある 虐待を受けた子どもたち』と同じく、朝日新聞の連載に、大幅加筆、書き下ろしたもの。児童擁護施設に暮らす八人の子どもたちの言動と、その状況が記されています。虐待を〜よりは、簡単な記録という印象でしたが、それは多分虐待が暴力で、強い言葉であり行動であるせいだろうと思います。けれど、児童養護に暮らしているということはそういう状況であったわけで、当事者たちは問題を抱えているということは変わりがない。
愛するってどういうことだろう、と読みながら思いました。
不妊治療を受けたものの子どもを授からなかった夫婦が、養子縁組をして双子ともう一人の三人の男の子の親になる。それまでとそれからの手記。
内容によって話を分けているせいか、時系列が前後して読みづらかったですけれども、どのようにして養子縁組をしたか、その時の気持ちは、ということが綴られていて、興味深く読みました。周囲にはどのように対応したか、子どもたちにはどう告知したか、周りから養子と知られた子どもたちにはどう言ったか、など、自分が当事者だったらどういう気持ちになるだろうか、と考える内容がいっぱいありました。
明日がある―虐待を受けた子どもたち
虐待を受けて育った五人の子どもたちの証言をまとめた一冊。2001年2月に朝日新聞で連載されたものをもとに書き下ろされたもの。どういう風に育ったのか、親の反応や理不尽な言動や、虐待が読んでいて本当にやるせなくて、どんなに痛かっただろう、いまもそれが痛むだろう、と思う。しかも、こうした子どもたちはいまも存在し続けていて、助けを待っている。虐待だけでなく、貧困の問題もどんどん表面化してきている。どうやったら生きることが楽になるんだろう。当たり前の生活が続けられるようになるんだろう。最近ずっと、それを考えている。
ルポ 保健室 子どもの貧困・虐待・性のリアル (朝日新書)
「私には保健室がある」
虐待の家で育った少女が、笑顔を取り戻した──。
貧困や虐待、いじめなどのさまざまな問題を抱えた子どもたちが、最後の拠り所として集まってくる学校の保健室。そのドアの内側で、子どもたちが発する心の悲鳴を聴き取り、彼らの支えとなるべく奮闘する養護教諭たち。「駆け込み寺」「オアシス」と称されてきたその場所で、いま大きな変化が起きていることを誰も知らない……。現代の子どもたちが強いられた困難の本質を探るルポルタージュ。(カバー折り返しより)

非常に興味深く読みました。
しょっぱなから、いまの子どもたちの中には「マスク依存」の子がいる、というそんなの初めて聞いたという話題が出ます。風邪の予防ではなく、ただマスクをする。マスクをもらいに保健室にくる子がいると。そしてそういう子は、自尊感情が低かったり、何か問題を抱えている子が多いらしい。
そうした日常的なことから、保健室登校の話や、虐待のこと、そして学校外にある「保健室」の話などが収録されており、一口に「保健室」というけれども、そこが子どもの避難所や変化の気づきの場でもあることが分かります。保健室を通して、子どもが抱えている問題をみる一冊。
母は娘の人生を支配する―なぜ「母殺し」は難しいのか (NHKブックス)
反発から深い理解へ
娘を過剰な期待で縛る母、彼氏や進路の選択に介入する母...娘は母を恨みつつ、なぜその呪縛から逃れられないのか?
本書では、臨床ケース・事件報道・少女漫画などを素材に、ひきこもり、摂食障害患者らの性差の分析を通して、女性特有の身体感覚や母性の脅迫を精神分析的に考察し、母という存在が娘の身体に深く浸透しているがゆえに「母殺し」が困難であることを検証する。
「自覚なき支配」への気づきと「自立」の重要性を説き、開かれた関係性に解決への希望を見出す、待望の母娘論!(カバー折り返しより)

2008年発行の本。まだ「毒親」が浸透していない頃でしょうか。母が重い、ということを考える本で、実際例よりもいろいろ引用してきて論じている感じがしました。専門書という感じ。
オタク・腐女子論は、この本から八年経ってるし、セクシャルマイノリティの考え方もまあまあ広まってきていることもあるからか、読んでいて「んー?」と思うところがいっぱいあったんですが、引用されていたよしながふみさんの対談部分がすごく興味深かった。
男の人の抑圧ポイントは「一人前になりなさい。女の人を養って家族を養っていけるちゃんと立派な」人間になることだけれども、女の人はひとりひとり辛い部分が違って抑圧ポイントが多様であり共感しあえない、ということが書いてある。女の人は「一人前になりなさい=いい母になりなさい」っていうだけじゃないのか、と改めて思ったというか。
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Author:月子
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