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読んだ本とか、漫画とか、映画とか、色々
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死刑囚の最後の瞬間 (角川文庫)
戦後、我が国で処刑された死刑囚は六百人以上にのぼる。しかし密行主義といわれる現行の死刑制度の中で、我々は確定囚のその後を知ることは出来ない。彼らが処刑までをどのように生き、どのようにして人生を終えるのか……。
二十年以上にわたり、“死刑”を追い続ける著者が、世間を騒然とさせた十三人の死刑囚の最期を通して、ベールに包まれた死刑制度の実態に迫る。衝撃のドキュメント!〈解説 牧太郎〉

死刑が確定した囚人の、簡単な略歴と死刑が確定した犯罪についての説明、そして、刑務所に収容された後、死刑が行われるまでの日々を記したもの。
刑務所というと「グリーン・マイル」で「ダンサー・イン・ザ・ダーク」なんですけれども、そういうものとはまた違った……けれど一緒のような……。
お迎えが来るまで、彼ら死刑囚は、特に日本人は、だいたい模範的な囚人になる。宗教に帰依し、穏やかな人柄になり、短歌や俳句を詠み、死ぬ間際には「あの世で被害者の方にお詫びすることができます」「私のような者に先生方(刑務官たちをこう呼ぶらしい)ありがとうございました」と言うという……。この本に書かれている死刑は、まだ昭和の頃のことなので、今はきっと形も違っていると思いますが、本当なのだろうか、とちょっと疑うところもあり……。
良心を持たなかった、あるいはそれが一部欠けていたために、殺人を犯した者が、果たして神様を信じるようになるのだろうか? と。ここに書かれている死刑囚たちは、まるでお坊さんのお説教のような言い回しをしているので、心の底からそれを信じているようにも読めて、そうなのかなあと。今はどうなってるのかな。
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はじめての恋ではないけれど (エタニティ文庫)
相澤奈々、まもなく二十五歳。平凡で地味な毎日だけど、恋愛も仕事も順調だった。ところが、そんなある日、奈々は、途中入社してきた後輩に、恋人を奪われてしまう。精神的にボロボロになった奈々がすがりついたのは、クールな上司・樋口だった。
約束したのは、大人の関係。割り切った関係のはずだったのに、お互いに惹かれていって……
一度傷ついたからわかる、この恋の大切さ。甘いだけじゃない、大人のラブストーリー。(裏表紙より)

エタニティってだいたい甘々だったりらぶえっちだったり、というイメージだったんですが、オフィスラブものでも、これは結構ビターな感じ。主人公が清純とかそういうのじゃなく、すごくしっかりした考え方の持ち主で、だからこそ恋人を奪われてだめになってしまうという。そこから上司との関係が始まり……という、繋がり方もやり取りも、常にお互いが傷ついている感じがして、読んでてずっと痛々しい。だから、ちゃんと結婚できてよかった。
赤ちゃんはてな―赤ちゃんがわかる育ちのガイドブック (はじめて出会う育児シリーズ)
赤ちゃんの体形や、消化やよだれ、といった色んなことを優しく解説する一冊。育児百科が詳細な解説だとすると、これはすごく簡単に書いてある。こうだから心配しなくていいんだよ、みたいな。
子育て指南書ではないので、こうしたらいいよというものはほとんどありません。赤ちゃんという存在は、こういうことをして、こういう発達をして……というものなので、改めて読むと「へー」と思うところがありました。反射のこととか。
学生時代、発達心理学の授業で、赤ちゃんから幼児にかけての発達について、視聴覚で学習したのを思い出しました。ああいう実験とか、見るのすごく好きなんですよね。
ハーヴェイ・ミルク [DVD]
1984年制作のドキュメンタリー映画。ゲイの権利活動家だったハーヴェイ・ミルク。彼に関わった人々と、彼を殺したダン・ホワイトにまつわる事柄をまとめた作品。

前回、ハーヴェイ・ミルクを中心に据えた「ミルク」という映画を見たのですが、ドキュメンタリーもあるよと聞いたので見ました。「ダン・ホワイトの印象が変わるよ」とも言われていて……変わりました。
ホワイトが何を考えていたのかというのは、「ミルク」にはなかったのですが、この作品の中にはあります。
ああ、もう、本当に、追い詰められていたんだなあ……と思いました。誰にも言えず、誰も頼ることもできず、孤独で、けれどミルクには大勢の支持者や仲間がいる、市長すら彼の味方をする……という環境に押しつぶされたんだろうと想像しました。どんなに教会に通って、優等生的に振舞っていても、報われないものがある辛さ。だからといって人殺しまでするのはどうかと思いますが、本当に、孤独で辛かったんだろうなあ……。そして、何もかもをなくして、自殺、か……。
きっとミルクにも大勢の味方がいるという、ある種傲慢なところが態度に出ていたんじゃないかと思っていたんですが、もしかしたらそう受け止めたのがホワイトだったのかもしれない。
“消えたい”症候群―リストカットとオーバードーズ 生への処方箋を考える
絶え間ない不安と寂しさを埋めるために手首を切り、精神安定剤の大量服薬をくりかえす若者たち。血を流すのは生きている実感がほしいから。彼らはなぜ、そこまで追い詰められてしまうのか——。(帯より)

2006年の発行。中学生から高校生については、いじめや、軽い鬱症状と不登校などの精神的な要因によって、リスカする人がいるっていう知識はあったんですけれど、薬の大量服薬については知らなかった。しかも、年齢って二十代も三十代もいて、その薬って麻薬みたいに繰り返し飲む層もいるんですね。
自分は絶対切れないなあ……と読みながら思う、事例の数々。痛みが生きていると実感できるって、それは当然のものなんだけれど、その痛みを思うと私なんかはすくみあがってしまう。そういう人たちは、その感覚が麻痺するくらい、心が痛いわけなんだな……。
いろいろあって、生きててもまあいいかと思えるようになったのは、私自身は二十歳を過ぎてからで、二十歳を超えてから誕生日がくるごとに「ああ、また一年生きることができたのか」となんとなく思ってしまう私も、きっかけがあれば切ってたんだと思いました。
最近いくつか当時の若者事情や家族問題の本を読んでますけれど、今読んでいるととやっぱりそういう問題はじわじわ増えているんだと実感します。そして、そのことに名前が付けられて、カテゴライズされたり、一般的な知識として広まったり、対応や対策がとられていることも。
体感する宇宙
「ブラックホール」「ビッグバン」「ニュートリノ」……
誰でも一度は聞いたことがある、宇宙の話によく出てくる名前。
だけど……それってものすごく遠くで起こっていることの話でしょ?
“それを知ったからっていったい何になるの?”
そんなあなたの日常に、今、宇宙が舞い降りる!(カバー折り返しより)

宇宙というものを身近に感じさせられるよう、日常のことに例えながら宇宙のいろいろな現象などについて解説した一冊。
宇宙を体感してみる前半、宇宙の◯◯を言い換えるならという後半に分かれています。「超新星爆発を体感してみよう」→「ストレスを発散せずにずーっと溜め込んでみよう」っておかしいわ! でもなんかすごくよくわかる!! 星が爆発するくらいってことね!!! みたいな。そういう振り切り方が面白く、すごく上手いこと言ってる一冊でした。「新婚旅行中に喧嘩してしまったら?」→「それがビッグバンだ! 爆発が終わったあと新たなものを生み出していくのです」ってやかましいわ! でもよくわかるわ! の連続でした。
優雅な王太子と男装の姫の結婚 (マリーローズ文庫)
公爵の嫡子として生まれたものの、母親の保身のために女であることを隠して爵位を継いだエリーアスは、秘密がバレないようにひっそりと暮らしていた。しかし皇妃が懐妊したため、護衛役として公の場に引きずり出されてしまう。さらには見舞いにやってきた皇妃の兄、モダーヴ王国の王太子をスパイしろと命令される。だが王太子に女だとバレてしまったエリーアスは!?(裏表紙より)

欧州でがつがつ戦争していて、それぞれの国が国力を蓄えながら、睨み合っているような時代を参考にしたような世界観。性別を隠しながら公爵として皇帝に仕え、しかし病弱を理由に田舎に引っ込んでいたヒロインが、皇妃の護衛役に命じられたことから始まる物語。
これ、すっごく好みでした……。
男装ものって、ライトなものの方が多い気がするんですけれども、これは舞台となる国や、皇帝との関係、貴族の立場なども結構しっかり設定してあって「皇帝を裏切ることはできない」「公爵として騎士としてお仕えするのみ」という価値観が、ヒロインのエリーアスにばっちり刷り込まれているわけですよ。そして、周囲もごつごつした男ばかりで、男尊女卑の風潮が強い。
価値観と文化が違うんだと気づくのが、皇妃アデリーヌの存在であり、その兄、ヒーローであるアルベールの存在なわけです。後から気づいたんですが、これ、前の巻はアデリーヌと皇帝ジークヴァルトの話なんですねそれすっごく読みたいんですが!?
ともかく、優雅な王太子様、アルベールの、喋り方、に、私は顔を覆って崩れ落ちました。私、喋り方フェチなところがちょっとあって、アルベールの「悪いようにはせぬ」とか「我の婚約者ぞ」とか、今まで読んだことのないヒーローの喋り方に、何故かときめきで呼吸困難になるという……。
TL小説なのに、そういうシーンはほとんどカットされていたのも、なかなか大胆だったなあ、と。というか、エリーアスとアルベールの初夜のやりとりに噴きました。この先大丈夫かなあこれ。男として育つって大変だ。
後半急になんだか雑になって誤字が増えてたのが気になりましたし、名前と人物がちょっと複雑というか分かりにくいところがあるような気もしましたが、しかしすごく好みでした。面白かった。
ご主人様のお気に入り: 男装従者は甘く溺愛される (ティアラ文庫)
アシュリーは女だけど男装して伯爵家に仕える召使い。お世話するシルヴァン様はスキンシップ大好き。気さくに抱きしめられたり、髪を撫でられたり毎日がドキドキの連続。男装がばれそうになった時「女なのは前から知ってた」と甘く唇を奪われ……。男装を一枚ずつ脱がされ高鳴る鼓動。胸いっぱいで純潔を捧げ——。「可愛い人、一生大切にするよ」と告げられ、寵愛の歓びは最高潮に!(裏表紙より)

あらすじからは絶対に分からないプリンセスストーリーです。
天涯孤独のアシュリーは、幼い頃、行き倒れたところを名門伯爵家の令息シルヴァンに助けられる。命を救ってくれた彼に一生仕えることがアシュリーの望み。けれどシルヴァンには婚約の日が近づいていた。彼のお供として、短い旅行に出たアシュリーは、そこで自分のルーツを知ることに……という、よくある話ではあるんですけど、たいっへんかわいい話でした。
行方不明の王女の存在や、一生お仕えしようという少女の無垢な願いとかもそうなんですけど、何よりシルヴァンがとっても紳士。言葉遣いも優しいし、アシュリーに対して無理やりとか自分のものにしようという欲求を、すごく上手に隠してる感じ(なのが終章を読むとよくわかります)。
そこからヒロインがプリンセスになるところも、彼と結ばれることになるところも、さらっとすぱっと簡単に進むんですが、分かりやすくて面白かった。かわいい物語でした。
烙印の紋章―たそがれの星に竜は吠える (電撃文庫)
 かつて高度な知能を持った竜が支配し、魔素を利用した文明に支えられた世界。
 十年の間、戦争を繰り広げてきたメフィウスとガーベラは王族同士の政略結婚により、その長い戦いに終止符を打とうとしていた。
 幼い頃、戦争により故郷を追われ剣闘士となったオルバは、瓜ふたつの容姿をしていることから、婚礼を控えた、うつけと噂されるメフィウスの皇子とすり替わることになる。一方、勝気なガーベラの姫、ビリーナは皇子を籠絡して自国の利益を図ろうとひそかに決意する。そんな二人の婚礼の途中、何者かの襲撃があり——!? 二人の思惑と和平の行方は?
 杉原智則が贈るファンタジー登場!(カバー折り返しより)

一時たくさん出ていたような気がする、身代わり、入れ替わりものであり、戦記ものです。そういうものって結構主人公が振り回されるんですけど、この作品の主人公オルバは、したたかに生きる手段を講じて策を巡らし、足場を固めていく。その確かさが面白い!
剣闘士仲間ときっぱり縁を切って、知らないふりをするのかなと思っていたら、そうではなく、正体を明かして一緒に戦うという、熱い展開。ビリーナとの関係も、これからがすごく楽しみだし、誘惑する役らしいイネーリがすごく気になる。そしてどういう結末を迎えるのか、最後まで読みたい。
夢違 (角川文庫)
夢の映像を記録した「夢札」、それを解析する「夢判断」を職業とする浩章のもとに、奇妙な依頼が舞い込む。各地の小学校で頻発する、集団白昼夢。浩章はパニックに陥った子供たちの面談に向かうが、一方で亡くなったはずの女の影に悩まされていた。日本で初めて予知夢を見ていると認められた、結衣子。災厄の夢を見た彼女は——。悪夢が現実に起こるのを、止めることはできるのか?戦慄と驚愕の新感覚サスペンス!(裏表紙より)

ドラマの「悪夢ちゃん」の原案だということですが、そうでした、あの時間帯のドラマは、原作小説から結構かけ離れた改変をするんだった(という思い込みが私にはあります……)。
時間と場所は特定できないけれど、予知夢をみることができる結衣子。彼女が見た大事故の夢が、彼女自身の最期だった。結衣子が死んでから十二年。夢判断をする職についていた浩章は、結衣子がまるで生きているかのような幻をみる。けれどそれは本当に幻か? 折しも、とある学校で集団白昼夢事件が起こっており……。
どこかのエッセイで「無意識をめぐる冒険」を書きたいということを書いておられたような気がするのを、読み進めていて「無意識をめぐる」というワードが出てきてはっと思い出しました。
現実と夢と、科学では解明しきれない不可思議の出来事が入り混じった、恩田陸作品ならではのもので、終わり方もオープンエンドで投げるといういつものでした。私は現実と夢が融合しきって別世界を構築したのかなあと思ったのですが、「夢違というタイトルから、夢によって未来が変わって、パラレルワールドに移行したんじゃないか」という意見を読んで、なるほどーと思いました。だとすると結衣子は死なず、浩章と一緒にいる未来に、夢が変わり、結衣子は自分の願いを叶えることができたわけだ。
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Author:月子
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