読んだ本とか、漫画とか、映画とか、色々
崩壊後の地球。砂漠化した世界を、マックスはフラッシュバックに悩まされながら、愛車でひた走っていた。その途中、襲撃にあったマックスは、シタデルという砦に囚われる。そこは、イモータン・ジョーを王といただく場所であり、水と緑は彼に独占される独裁社会だった。ジョーの部隊の一員であるフュリオサが裏切ったという知らせを受けて、ジョーは出陣するが、マックスはジョーの兵士であるウォーボーイズ、ニュークスの「血液袋」として繋がれて……。
中盤まで砂漠をひた走り、車を爆破させる、というシーンが繰り返されます。疲れる! 景色が変わらないからちょっと退屈!
話が動いてくる中盤以降は、かっこいい女の人たち(鉄馬の女の一族)が出てきて「うおおおおばーちゃーーーん!」ってなるのではらはらどきどきでした。酸いも甘いも噛み分けたおばあちゃんと、悩める若くて麗な女の子の語らいのシーンは、すごくいい……。
後半の、誰が生き残って誰が死んでしまうか、を考えながら見ていると、やっぱりはらはらしました。結構どっかーん! ぐっしゃー! ばっきー! っていうシーンが多くて疲れるんですけど、見せるところは見せてくれる、というのがよかったです。ニュークスはいい子……。
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学園祭を明日に控えた友引高校で、ラムたちは準備に勤しんでいた。しかし、大騒ぎの結果、担任教師の温泉マークが精神的に参ってしまい、保健医のサクラは彼に休むよう勧める。しかし、彼らが口にする「明日が文化祭」という言葉が、何度も何度も繰り返されていることに気づいたサクラは、文化祭前日を繰り返す友引町から脱出しようとするが……。
タイムループものであり、終末世界ものであり、夢をモチーフにした作品でもある。前半は、文化祭前日を繰り返す世界とそこから脱出するための話、後半はループを抜け出したけれど限られた人間に都合のいい終末世界を過ごすもの、そして、オチである夢世界にまつわる話。
すごくよくできた脚本だなー、と思いつつ、終わり方の余韻もよく、いろいろな解釈ができる話で面白かった。ループに気付いたところから脱出しようと足掻くところは怖くてぞわぞわしたし、後半の終末世界の様相と真相に辿りつこうするところは手に汗握ったし、そこから現実世界に戻ろうとする悪夢の連続は息を詰めて見守りました。あたるの気持ちについては「ん? そうだったっけ?」と思いはしたものの、この作品のオチとしてはいいものだったと思いました。面白かった!
1970年代のアメリカ、サンフランシスコ。市長と市会議員ハーヴェイ・ミルク氏が射殺された。ミルクは、同性愛者であることを公表し、彼らのための政治家として活動した人物だった。彼は、「自分が暗殺によって死んだ場合に再生すること」と、自身の言葉をテープに吹き込んでいた。
2008年の映画。同性愛者であることをカミングアウトし、なおかつ当時風当たりのきつかったアメリカで、公人となって働き、マイノリティの人々のために尽力したハーヴェイ・ミルク氏の活動を、実際の映像を用いながらストーリーとして仕上げた作品です。
見終わった後、すごく胸にくるものがあって、うまく言葉で言い表せない……。マイノリティとされる人々が集まって声を上げること、時代が変化すること、そしてその結果、今の自分の意識や考え方があるということに、とても胸を動かされるというか、こういう人たちがいるから、自分自身はリベラルな考え方を持つことができる(とされる)社会に生きていられるんだな、と感謝するというか……。
私自身は、それが誰かを傷つけることがないかぎり、嗜好は自由であってほしいと思うし、そういう社会であってほしいと思う人なので、そうでない人が多いであろう世界で生きている人たちの息苦しさはどれほどのものなんだろうと思うと、なんとも言い切れない苦しさを覚えます。「異性愛が普通なんだ」とされるものだと、つい思ってしまう育ち方をしているけれど、普通ってなんなんだと。人の愛し方は一種類じゃないだろうと、ぐるぐると考えています。
ドキュメンタリーの方の映画もあるので、見ようと思いました。
少し前に一斉を風靡した「東大ノート」のまとめ本、の二冊目。デザインの勉強のつもりで読んでみたんですが、ノートって個性が出るんですねえ! 自分がそういう勉強から遠ざかってもうだいぶと立つので、頭のいい人のノートを見る機会がなく、今回初めて見ました。みんな綺麗に書くなー。
私は授業ノートとテスト勉強用のノートを作る人間で、それは社会に出てからも、殴り書きのようにばばばっと素早くとるメモ用のノートと、まとめノートを作るようにしていますが、このまとめノート、綺麗に書けないんですよね……。そして綺麗に書くのを諦めるという。
この本は東大ノートに加えて、京大ノートも特集しており。東と西の文化というわけではないでしょうが、やっぱりちょっと地域性が出るものなのかもしれませんね。そう、何故かやたらとカラーペンを使いたがる気がするんだ関西は……。
春夏秋冬それぞれの娘たち。季節の名を冠するように私たちも色鮮かに。私は冬都。寒さに凍るものたちは時として割れる。自らが割れるとき、相手を割るとき。血が流れるまもない瞬間的に。<本文より>(帯より)
とあるわがままなお嬢様の取り巻きを、楽しいから、益があるからという思惑で寄り集まっていた、春都、夏都、秋都、冬都の高校生四人。しかし、そのお嬢様が、スケートリンクとなった湖の氷を踏み割り、落ちて亡くなってしまう。果たしてこの死は、事故なのか、故意なのか。……というような、人の死にまつわってしまう話を、四人それぞれでやりますという作品です。謎の解き手は、他のシリーズ作品に登場する男性陣。主人公それぞれも思いを寄せつつ、自らの心を脱皮させていくわけですが……。
この、心理ミステリーというのか、人の心のちょっとした作用を用いて謎解きをするのが、うまいなあ、と最近読んでいたいくつかの作品を見て感じるのでした。最後に収録されている「通訳」、面白かった。最後のオチもくすっと笑えて。
何て素敵な人なの……。精悍な美貌、甘い香油の匂い、耳を蕩かす声。弟になりすました翠伶が、煌びやかな御殿で出会った美青年・颯瑛。運命的な出会いに胸がときめくけれど、告白できないもどかしさ。そんなある日、男装がばれてしまう! 絶望する翠伶に「君が女だったなんて最高だ」と秘密を守ってくれた颯瑛。恋人同士として蜜月を過ごしていたら、彼がとんでもない真実を……。(裏表紙より)
上記あらすじがびっくりするほどほぼ本編です。
中華風ファンタジーとしてすごくそれらしい設定を作ってあって、おお、中華風! と思いました。身分や、男女の違いや、貧富の差をさらっと書いてあるところがいいなー。
物語自体はすごくシンプル。弟の身代わりに、官吏の登用試験を身代わり受験した姉は、その成績があまりによかったので、州太子の教師役に任ぜられる。弟と引き取ってくれた養家のため、姉は男装して登殿する。そこで、美しく優雅な立ち居振る舞いのする素敵な男性がいて……、という。
立場に物を言わせて弱みに付け込んで脅してことに至るっていう、ちょっとあれな部分がありますが、最終的に幸せになってよかったよかった。でもヒーローの方がちょっとケダモノだなー優雅なのになー笑 などと思って読みました。
継母や義姉に虐待され、謎めいた魔導師セルフィに召し使いとして拾われてしまったシルクローズ姫。「ここも気持ちがいいのだな、覚えておこう」毎夜、理由をつけては彼女をベッドに引き入れ淫らに触れてくる彼。傲慢だけど、蕩けるような快楽を紡ぎ出す指先はとても優しく、彼女への密かな気遣いも暖かい。しかしある日、姫との婚約を破棄した王子に呪いがかけられたことを知り——!? (裏表紙より)
シルクローズは、マルベリーの木に住むフェアリーたちと仲良し。けれど父が亡くなってから、継母と二人の姉に召使としてこき使われる日々。ある日、自分の婚約者である王子がやってくると聞いたけれど、姉たちの邪魔によって再会することは叶わない。城まで追い出されたシルクローズは、しかし、美しい魔導師セルフィーと遭遇し、彼の召使として拾われることになった。
……という、ちょっと童話めいた世界観の物語。
シルクローズがびっくりするほどいい子というか、無垢というか、だから付け入れられるんだよというか……。ヒロインは、もうちょっと賢くて逃げるほうが好みかなーと思いました。無邪気すぎると、貞操感がないような気がするのだ。
国の名前がバミューディル魔国というものだったり、フェアリーがいたり、馬と人の両方の姿を持つ少年がいたりと、魔法の国と見せかけてちょっと魔界っぽいような、そんな部分と、お話のメルヘンチックなところの落差が面白いなーと思って読みました。
母との名状しがたい関係に苦しみながら、それでも罪悪感にとらわれている女性たちが数多く存在しているはずだ。カウンセリングの経験に基づいて、墓守娘たちの苦しみを具体的に取り上げていきたい。娘たちを描くことで、母親たちの姿も逆照射されるに違いない。本書が、母娘関係を解くヒントになれば幸いだ。——まえがきより (帯より)
今でいう「毒親」の、特に母親に焦点を絞った事例を取り上げています。2008年の刊行です。母親の愛情、にしては重すぎる、娘の人生を自分のものにしている行動や、自分の人生を捧げるようにして娘に過度の期待を寄せる感じを、「お母さんが死んだあと、お墓をお願いね」と託す事例に基づいて、娘のことを「墓守娘」と呼称しています。
家とお墓を託して、家に入ることを強制して、かつ娘の成功を自分のもののように思いつつ、娘の成功を羨んで嫉妬し……などと、母親の子どもに対する異常な依存状態を紹介しているわけですが、だめだ、重い……。うちがそうだというわけではないので、あくまで想像ですけれど、これは重い。息苦しい。家族と縁を切りたくなる。でも実際にあるんですよね、こういうことが。
憂鬱な毎日を送るアンナのもとに、10年ぶりの手紙が届いた。差出人は、アンナの腹心の侍女だったリリヤ。「今こそ、あの事件の真相についてお話しできるのではないかと思い、筆をとりました」——10年前、名家の子息・キリルに見初められ、誰もが羨む結婚を間近に控えながら、キリルの弟との密会を重ねていたアンナ。その先に起きた、不可解な事件…。リリヤの手紙が明かす、衝撃の真相とは…!?(裏表紙より)
こういうの出してくれるからコバルトが好き……。短編の「妖精の庭」「夏の夜の夢」表題作の中編「嘘つきたちの輪舞」の三編が収録されています。
どれも、古いヨーロッパの時代の雰囲気を残す、華やかでいて陰鬱で、古いものと新しいものが混沌と入り混じっている、寂しい雰囲気のお話。どの話も、悲しい……。
「嘘つきたちの輪舞」は、全員、嘘つき、というすれ違いが生みだした悲劇なんですが、それアカーン!! と叫びながらもページをめくる手が止まりませんでした。全員がだめだってわかってて行動してる感じとか、なぜ嘘をつき続けることを選ぶのかとか、最後まで頭を抱えてしまう。この、死と悲劇と、遺された者たちっていうシチュエーションが、素晴らしいくらい陰鬱。この終わり方をしたこの話に拍手を送りたい。私は少女小説でこういう話があってもいいと思うんだ!
すごく面白かったです。
時を隔てた二つの殺人。謎は解け、愛だけがそこに残った。
生活のため手話通訳士になった荒井は、刑事事件に問われたろう者の法廷通訳を引き受け、そこで運命の女性・手塚瑠美に出会う。(帯より)
文庫版でも出ているようですが、読んだのは単行本。
ろう者と聴者、だけではない、手話という言語を用いるあらゆる立場の人が登場する話、という印象でした。勉強不足なんですけれども、私はこの分野にかなり疎くて、ろう者の両親から生まれた「聴こえる子ども」がコーダと呼ばれていることを初めて知りました。
そういう風にして、かなり社会的な問題に切り込みつつ、とある殺人事件にまつわる事象を主人公の中年男性が追っていくのですが、手話を用いる人たちの説明がしたいんだという作者の意図なのか、結構説明的な文章が多く、推理というよりは、社会的な話だという印象の作品でした。手話を通じて知ることのできる世界はかなり広いんだということを感じました。