読んだ本とか、漫画とか、映画とか、色々
サバンナに訪れる四年に一度の赤い月。真っ赤な太陽がぎらぎら輝き、人間も動物も植物も渇きに苦しめられる。マサイ族の伝説では、太陽の化身である赤いライオンのたてがみを取れば、雨を降らすことができるという。
呪われた娘として生まれ、女性としての幸せを奪われ戦士として孤独に生きる美少女・シバは、赤いライオンを探すため、旅に出る決意をする。村人たちを救うため、そして、自分自身の生きる意味を探すため……。
過酷なサバンナを舞台に、勇壮で胸躍る冒険がいま、始まる——。(カバー折り返しより)
アフリカを舞台に、マサイ族の少女を主人公にした物語。戦士として生きる少女シバは夢見を語る異能力を持っているために忌み嫌われていた。日照り続きで危機に瀕した村を救う水がある場所を求めて占った、長老でもある大呪術師レムヤとは異なる予言をしたことで、一族から離れ、ひとり雨を降らすべく旅に出た。それは、伝説でしか語られない太陽の化身である赤いライオンのたてがみを取ることだった。
呪われた身の上、心優しくない人々、過酷な旅と、秘められた過去。決して優しくはないお話なのですが、さっと気持ちのいい風が吹く、そんな印象の物語でした。誰かのために戦う人たちの話だったなあ。あとがきにもあったけれど、マサイ族というあまり知られていない民族の話なので、これがいつの時代なのかというのが分からなくて不思議と面白い。私はなんとなくかなり過去の話だと思っていたのですが、確かに現代にあってもおかしくはないなあ、と。
『碧空の果てに』とかあの辺りの本が好きな方は好きそうだな、という児童書でした。
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究極の決闘劇、「聖杯戦争」においても手段を選ばぬ“魔術師殺し”こと魔術師・衛宮切嗣と、あくまで己の騎士道を貫かんとする英霊・セイバーの亀裂は決定的だった。
不協和音を抱えた二人を襲う数多の英霊たち、そして、切嗣の前に妖しく立ちはだかる聖堂教会の求道者・言峰綺礼の影——!
これは始まりに至る物語——。緊迫の二巻!(裏表紙より)
切嗣と舞弥合流から、聖堂教会によるキャスター討伐命令まで。映像とどう違うのだろう、どう文章で表現するのだろうというところが、今この本を読む楽しみ。結末が分かっているだけに痛い痛い痛いというところがいっぱいある。なので、ライダーとウェイバーのパートはちょっと安心して読める……。
やっぱり噴いたのは、英霊参集のシーンかなあ。アニメでも噴いたけれど、膠着状態になってしまったあの瞬間すっごく笑いました。時臣と綺礼の苦悩が手に取るように分かって爆笑。英雄王まじブレない。
「きみはいったい何なんだ?」
慣れているように見えた。銃の扱いも、暴力も、あの異様な状況にも。少年はダグラスを見つめて微笑した。
「賭けをしようか。この連中の仲間がまたダグラスを誘拐しにやって来る」
心底ぞっとした。悪夢がやっと終わったのに、すかさず次の悪夢を強引に見せられている。そんな気分がする。
「だったらなおさら警察に……!」
「保護を求める? 却下。それだと、また狙われるっていう賭けが成立しなくなる」
開いた口がふさがらない。それが仮にも誘拐されそうになった被害者に言う台詞か。
リィのことを「モンドリアン」と呼ぶ少年は何者かに狙われていた。しかもその奇妙な事件はまだ終わっていない。むしろここからが始まりだった。(裏表紙より)
天使回。前々巻『ソフィアの正餐会』にて登場したダグラス少年が、偶然にもリィと再会し、何者かに狙われるという話。
相変わらず天使たちが最強です。今回ダグラスの視点が多かったせいか、天使が意味分からない感じに最強だったのでそれがちょっと不満です。もうちょっと怪傑してくれてよかったのよ! 黒幕、というかその周りの陰謀もさわりだけだったので!
私は演技時のレティがすっごく好きなんですが、もっと出てきませんか。無邪気でちょっと馬鹿っぽい男の子、の皮を被ったすんげー危ないやつという設定がすごく好きだ……。
あらゆる“奇跡”を叶える「聖杯」の力を巡って、七人の魔術師が七人の英霊を召喚して覇を競いあう究極の決闘劇……聖杯戦争。
大人気ゲーム『Fate/stay night』(シナリオライター/奈須きのこ)では断片的に語られるのみだった前日譚「第四次聖杯戦争」の真相のすべてが、虚淵玄の剛筆によって今語られる。
これは始まりに至る物語——。堂々の開幕!(裏表紙より)
Zeroはアニメでしか見ていなかったのですが、原作に手を出しました。第四次聖杯戦争のお話。ちなみに第五次はPS2のゲームでプレイ済み。
アニメではなんとなくでしか感じなかったキャラクターそれぞれの心情が描かれていて、特に切嗣の絶望はあそこへ至るのかと思うと武者震いが止まらない。
アイリとセイバーのきゃっきゃうふふが好きです。でもセイバー陣営だけではなくて他の陣営にも筆が割かれているので、全員が主人公みたいになっていて、それぞれがどんな絶望と希望を見出して終わるのか楽しみです。
伊勢倉屋の手代を務める竹二は、ある日若旦那である松太郎の目付役を主人から命じられる。歌舞伎役者と見まがう美男子の松太郎はお気楽道楽の放蕩息子に見えたが、その言動はどうも首をかしげるものばかり。しかし、「鯉ヶ淵の怪」と呼ばれる事件に主共々首をつっこんだことから、怪しくも不可思議な出来事に巻き込まれてしまい……。初登場! たつみや章が艶麗なタッチで描き出す幻想時代劇ファンタジー!(裏表紙より)
時代物で妖怪もの。主人公は手代の竹二。腕っ節も強く結構短気だけれどそれをぐっと堪えることもできる竹二が、病弱と噂される奇妙な言動をする若旦那のお目付役に。実は若旦那はこの世ならざるものが見えるらしいのだが、竹二にはまったく見えず、しかしどうやらそれらを追い払う力があるらしい。
面白かった! ビーンズでこんな話が出てたんだなあ(もう十年前だ……)あとがきを読んで、主な人が松竹梅であることに気付いて笑いました。ぜひ続きも読んでみたかった。
竹二のまっすぐな人柄と、若旦那の粋で穏やかな物腰がとてもいいコンビで、怪異を遠ざけるわけでも成敗するのでもなく、手を貸してやる感じがすごくよかった。若旦那、よく取り憑かれるけどかっこよすぎです!
焔の魔術を操り、〈冬〉と戦う女戦士ゲルダ。
彼女が属していた軍は、彼女の恋人であり養い親であるアルムリックの裏切りによって壊滅する。
裏切ったアルムリックを討つため、ゲルダは復讐の旅に出る。愛ゆえにその憎しみは果てしなく深く……。
壮大なスケールの本格ファンタジーが、美しい文章で綴られる。
五代ゆう伝説のデビュー作が装いも新たに登場!(裏表紙より)
面白かった。苛烈で鮮やかで美しい、創世と神と人の物語だったなあ……。
激しく感情豊かな女戦士ゲルダが、養い親であり恋人であった魔術師に復讐を誓って旅立つ。この復讐の旅がただではいかない。親を知らないゲルダの出自や、世界の創世や神々の物語が絡み合って、最後の戦いになるまで真実が明らかにならなくてはらはらしました。
何より風景の美しさ。冬に枯れた大地の寂しさや、戦いの冷たさ、冬の城のきらびやかさに、最後に残った世界の豊かさ。本当に生き生きとした綺麗な文章だなあ……。こういう文章が書いてみたい。
面白かった。こういう創世の物語大好きだー!
急性白血病と診断された著者の闘病記。
加納朋子さんは好きな作家さんの一人で、白血病だったと聞いてええっと言ってしまった。本の中でよく「レアケース」「宝くじに当たったくらいめずらしい」みたいなことがよく出てくるけれど、確かになる確率って珍しい……。
加納さんは病名が分かる前、入院中、骨髄移植とその経過を、人々に感謝しながら丁寧に書き留めている。日記でもやっぱり加納さんの文章だなあ。優しさと思いやりと、誰かに対する感謝が滲んでる。嘔吐感や発熱や、苦しい痛いというところがところどころにあって、読んでいるこちらが苦しくてがんばれーがんばれーと思いながら読み進めた。自分に出来ることを確実にやろうとする加納さんが本当に頑張っていらっしゃるから、励まされたような気持ちにもなった。
で、旦那さんが物書きだという話があったので「おや?」と思って調べたら、旦那さんって貫井徳郎さんだったのか! そういえばそんなことをどこかで読んだ覚えがあったわ! この夫婦の仲良いところが好きだ。「やっぱり君がいる方が毎日が楽しいから」。家族っていいなあ。加納さんのご兄弟やお父様も素敵な方だ。思いやりに溢れているなあ。
そうした衝撃的な発病と治療の後、東日本大震災が起こる。なんだろうなあ、どうして私は生きているんだろう、という問いかけが重くて、泣きたい。生かされることと死んでしまうことのラインは誰が決めているのだろう。そんな風に考える。
色々考えさせられ、励まされたりもする一冊でした。