読んだ本とか、漫画とか、映画とか、色々

李巴陵は、先帝の後宮の美人であったが、のちの嵩帝竜基の寵を受け、貴妃となる。この異例の厚遇ゆえ、巴陵は嫉妬と権謀術数の渦にのみこまれる。折悪しく、国運の傾いた崔に殉じ、希代の恋で結ばれた二人は死す。が、唯一の娘小虎によって、仇討ちが……。
——17歳(応募時)でこれだけ書けるという驚きに満ちた、はるか中国古代の幻の帝国・崔に託したロマンと哀しみの叙事詩。
第1回ホワイトハート大賞「佳作」受賞作。(カバー折り返しより)
ついったーで、この方の別作品のお話をされていたので、気になって買ってみました。
17歳がこれを書いたのか! と思う作品でした。中華風ファンタジーです。あらすじの通りの内容なのですが、三分の二ほどが巴陵の物語、残りが小虎の物語で、登場人物の心情などはあまり書かれず、淡々と物語が進みます。この安定感はすごい! と思いながら、もうちょっと盛り上がりが見たかったなあとも思いました。もっと書き込めば、とても壮大な物語になったと思うんですが!
後宮ならではの色々がたいへん美味しかったです。寵愛を受けることとか、嫉妬や毒殺とか、間男とか! それにしても、二人が死ぬところの、嵩帝の台詞がどーんと来すぎてすごかった。この瞬間の好感度の上がりっぷりが半端なかった。
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文豪による作品の恋愛を読み解いていくエッセイ集。
まず装丁が可愛くて手に取りました。表紙の紙がいい感じ。遊び紙が表紙に合わせて可愛い椿?で。
武者小路実篤やら、三島由紀夫、夏目漱石、森鴎外など名だたる作家たちの代表作ともいうべき作品を、筆者が紹介しつつ論じています。どちらかというと、紹介の方に比重が置かれている感じ。
こういう読み方があったのかー! と面白く読みました。女性も男性も、今風にいうとこんな感じ、というのが書かれていて、「そっか!」と納得。知っている作品について書かれていると「そうそう!」と同意することしかりで、とても面白かった。こういう読み方も出来るのかと開眼。
ただ、この文章で紹介されているイメージでその作品を読むと、色々しんどそうだなあと思いました。

東京都監察医務院の監察医として、数多くの殺人死体の解剖を手がけてきた著者。その経験に裏打ちされた眼は、迷宮入りの代名詞ともなった芥川龍之介の『薮の中』にさえ、真犯人を発見してしまう。他に、探偵小説の祖・ポーや性の深遠を描いた文豪・谷崎潤一郎などの文学作品、また帝銀事件や下山事件など、未だに歴史上に謎を残す事件死体に挑戦する。『「薮の中」の死体』改題。(裏表紙より)
芥川の『薮の中』に関する資料ということで、先生にお借りして読んだ本。法医学の観点から、小説、実在の事件の犯人を特定する。
あくまで法医学に際しての特定であるので、文学の読み方とは別物ということを念頭に置いてほしいと言われて読んだのですが、これが思ったよりもすっごく面白かったです。語り口がとてもいいのかな、文章が読みやすくて、よかった。
あんまり実生活には触れない学問なので、死体がどういうことを物語るのか、どういう特定を行っているのかが書かれてあって読み物として楽しく読みました。しかし解説を読むと、どういうことを行ってきていたのか、改めて気付かされて、ちょっと怖くなりました。そうか、解剖だもんなあ。

札幌の百貨店で働く行島征人へ妹の木実から近く結婚するという手紙が届いた。両親が互いに殺し合った過去を持つ征人と木実は、家族を持つことを恐れていたにもかかわらず。結婚を素直に喜ぶ征人。だが結婚直前、妹と婚約者が失踪する。征人は二人を捜すため決して戻らなかった故郷に向かう……。家族の絆を鮮烈に描く傑作青春ロードノベル。(裏表紙より)
現代物とかファンタジーものを書かれているから、てっきりそうだと思ったら、結構探偵ものっぽい? 人探しもの。
みんながみんな良い人で、ものすごく超人な人がいたりもするけれど、描かれる根本にあるのは人の絆の強さだなあと、いつも思う。
失踪した妹と婚約者の謎を負う兄。色々なことが「あったこと」と説明されていくところがあるので、もうちょっとじっくり読みたいよー! と叫びながら、登場する人たちの温かさが染みる。ものすごく危ないことが起こるんじゃないかとはらはらもするのに、絶対大丈夫な気がすると読みながら思った。

藩主の腹違いの弟・松之助警護の任についた保坂市之進は、周囲の見せる困惑と好奇の色に苛立っていた。保坂家にまつわる因縁めいた何かを感じた市之進だったが……(「鷺の墓」)。瀬戸内の一藩を舞台に繰り広げられる人間模様を描き上げる連作時代小説。「一編ずつ丹精を凝らした花のような作品は、香り高いリリシズムに溢れ、登場人物の日常の言動が、鉄が木的なリアリティとなって心の重要な要素のように読者の胸に嵌め込まれてくる」と森村誠一氏絶賛の書き下ろし時代小説、ここに誕生!(裏表紙より)
時代小説はなかなか縁遠くて滅多に読まないけれど、オススメされて手に取ってみた。
面白かった! 叙情の世界だった。はっきりとした結末がないものもあるけれど、次の短編で大体のところが察せられたりと、短編連作というところもすごく好きだった。言葉遣いフェチでもあるので、話し言葉や単語にいちいち反応してしまったり。
どの話も好きだけれど、「空豆」の潔い切なさもとてもいいし、「秋の食客」のちょっとしたどたばた感もいいなあ。一之進の話にときめいてしまったので、最後にもう一度出てきたときはすごく嬉しかった。ラストを飾るに相応しい、爽やかなお話。
とても面白かった! オススメありがとうございました!

「噛みません。躾のできたよい子です」飲み会の帰り道、さやかが拾ったのは、犬でも猫でもなく、男性だった。知った個人情報は彼の名前、樹だけだけれど、さやかは樹にがっちり心をつかまれてしまう。
面白かった! 何にも考えずに読んで、女の子の気持ちになれる気がした。しかし料理美味しそうだなあ! フキの混ぜご飯くらいだったら作れるかも! と思ってみる。
どこで会社の人にバレるのかというのを前編通じて心配していたのだけれど、杞憂だった。普通に一緒に出掛けて、色々採ってくるだけなのだけれど、さやかがすっごく楽しんでいて、樹と一緒にいることが嬉しくてたまらない! というのが文章から滲み出ていて、ずっとにこにこしてしまうんだー。
落ち物女の子バージョンが増えればいいのに! 女の子だってかっこいい男の子拾いたいぜ!
見返しの写真って樹のだよなー! 本が面白くて見るの忘れてたんだけど、綺麗だよなあ。
遅まきながら。
2010年もよろしくお願いいたします。
全然本が読めてません。
2010年もよろしくお願いいたします。
全然本が読めてません。
こっちの記事をまとめるのを忘れていたわーということで、ざっとまとめ。
メディアマーカーによると、小説、漫画、絵本など合計して493冊読みました。
今年読んだものの話でも。
今年は頭から芦原妃名子『砂時計』を読んで、どきゅんとしていたようです。
山口美由紀ブームも巻き起こっていた模様。下半期になってから文庫を買いまくりました。
政略結婚ものブームが小野上明夜『死神姫の再婚』から始まって、森崎朝香さんの花嫁シリーズを買いあさり、雨川恵さんのアダルシャンシリーズを読み、小田菜摘さんのシリーズを読み。
瑞山いつきさんのマギの魔法使いシリーズにごろごろしました。
豊島ミホさんの『エバーグリーン』に泣きました。
ロバート・ネイサン『ジェニーの肖像』の美しさにぎゅん。
妙にツボったのは、斎藤けんさんの『花の名前』です。儚い美少女と彼女を引き取った闇を抱えた直木賞作家の生活。少女漫画なのでひたすらうつうつしているわけではないのですが、薄暗くて若干病んでいて、でもほの明るくて、きゅんきゅんしました。
個人的な大ニュースは、辻村深月さんのサイン会に参加して、ご本人にサインをいただき、お話をし、握手していただいたことです。一生の宝物!
そんな感じでした!
あまり更新しなかったり、したと思ったら流れが速かったりと、自由に書いていますが、こんなものでも参考にしてくださって面白い本に出会えたなら、嬉しいです。
それでは、皆様、良い年をお迎え下さい。
メディアマーカーによると、小説、漫画、絵本など合計して493冊読みました。
今年読んだものの話でも。
今年は頭から芦原妃名子『砂時計』を読んで、どきゅんとしていたようです。
山口美由紀ブームも巻き起こっていた模様。下半期になってから文庫を買いまくりました。
政略結婚ものブームが小野上明夜『死神姫の再婚』から始まって、森崎朝香さんの花嫁シリーズを買いあさり、雨川恵さんのアダルシャンシリーズを読み、小田菜摘さんのシリーズを読み。
瑞山いつきさんのマギの魔法使いシリーズにごろごろしました。
豊島ミホさんの『エバーグリーン』に泣きました。
ロバート・ネイサン『ジェニーの肖像』の美しさにぎゅん。
妙にツボったのは、斎藤けんさんの『花の名前』です。儚い美少女と彼女を引き取った闇を抱えた直木賞作家の生活。少女漫画なのでひたすらうつうつしているわけではないのですが、薄暗くて若干病んでいて、でもほの明るくて、きゅんきゅんしました。
個人的な大ニュースは、辻村深月さんのサイン会に参加して、ご本人にサインをいただき、お話をし、握手していただいたことです。一生の宝物!
そんな感じでした!
あまり更新しなかったり、したと思ったら流れが速かったりと、自由に書いていますが、こんなものでも参考にしてくださって面白い本に出会えたなら、嬉しいです。
それでは、皆様、良い年をお迎え下さい。


恋人由美子の心変わりの相手が兄貴でさえなかったら、ここまで苦しくはなかったのかもしれない。傷心の祐介は、大学生活から逃れるように、信州菅平の宿「かむなび」で働き始める。頑固だが一本筋の通った園主、子連れでワケありの瞳子……。たくましく働く明るさの奥に、誰もが言い知れぬ傷みを抱えていた。(上巻・裏表紙より)
兄貴に恋人を奪われた大学生の青年が、田舎暮らしで再生する物語。一人称で語られます。単純に宿でアルバイトするだけかと思いきや、少しずつ、問題を抱えている人々が現れる。ここではそれほどはっきりと問題と解決が行われるわけではないけれど、そういった人たちが、お互いを思いあいながらゆっくりと生きている感じ。大きな事件はそうは起こらないけれど、ひとつひとつのエピソードが同じだけの大きさでいくつも繋がっている感じがあって、マイペースに読める物語だった気がする。
農業の話が出てくるところに、色んなところで納得した。季節のものをその季節にありのままに食べているのが、人間の普通なんだよなあ。
主に動きは肉体労働なのだけれど、作中で問題となっているのは『心』の問題なのだな、と。みんなどこか心の中に問題を抱えて、寄り添うように集まって来ている。ストレートだったのは不登校になってしまっている桜のエピソード。若者たちが不器用ながらも理解しようと、優しく見守っているのが心地よかった。
園主の言葉がいちいち的を射ていて、ストレートに生きている感じがして、とても羨ましかった。
「(略)人と違てるもののことだけやのうて、人とつながれるもの、人と共有できるものをどれだけ沢山持ってるか、いうことも立派な個性やないかと思うねん」

巫女見習いの林邑華は祭りの日に一人の男性に釘付けになる。相手の男性の名は趙熾嶺、彼もまたその日に邑華に心を奪われてしまう。
巫女選定の試験が迫り、熾嶺は邑華が巫女になると結婚できないと、強引に求婚してさらってしまった。邑華は驚くが、共に生きることを決意する————。
だが二人の結婚には、生きては帰れぬ過酷な神前裁判という試練がたちはだかる。二人の恋の運命は!?(裏表紙より)
一生懸命恋をして進んでいく若者たちのお話でした。ほっとする終わり方でよかった。
おしとやかだけど、元気でしたたかで、実は一番怖い邑華がかわいくて! ただ者じゃないところが好きです。特技の知識はあまり使われませんでしたが、非常に賢い様子や、伏線的に説明されたあれこれで最後に活躍したところは、とっても楽しかった!
熾嶺はまだまだ若いなあ青いなあと、にやにや。月日が短いので、きっと邑華の色々な一面に振り回されていくのでは、と考えると、にやにやがごろごろに変わってしまう。しかもその振り回されるところが、絶対嫌じゃないんだろうな!