読んだ本とか、漫画とか、映画とか、色々

藤見高校三年二組のクラス会。そこでいつも話題になるのは、女優になった「キョウコ」のこと。彼女をなんとかクラス会に呼び出そうとする、かつてのクラスメートたち。しかしそのことによって蘇る、劣等感や嫉妬といった感情に、かれらは向き合わなくてはならなくなった。
太陽が一体誰なのか、と思い悩む高校時代を送った人々の物語だったのかな、と思いました。辻村深月作品を分けた場合、光と闇の、闇に属する組み分けなのだろうな。『ゼロ、ハチ、ゼロ、ナナ。』を読んだ時に感じた、この、大人に対しても独特の、冷えきっているのにどろどろとした視点というか。ものすごく陰湿にねちねちと責められている気分になりました。三十代を目前にした、女の形がとても恐ろしく描かれているような気がします。
キョウコやリンちゃんに関しては、「ええええええええ!!?」と叫ぶ叫ぶ。うわあうわあ、すごく辻村さんらしいトリック。一話目にどうも変だなーと思いながら読んでいたのが、ここにきて明らかになってすごいと思うのに、すごーく陰鬱な気分になりました。
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ご存じだろうか。〈魔が差す〉という瞬間は、たぶんどんな人にも一度や二度は訪れるものなのだ。そう、犯罪行為などとは地球とアンドロメダ星雲くらいにかけ離れている駒子にさえ、その瞬間は突然やってきたのだから。クリスマスにひいた風邪が軽快し、空はすこんと晴れ上がった大晦日、出かけたデパートであるものに目を奪われたばかりに、息が止まりそうな思いをした駒子は……。(裏表紙より)
再読だった。でも未読の棚にささっていたので、あれー? と思いながら読みました。でもとてもしんみりと面白かった。駒子と瀬尾さんの物語というよりは、彼女たちを外側から見た二編でした。
駒子に対する評が、とてもずばりと書かれていて、私はどちらかというと駒子寄りだけれども、まどかの思いも分かる気がします。ちょっとテンポが違うなあと思う気持ちも、それでも誰かに親近感を抱く気持ちも、そして、駒子の「誰にとっても一番ではない」という悩みも。
これを読んで無性に宮沢賢治記念館に行きたい! と思ったりしました。

崖に聳えるガラスの館。かつてそこで命を落とした少女、千波は再びの生を得て、青年学者の吹原と出会う。しかし二人の前世からの縁と、吹原の一族に潜む愛憎がもたらす過去の悲劇が、千波に新たな試練を課した。前世の思い出を映す未来に導かれるように、千波は崖の館をめざし、歩きはじめる。少女と館を巡る三つの物語、完結。単行本未収録作品「肖像」を併録する。解説・千街晶之(裏表紙より)
『崖の館』ではミステリー、『水に描かれた館』では心理ミステリーと移り変わってきましたが、この『夢館』では幻想小説になっていました。そもそものテーマが「輪廻転生」であるので、不思議なことが起こっても仕方がないのですが、それに人間の心理が絡むと、本当に不思議な空気を作り出していました。
館シリーズの登場人物が一体どうなったのか気になるところでしたが、少しずつ登場してきてちょっと嬉しかった。涼子たちは別作品で登場するようなのが解説に書かれていたので、いつか読んでみたい。



「あんな《役立たず》を誘拐?」仕事を失って浮かない顔のダムーたちの前で、突然ヴィンスが連れ去られた。追いかけてみると、犯人はエルディア王国の大貴族。命を狙われている皇子の身代わりになってほしかったのだという。そんな勝手なと思いながらも、金のない用心棒四人組はOKするのだが……その頃キャサリンもこの王家の奇妙な風習に悩まされていた。シリーズ屈指の理不尽な事件に、信念のお嬢様、キャサリンの怒りが大爆発!?(上巻裏表紙より)
お借りしたもの。上中下巻の三冊分冊。
茅田さんの作品は爽快感が伴うけれど、レディ・ガンナーシリーズはそこから更に考えさせられた上で気持ちいいので大好きだ。気持ちよかったー!
異国での風習は奇妙に思えてもそこでは普通のことだから、と前置きがありつつ、おかしいものはおかしい! と訴えるキャサリン。現代人の私たちにとっては、それは当然の主張で、考え方で、主張できる彼女がすごくかっこいい。訴えるだけではなくて、人に考えさせる力を与えるから、空虚な言葉でなく上辺だけの主張じゃないと思えるんだな、きっと。
中巻で、キャサリンのドーザに触りたくてうずうずしているところは笑った。確かにちょこんと座られるときゅんとするかも。動物がとても綺麗だと思うのも分かる気がする。茅田さんは本当にケモノスキーだなー。いつ変身シーンが出るかな出るかな、とじらされたけれど、ケモノの大盤振る舞いでとてもにやにやしてしまった。異種人種にも族長とかあるのか! とわくわくした。ら、やっぱりドーザさんがかっこよろしくかわいかった。
続きが気になるシリーズでもあります。だいぶと前に、他の巻を読んだので、揃える傍ら読み返したいところ。

パラドックス学園パラレル研究会、通称パラパラ研。ミステリ研究会志望のワンダは何故か、このパラパラ研に入部することに。部員はドイル、ルブラン、カー、クリスティーと名だたるミステリ作家の名前を持つものばかりだが、誰もミステリを読んだことがないという……。やがて起きる”密室殺人”と予想もできない究極の大トリック! 鯨ミステリのまさに極北!(裏表紙より)
前作『ミステリアス学園』があまりもあまりにもすごい真犯人だっただけに、今回はどんな趣向が凝らされているのだろうとわくわくして読みました。やっぱりすごかった。ミステリなのに、すごくエンターテインメントだなー! と思いました。
パラパラ研に入部することになったワンダ。この名前にぴんと来た瞬間から、すでにこの小説のトリックに巻き込まれてる(そういう点では、『ミステリアス学園』を読んでいないと説明不十分かもしれない)。ミステリの基本、法則性を逆手に取れるのは、これがこういう小説であるのと、登場人物に名ミステリ作家の名前を冠した人たちがいるからだなとお思います。いや、本当にすごかった!
『本当におもしろい本ほど壁に叩きつけたくなります』。笑ってしまった。
解説の方の文章も合わせて、すごくよかった!

十七世紀半ば、現在のドイツは三百の国家が割拠していた。その一つ、ハルバーシュタット公国は、若き選帝侯率いるブランデンブルクに、まさに攻め落とされようとしていた。
令嬢の身代わりに城に残った宰相の娘マリアは、父を処刑した選帝侯に誕生日を迎えたばかりの十四歳の身体を奪われた。
身を傷つけながらも、愛と生きる道を必死に探る少女。凛と前を見つめる瞳は、彼女の強い意志を宿していた。
禁断の愛、裏切り——身体の奥から熱くなる! 息をもつかせぬ歴史ロマンスの傑作!(裏表紙より)
再読。すごーくすごーく面白かった! 当時読んだ時も高校生とかそのくらいでしたが、今読んでもきゅんきゅんしっぱなしでした。歴史ロマンスいい!
どきどきする始まり方から、十四歳のマリアが選帝侯フリードリヒに包まれるまで、包まれてもそのさきの戦いや、思いに、ずっと胸をときめかせて読みました。マリアだけの視点ではなくて、フリードリヒがマリアに恋をしている(あの選帝侯が! あの女遊びの激しい男が!)というのがもう、たまらん! お互いを大切に思うがゆえにのすれ違いもおいしゅうございました。
マリアが、少年のようにとても激しいかと思ったら、あっという間に打ちひしがれてしまう十四歳の少女でもあって、そのアンバランスさが魅力的でした。フリードリヒも、大人の男性なのに少女に振り回されるようで、かわいらしい。
面白かった。おすすめです!

東京、下町の老舗古本屋「東京バンドワゴン」。営む堀田家は今は珍しい三世代の大家族。今回もご近所さんともども、ナゾの事件に巻き込まれる。ある朝、高価本だけが並べ替えられていた。誰が何のために? 首をかしげる堀田家の面々。さらに買い取った本の見返しに「ほったこん ひとごろし」と何とも物騒なメッセージが発見され……。さて今回も「万事解決」となるか? ホームドラマ小説の決定版、第三弾!!(裏表紙より)
第3巻。新しい家族が加わった堀田家だけれど、周囲の人々もゆっくり移り変わりつつあるのが感じられるホームドラマでした。なんだかんだで一番迷惑なのが我奈人さんだけれど、結局許される感じが悔しい!笑
登場人物も多くなると、第1巻、第2巻の事件が絡むので、この人誰だったかなとなること数回(だって文庫は一年ごとにしか出ていないのだ)。しかしみんな、どたばたと幸せそうでいいなあ。古書の寄り合いはもうちょっとじっくり見たかったな! しかしすずみさんかっこいい! そしてやっぱり藤島さんがおいしいところを持っていく。それは反則だけれど、許される感じがまたいいなー!

西の都の王立大学で植物について学ぶカナン。ある日、異国の青年・善が持っていた奇跡の実に触れたカナンは、不思議なツタにとりつかれてしまう。ツタごと東方の帝国につれてこられた彼女を待っていたのは、呪われた体を持つ五人の皇子たちだった。奇跡の実の力で呪いが解けるまで、カナンは個性的な皇子たち&ツタと王宮で暮らすことになって……!?
植物を育てる能力を持つ西洋乙女と皇子たちが繰り広げる、中華風王宮恋愛ファンタジー!(裏表紙より)
面白かった! カナンの一生懸命さ、かっこよかったです。いつまでも悩むのではなくて、ぱっとすぐに求めているものを見出す力があるのが、とても爽やかで素敵でした。
それから、個性的な五人の皇子がそれぞれとてもいい。なんだかんだで全員変人な皇子たち……笑。電車にいて思わず噴き出しかけたのが郷の台詞。ぐっ、とも、もご、ともつかぬ奇声を発しました。危なかった。でも終始にやにやしていました。
ぐっと迫ったのが、カナンが泣いたあと、みんなで食事をするシーン。カナンの台詞がそのまま自分の心情でした。
郷が一番お気に入りなんですが、でもやっぱりパフュームさんかな! この人が本気を出したらめろめろになってしまう。
楽しかったー!

年が明け——カシュヴァーンはアリシアの誕生日のために、図書館創設を進行中! 最近の暴君夫は愛妻の薬指に興味津々だったり、愛妻が大好きな幻の奇書『雨悪』の作者を屋敷に招待しようと目論んだりと、とにかく騒々しい有様。そこに究極の邪摩者……怪物・ゼオルディスが現れた! 自由気儘な逗留はカシュヴァーンを苛立たせ、アリシアに入れ知恵まで……。悪夢のような日々はある日”悪食大公”ガーゼット侯爵の異彩かつ奇妙な訪れにより、無事落着したかに思えたが——!? 曲者だらけ、夫婦の『特別』な第7弾!!(裏表紙より)
大きな事件が起こるわけではないのですが、段々と事態が動いているらしいのが感じられる第7巻でした。カシュヴァーンの妻へのめろめろっぷりが加速している上に、アリシアも特別な思いに気付いて「おなか痛い」になっているのににやにやします。
ゼオルディスやその周辺の素性については謎のままですが、カシュヴァーンたちの今後の方針が決まりつつあったり、ディネロがちょっと微妙な感じだったり、不穏な気配が漂う。そのなかで、ガーゼット侯爵は癒しでした(本気) あんなちょっと変わり者の上品で素敵なおじさまいないよ!
死神姫シリーズって、実は色んな人が色んな闇を抱えて、実はかなり深刻なのに、その深刻にどっぷり浸からずにいるのが面白いよなあ! と思います。どんな風にみんなが未来を目指していくのか楽しみです。

丘の上の幽霊屋敷。新しい住人が現れるたびに事件は起こる。人々の記憶は蓄積されていく。ホラー連作短編集。
こわかったけれど、とても上品で毒のあるホラーでした。面白かったー!
丘の上の幽霊屋敷に住んだ、関わった人々の記憶が一作ずつで語られます。一人の人を中心に据えているかと思えば、実は違うというのが(「私の家へようこそ」)ひええ! と思いました。一番恐かったのは、「あたしたちは互いの影を踏む」。
ねえ、結局、勝負はつかなかったんだよ。
びくうっ! としました。結末が分かっているだけに、この一文の威力が凄まじい。
そんな恐怖的な短編ばかりかと思えば、意外に明るい「俺と彼らと彼女たち」。これを読むと、最も「彼らと彼女たち」の原因というか、根本たるものは、「その土地と家」にあたるのだなと思いました。家を守る者には害を加えないというか。かれらは、ただひたすらに自分たちの生活を守りたいだけという。