読んだ本とか、漫画とか、映画とか、色々

たつまきに巻き込まれたドロシーがたどりついた所は、ふしぎな美しさに満ちた魔法の国——オズ。彼女は大魔法使いオズ様の力を借りてカンサスに帰るために、愛犬トト、脳のないかかし、心臓のないブリキの木樵り、臆病なライオンたちを道連れに、オズ様の住んでいる〈エメラルドの都〉をめざして旅に出た。
オズの国で展開するドロシーたちの奇妙な冒険を描いて、世界各国の少年少女たちには多くの夢を、童心を忘れた大人たちには、ひとときの安らぎを与える幻想小説の名作!
瑞山いつきさんの「マギの魔法使い」がオズをモチーフにしているのと、授業の関係で興味を持ったので、初めてきちんと読んでみた。
オズはシリーズ、ということを、実はさっぱり知らなかったです。エメラルドの都に行く話なだけだと思ってました。この「オズの魔法使い」できちんと『行って帰る』物語になっているので一巻だけでも読めます。
児童文学において大抵の少女は、異国の地でとても礼儀正しく振る舞う、ということを事前に聞いていたので、ドロシーの言葉遣いにおしゃまな感じが現れていて微笑ましく感じた。しかし、読んでみると、本当に旅の一行は利害関係で旅をするんだな……とそこの辺りが非常にリアルで、シュールに感じました。
ひとつ気になったのは、別れのシーンで、きこりとライオンにはキスをするのに、かかしに対してはぎゅっと抱きしめるだけであること。何故その差が……? と思ったりした。ちなみに作中では主にかかしが大活躍である。
初めて読み通したけれど、とてもいい児童文学だと思った! 教訓でもないし、楽しい冒険ものという感じで。教訓ものは教訓もので面白く読むけれど、普通に不思議な国を歩く話はやっぱり好きだなと思った。
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今でも、届く声がある——。少女は声を聞く。それは自分を助けてくれた天からの声。いくつかの出来事と人の出会いが重なった時、それは大きな事件へと繋がる。子どもたちが起こした奇跡、そして大人たちの物語。
優しくて、泣きたいくらいの物語でした。
二人の子どもと大人の視点から語られる物語。最初、全然話の内容に見当がつかなくて、これはどういうジャンルなんだろう? と思いながら読み進めていくと、子どもと大人のファンタジー、でした。
目線が優しいなあと思います。語り部になるかほりも、リンも、大人たちも、みんな物語る言葉が優しくて、ぎすぎすしたものや暗い感情が感じ取れない、澄んだ印象で進んでいく。物語の脇役的立場にいる人たちも、みんな綺麗な輪の中にいるような感じ。
それだけに、子どもたちが行動した結果、ああいう世論が巻き起こったということが書かれていたのがとても胸に重かった。だからこそ、大人たちが大人たちにできる方法をやったということが泣けてしまった。物語はおおよそ子どもたちの戦いで、大人たちは寄り合わせていく役目だったけれど、最後に大人たちも戦ったということが、やっぱりこの物語を優しくしてくれたんだと思う。
いい話だった。

エリート中学生の優は、突如ド田舎の学校に転校することになった。一杯勉強して、東大に入り、有名企業に就職する、という将来プランがぐちゃぐちゃだ。しかも、同級生はたったの3人。
1.バカ丸出しのサル男
2.いつもマスクの根暗女
3.アイドル並みの美少女(?)
嗚呼、ここは地獄か、楽園か?
これぞ直球ど真ん中青春小説! 今もっとも注目を集める作家の代表作、待望の文庫化!!
解説・北上次郎(裏表紙より)
優の思考に若干いらいらしつつ、さくっと読めるなあと思っていたら「え!?」となった。うわあ、そういうことか! という。そう考えると、色んなことは彼なりの武装だったのかなあと思えて切ない。でもそんな憐れみはいらないというのが彼なんだろう。
優のエリート志向はテンプレすぎて若干滑稽だなと思ったりしました。エリートになりたいからといって他人を蔑ろにしていいわけじゃない。落ち込んだ、とは書かれていないけれど、優は優なりに色々思うところがあったんじゃないかな。そう考えると、悲しいような、切ないような。
でも俗物的思考でいうと、優の性格は「ひねくれヤンツンデレ」みたいになるんだろーかとか。最後にはヤンが抜けたとか。

かつて栄華を極めたブラーナ帝国は、いまや攻め滅ぼされる危機に直面していた。世継ぎの皇女アグライアは、援軍を頼むために北のフレンドル公国へ赴く。現在の最高権力者、前大公の嫡男ユーリは、ある条件つきで了承した。その条件とは、彼とアグライアが結婚すること——。ユーリの狙いはブラーナ帝国の併合か? 危ぶむアグライアに、彼はこう告げた。この婚約はいずれ解消する、と……。(カバー折り返しより)
あとがきに前作から五百年後とあるように、五百年後のブラーナ帝国皇女アグライアが主人公。前作から時を経て、衰退する一方で発展した国も。前作のエイレーネとグラケィアの行動がちょっとだけ語られるというのは嬉しかった。
陰謀具合と恋愛成分がいい感じだなあと二巻を読んで思った。今回は前作よりもうちょっと恋愛が大きいかも。これラストが好きだー! こういう終わり方がとても好き。ちょっと物寂しいというか切ない感じなのに希望があって幸福な終わり方。冷静そうに見えるユーリが意外に直情型でにやにやしました。あなた、その告白はもうちょっとなんかこう!(じたばた) ロマンチックじゃないけど、でもとてもロマンチックでした。きゅんとした。

突然の結婚を言い渡された、ブラーナ帝国の皇女エイレーネ。相手は隣国ファスティマの若き王アルファディルだという。十五歳にもなれば覚悟はしていた政略結婚だが、まさか言葉も宗教も違う国だなんて……! けれど、少なくとも、皇后にいじめられる毎日からは解放されると思ったエイレーネは海を渡る。せつなく胸をしめつけるような恋と、思いがけない運命が待っているとも知らずに——。(カバー折り返しより)
政略結婚もの! という噂は聞き及んでいたのですが、最近めっきり新規開拓をしていなかったので手を伸ばしづらかったんですが、折りに手に入れたので読んでみました。
政略結婚というと、少女小説だと恋愛要素が深く関わってくると思うんですが、この本はあんまりそういう甘いのではないのだなあという印象。むしろ、政略そのものであったり、人の思惑であったり、他人との意志の戦いという部分が大きい気がしました。それがなんだか心地よくて、一気に読みました。
姉妹と母親の関係については大体想像していたんですが、改めて考えてみると執念……だよなあと。書き込むと更にえぐくなりそうなので、私も考えるのを止めました。陰謀盛りだくさんで楽しかったです。

昔の話や、気になっていたあの人たちの行方などが語られる、図書館戦争シリーズ完結編。
ごちそうさまでした! 別冊1を読んでから一年経ってようやく読みましたが、楽しかった。
柴崎の行方は気になっていたんですが、彼女の彼女なりの苦しみや葛藤が、何故かとても好きで、大切にしてあげたいとか考えてました。すごーく羨ましそうに郁を見ていたのが、本編四部作でじわっと滲んでいたからかもしれない。柴崎は本当にかわいいと思う。
そんな彼女が幸せになるのは、やっぱり一筋縄ではいかんのだなあ……と。最後の話ひたすら怖かった。多分そんなことだろうと思っていたけれど、男も女も怖いです。
さりげなく、郁の母親が堂上に対して打ち解けた描写があって安心しました。みんな幸せに! と願うことの出来る完結編で、読み終わった後、楽しかったと思いました。