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読んだ本とか、漫画とか、映画とか、色々
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朝霧 (創元推理文庫)
前作『六の宮の姫君』で着手した卒業論文を書き上げ、巣立ちの時を迎えたヒロインは、出版社の編集者として社会人生活のスタートを切る。新たな抒情詩を奏でていく中で、巡りあわせの妙に打たれ暫し呆然とする《私》。その様子に読み手は、従前の物語に織り込まれてきた絲の緊密さに陶然とする自分自身を見る想いがするだろう。幕切れの寂寥たる余韻は自作への橋を懸けずにはいない。(裏表紙より)

「山眠る」「走り来るもの」「朝霧」の三編。大学を卒業して出版社の編集者として仕事を始めた《私》。文学の話が多くなって、円紫師匠の落語の話が少なくなってきて寂しいなあと思ってたけど、久しぶりに「朝霧」は落語の話で楽しかった。文学の話もいいけれど、落語の話をもっとというのが私のわがまま。
これを読むと、《私》の文学的博識さに焦りを覚えるんだよなあ。私は現代ものばっかり読んでるから、本物の文学少女ではないし。けれど名作と呼ばれる文学の話やつながりが、とても面白いシリーズだと。
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記事をあげるのを忘れていました。すみません。〇| ̄|_

最後にオススメの一冊を挙げるとのことで、色々考えたのですが。
小路幸也「東京バンドワゴン」をオススメしたいと思います。
豊島ミホ「檸檬のころ」とすごく悩んだのですが、読んでいる時に脳内映像化して楽しいのはと考えてバンドワゴンに。本当に朝の連続テレビ小説とかで見たいなと思うのです。キャラクターが元気で、自分も元気をもらえる感じが大好きです。どうやら続きもあるらしいので、文庫化期待。
「檸檬のころ」は青春でさわやかでもんどりうちたくなる魅力があるので、こちらもオススメしたいです。

改めまして、企画者の永野水貴さん、参加者の皆様、お疲れさまでした! 感想を読んで、色々本をメモしました。また読めたらいいなあと思います。生来のチキンぶりからなかなかよそ様にコメントをつけられなかったのが、個人的な後悔になってますが、一緒に読書の時間を過ごしている気がしてとても嬉しかったです!
お疲れさまでした!
ラブコメ今昔
突っ走り系広報自衛官の女子が鬼の上官に情報開示を迫るのは、「奥様とのナレソメ」。双方一歩もひかない攻防戦の行方は!?「ラブコメ今昔」他六つの、自衛官たちが登場する恋愛短編集。

いやいやごちそうさまですという短編集。
最近の若者(二十代から三十代)の恋愛をこういう明るい文体で書くものになかなか出会ったことがないので、とても楽しく読める有川さんの本。
常々書かれているのが「有事の際は」ということ。これは「クジラの彼」でも書かれていたことだけれど、生半可な覚悟で国防はできないということ。これらは全部恋愛に焦点が当たっているし、平和な時代をメインにしているけれど。そういう点で「秘め事」はいろいろと重たかった。
「秘め事」は上官の娘と付き合うようになった自衛官の話。しかし何が起こるのか分からないのが自衛官で、主人公手島は彼女に別れようと言う。しかし、後悔に耐えきれず上官に全てを話して。
「そこそこいい打撃くれるようになりやがって」
「あなたが上官でしたから」

しかし上記の男の格闘はにやにやしてしまった。
有頂天家族
京都の地に天狗と狸と人間あり。人間の秘密結社金曜倶楽部によって狸鍋にされた、狸界を治める「偽右衛門」だった総一郎を父に持つ、三男矢三郎は、名高い天狗であった赤玉先生の世話をしぶしぶしたり、人間だった天狗弁天に振り回されたり。そのうち新しい偽右衛門を決めるため、自家下鴨家と叔父の夷川家の争いに巻き込まれることになり。

すっとぼけ具合が楽しい小説だった。
狸がいて天狗がいて、彼ら現代風に暮らしているというのが面白い。狸に言わせると金曜倶楽部の狸鍋と交通事故だけが不慮の死に値するとのことで、平和だなあとぽかぽかした。よく考えたら食うか食われるか(人間に)というどろどろした争いをしているのに、これが狸であるっていう辺りがとぼけていてくすくす笑ってしまう。
海星がとてもかわいいなー! 姿を現さなくて、口が悪くて、でも心優しい。でも優しかったのは後ろめたかったからなのかな……。それだけじゃないといいなあ。
蛍川・泥の河 (新潮文庫)
戦争の傷跡を残す大阪で、河の畔に住む少年と廓舟に暮らす姉弟との短い交友を描く太宰治賞受賞作「泥の河」。ようやく雪雲のはれる北陸富山の春から夏への季節の移ろいのなかに、落魄した父の死、友の事故、淡い初恋を描き、螢の大群のあやなす妖光に生死を超えた命の輝きをみる芥川賞受賞作「螢川」。幼年期と思春期のふたつの視線で、二筋の川面に映る人の世の哀歓をとらえた名作。(裏表紙より)

授業で使うのでじゃあ読もうという感じで。
「泥の河」は首から流れる汗を拭いたくなるような夏の暑さがなんとなく残った。銀子も喜一も母親のしていることが分かって、言いようのない暗さを抱えていても、ご飯に腕を突っ込んだり、お化け鯉を見ていたりと素朴な幸せを知っている。それが真夏の「うだるような」の表現のように生々しく重たく澱んでいる感じ。なんか私も怖かった。
「螢川」は竜夫の周囲のどろどろさを感じさせながら、人のつながりが見える気がして好きだった。竜夫が愛されている理由はなんなんだろう。優しくしてくれる人たちに思惑はあるんだろうか。
風が強く吹いている
寛政大に入学する予定の蔵原走は、ただ走ることが息をすることと同じことだった。追いかけてきた四年生の清瀬灰二に、格安の下宿・竹青荘を紹介される。そこには個性豊かな面々が暮らしていた。そして清瀬は、走を最後の一人と呼び、十人全員で箱根駅伝出場を目指すことを宣言する。

すごく面白かった! スポーツ青春もの。
人物が個性豊かで、漫画にしたらまた面白かろうという物語。かと言って軽いわけでもなくて、どっしり構えて楽しく読める。
走と清瀬のコンビが、とてもいい信頼関係で結ばれていていいなあと思った。それからムサと神童。キングの一人だけれどこの関係は、と思っている辺りがすごーく青春だった。走っている最中のそれぞれの思考はもしかしたら人によってはたるいなあと思うかもしれないけれど、私はすごく惹き付けられて読んだ。思考の間にも走りの駆け引きが見えるからかもしれない。
箱根駅伝に限らずすべてのスポーツにあまり興味はなかったけれど、箱根駅伝見ようかなと思いました。
春になったら苺を摘みに (新潮文庫)
「理解はできないが、受け容れる」それがウェスト夫人の生き方だった。「私」が学生時代を過ごした英国の下宿には、女主人ウェスト夫人と、さまざまな人種や考え方の住人たちが暮らしていた。ウェスト夫人の強靭な博愛精神と、時代に左右されない生き方に触れて、「私」は日常を深く生き抜くということを、さらに自分に問い続ける——物語の生れる場所からの、著者初めてのエッセイ。(裏表紙より)

梨木さんの「村田エフェンディ滞土録」を思い出させるエッセイだった。こういう基盤があったから、梨木さんはあの物語を書くことができたのだな。
受容することと意見すること。素敵な人物にはそれが備わっているんだ、と確認した気がする。
「夜行列車」でさっと過る人種差別を前に、はっきりと意思を述べた梨木さんの「——私は本当に悲しかった」と伝えるシーンが胸に迫った。こう言えて、また言われた人はそれを自分の中で受け入れて、別れる際に「いいご旅行を、ma'am!」と言う。それに答える梨木さんの「ありがとう、あなたもいい週末を!」と別れるところがとてもいい。すごくいい。
図書館の神様
バレー部のエースだった早川清。部員の一人が自殺したことで、正しく清い道から外れた。それまでの道から一転地方の私大に進学したあと、清はある高校で国語の講師として働き始める。部活動顧問は、望んでいたバレー部ではなくて文芸部。しかも部員は一人だった。

青春らしい青春を過さなかった若い女性がもう一度青春する話と受け取った。
清は先生らしくない先生で、正直なめてるので、世の文学人間と教職の講義を真剣に受けている学生はむっとしそうだが、しかし段々と文学を楽しんでいく課程はとてもわくわくした。授業も面白くなって生徒に受け入れられていくのは、段々と信頼を得ていくのが分かって嬉しかった。
垣内くんが他の生徒とどう過ごしているのかという視点があったら少女小説かな。垣内くんが誰よりも大人であるように見えるのは、清が子ども過ぎるからか。二人セットでちょうどいいということか。
しかし先生らしくない先生というのが、大人と子どもの中間の位置にいる感じがしてすごーく良かった。大学生が読んだらいいと思うよこれ。しかも教職目指してる人(最初むっとするだろうけど)
ザ・万歩計
2008年3月25日第一刷発行のエッセイ。

万城目さんの本は読んだことがないのでこれが初。経歴も知らない不届きものです。すみません。
エッセイはあんまり読んだことはないけれど、私のイメージの「エッセイ」らしいエッセイだったように思う。
冒頭の「「はじめに」にかえて 風が吹けばエッセイを書く」がなかなか面白かったので読んだ。
Gとの戦いを書いた「御器齧り戦記」がなんか好きだったが、実際に体験したらぞーっとする(この前初めて飛翔するアレに遭遇した……)
「マジカルミステリーツアー」の謎1
(前略)泥だまりのなかで呻いていると、近くの民家からわらわら人が出てきた。
「痛いの?」
 と訊かれ、「とても痛いです」と答えると、両脇を抱えられ、ゴザのようなものが敷かれた場所へ運ばれた。

のところ、映像で再生されて吹いた。多分あれだ、「動物のお医者さん」の大学病院の密集地域で事故った人に群がってくるのに似ているからだ。
でもまあ「マジカルミステリーツアー」は「鼻しゅっしゅ」の話だけど。
帝国の娘 (前編) (コバルト文庫―流血女神伝)帝国の娘〈後編〉―流血女神伝 (コバルト文庫)
カリエ、十四歳。彼女は、ルトヴィア帝国の国境にほど近い小さな山村の猟師の家に育った。ある冬の日、カリエは、いつもは女の身で狩りに出ることを快く思っていない父親に、珍しく「狩りに行け」と命じられた。吹雪の森の中、獲物を求め歩いていたカリエの前に突然現れたエディアルドと名乗る貴族風の男。「おまえを迎えに来た」——気を失わされたカリエが攫われていった場所というのは…!?(前編・カバー折り返しより)

流血女神伝シリーズ一作目。色々な方向から話を聞いて、密林探索した。
入れ替わり劇で陰謀劇で壮大な物語の幕開けが。世界観が結構はっきり決まっていて、これは濃いファンタジーになると思った。ときめきかと思えばあまりそういう要素はない。カリエの成長がときめきかも。グラーシカと対等に渡り合うという辺りとか、堂々とした振る舞いにときめくかも。グラーシカが輝いていた気がする。私は彼女が好きだ。しかしサルベーンはうさんくさい。エディアルドはヅンヅン(ツンツンの上)しすぎ。
皇子宮の日々は結構平和だけれど、サルベーンが出ると物語がじわじわ動き出していくのが分かる。もしくは彼によって動き出されているのか。ラクリゼさんがとても好きだ。ただものではない感じで、挿絵にとても射抜かれた。
まだカリエは何も知らないということがよく分かった一作目だったように思う。知っているのは一部の人のみで、まだまだ始まったばかりだと。
兄上たちの思いが痛かった。ドーンもシオンも納得のいく思考だと思った。ミュカはこれからどうなるんだろう。エド以外では味方になってくれそうなのに。
タイトル通りというか、きっとかなり女性が強いシリーズなのだろうという想像を巡らせている。
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Author:月子
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