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ぼんくら〈上〉 (講談社文庫)ぼんくら〈下〉 (講談社文庫)
「殺し屋が来て、兄さんを殺してしまったんです」—江戸、深川の鉄瓶長屋で八百屋の太助が殺された。その後、評判の良かった差配人が姿を消し、三つの家族も次々と失踪してしまった。いったい、この長屋には何が起きているのか。ぼんくらな同心・平四郎が動き始めた。著者渾身の長編時代ミステリー。(上巻・裏表紙)

短編集かと思ったら、実は短中長編でひとつの物語。
ぼんくらの同心、とあるけれど、そんなぼんくらに感じなかったのは、もっとへたれでニートな「僕僕先生」(仁木英之)の王弁を知っているせいかなあ。
上巻は長屋の面々の事件と楽しさみたいなものなんだけど、「長い影」という話に近付くと暗雲が立ちこめてきた。しかしこの話の清涼剤は、美少年で測量という特技を持つ弓之助の存在だなあ! この子、かわいいぞ……! 疲れた親父と合わさると最強じゃ! 平四郎&弓之助コンビ超良い……! 疲れた親父と賢い美少年いいなあ。この美少年には弱みがあって、そこが子どもらしくてかわいくていい!
しかし話は段々と人間関係の複雑怪奇なところへ落ちていく。なんか色々やるせないなあと思う幕切れ。でも上巻一話の話から見ると、この終わりはこの小説の決められていた形だったんだろうなあと思ったり。人情とか、人間とか、そういうもの。
とても面白かった!
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