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私の男
腐野花は結婚する。しかし相手は、私の男ではない。養父であり男である淳吾は、傘を傾け雨から花を守る。ずっと守ってきた。結婚し、新婚旅行から戻ってきた花は、以前の部屋から淳吾が消えてしまったことを知る。罪の象徴であった、あの死体を片付けて。

これ構成がすごくすごーく好きだ。設定が暗く澱んでいて、あんまり読み進める気がしなかったのだけれど、読んでいくうちに考えていけばいくほどすごく面白かった。
全6章。視点を変えて次第に過去へ遡っていくのが構成。1章は謎を残したまま終わり、2章から少しずつ明らかになっていく愛情と罪と繋がり。純度を増していく一方で、読み終わった章の歪みを強調していく、というのがとても感動した。あくまで私感だけど、すごいこれ。
第4章の「花と、あたらしいカメラ」の、叫ぶシーンがすごく頭にある。どんより曇った、雲の低い風の強い空の下で、濁った暗い海の前に立っているぼろぼろの花と、親父さん、というイメージが。
決して希望のある未来は迎えないのに、ラストの希望を抱いた花の言葉が苦しい。
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