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読んだ本とか、漫画とか、映画とか、色々
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傍から見たら、ちょっと不思議らしい。でも、これが私たち夫婦。私たちの家

木崎ゆすら、職業文筆家。先日結婚しました。旦那さんは毎日美味しいご飯をつくってくれます。天気がいい日も悪い日も、普通の日もお祝いの日も、私が書けても書けなくても。父が残したこの家で。ゆったり夫婦の物語(Amazonより)

ゆすらは他の人たちのようにうまく生きられない。できるのは小説を書くこと。
夫となった木崎は仕事を辞め、毎日食事を作り、家事をし、時々趣味のゲームをして過ごしている。
周りから見れば不思議な生活だけれど心地よい、時々心が波立つこともある日々を送っている二人。季節の流れと、ごはんと、心の陰影を描写した作品で、これを富士見L文庫で出したのか! すごいな!? と思いながら読みました。すごく素敵な作品なのに何故このタイトルなんだ。もったいない。
ゆすらの心の動きはよく描写されるのに、肝心なところははっきりと語らないのがとても良い。たとえば父親の話。崇のこと。でもまったく心の中にないわけではないという塩梅がすごくいい。語らないからこそ語れない感じ。
そうして心がいっぱいいっぱいになったとき、当たり前のように木崎が出す食事がとてもいい。季節を感じる食事、何気ないものも御馳走も、すべてゆすらの毎日の中に溶けている感じ。そして木崎もそんな毎日を心地よく感じているのが最後にわかってぐっときました。「なにものにもなれない」とわかっている人が「なにかにならなければならない」人のことを知ることで、自分にも意味があるのかもしれないと思えるのはすごく救いだと思ったんですよね。
とても素敵な作品でした。
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Author:月子
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