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惑星童話 (コバルト文庫)
西暦22世紀。天才宇宙飛行士アーノルドは、宇宙船のクルーとして大活躍している。
しかし、誰もがあこがれる彼の仕事には、大きな副作用があった。ひとりだけ時間の流れからとり残されてしまうという、とても悲しく、つらい副作用が…。
肉親との絆をも断った彼は、ある少女と出会った。そして…。
時空を越えた、感動SFロマンの決定版!(裏表紙より)

須賀しのぶさんのデビュー作。「惑星童話」と「惑星童話 オイディプスの惑星」の二本を収録。秀逸っていう言葉が浮かぶほど、丁寧で読みやすいSFです。
雷光船と呼ばれる超高速移動宇宙船のクルーになるには素質が必要。そしてクルーになると、その宇宙空間移動の影響で浦島効果と呼ばれる、地球とクルーとでは時間の流れが異なるという現象が起きてしまう。アーノルドがたった四十日宇宙を旅している間に地球では十五年の月日が流れ、航行を繰り返す度に知った人がいなくなっているという。
そんな中、姉の子どもで姪であるクレアと出会い、少女だった彼女は再会した時には妙齢の女性になっていて、あなたに会いたくてクルーを目指してきたという……もうロマンしかない。ロマンしかないよこれ! 叔父と姪という禁断の関係ではあるんですけれども、宇宙に引き裂かれる二人というシチュエーションはすごくいい。
さらっと書かれていますがアーノルドの親友コジマもいい男で、アーノルドが知らない間に生まれた子を養子にして育ててるんですよね。いい男すぎる。
「オイディプスの惑星」はその養子となったアーノルドの子ども、リチャードの話です。この二つの話には共通の話題として「氷の王様の物語」と「惑星アドラス」があるのですが、最後には二つが綺麗につながって、とてもよかったです。
しかしあとがきのテンションの高さにちょっと笑ってしまった。「ブラック・ベルベット」でも「流血女神伝」でもこんなテンションは高くなかったように思ったので、大学四年生であとがきを書く当時のテンションってこんなだったのかあと思いました。
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