昭和二十六年十二月十日初版発行。同性愛がテーマ。
解説には「女性崇拝」という言葉が出て来たけれど、うーん、その表現は微妙かも。こういう視点の女性の書き方は確かに男性の書き方という感じがするけど。
文学的ではなく、娯楽的な印象。私が持っている純文学のイメージには、どこか宗教じみた感じ、孤高の視線を感じる時を持っているというのがあるのだけれど、これは習慣的な視線からどこかこんがらがった縺れを書いていると思う。
その三十からの加速がすごい。夫までも光子の虜になって、夫が園子に情熱が分かったと告げる辺りから。情念とか、そういうどろどろしたものを書くのがブンガクのような気もする。
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