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鏡のなかの鏡―迷宮 (岩波現代文庫)

連作短編集。一つの話は短いもので2ページ、長いもので20ページくらいか。
『はてしない物語』『モモ』『ジムボタンの機関車大旅行』を読んだ身としては、こういうグロテスクで不可思議な話ばかりが続いていると驚いてしまう。ここには子どもが望むような明るい夢ではなくて、永遠に続く悪夢を描いているかのよう。
この物語の中は、生と死というより、永遠の夢、生死の中間地点であるように思う。「湿地のように暗いのは母の顔だ」が恐ろしかった。永遠に続く、というのが表されている気がして。
「手に手をとって、ふたりが道を」では、子どもが授業という形で、楽園を見てきたという男に出会う。子どもが出て来ると、物語が華やぐような印象を持った。
「黒い空のした、ひとの住めない国が」で魔術師がエンデと名乗り、少年が「ミヒャエル」と名付けられ、二人が暮らせるような世界を探しに行こうと言い出すのは、物語を書き進めている作者の姿が浮かんでくる。子どもの心と大人の心を持った自分、そうして自分が望む世界を探しているように思えて、わくわくしつつも少し寂しい気分になった。
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