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マゼンタ色の黄昏―マリア外伝 (講談社X文庫―ホワイトハート)
 いままで読みたくても読めなった、雑誌「Amie」に掲載された、幻の『マリア外伝』が大幅にボリュームアップして、ついに登場です。マリアよりも艶やかで狂おしい、エルザ、フランツ、ユリアの恋物語——。
 そしてもうひとつ、スペシャル企画として池上沙京先生のコミック版『マリア』も収録。豪華絢爛たるドイツ王朝絵巻……。ため息の出るような流麗なイラストを、存分にお楽しみください!! ロマンの世界へ、ようこそ!(カバー折り返しより)

『マリア』から遡って、そのマリアの親世代に当たる三人の恋物語。ハプスブルク家の娘としてハルバーシュタット公と政略結婚したエルザ。しかし公は六十歳の老人。しかしハルバーシュタットには宰相の若く美しく明晰な息子フランツがいた。かつて宰相家に仕え、エルザに仕えることになったユリアは、フランツの思いを胸に秘めている。ハプスブルクの女として、横暴に振る舞う夫に従順な妻であるエルザは、フランツへの思いを秘め、フランツもまたエルザに。
という三角関係と政略と歴史を感じるロマンスでした。『マリア』を知っていなくとも読めますが、やっぱり『マリア』も一緒に読んだ方が絶対に面白い。というのは、『マリア』では今ひとつ冷たいのかどうなのかよく分からなかった宰相(フランツ)の人となりが分かるからです。外伝を読むと、『マリア』の主役であるフリードリヒが、宰相と分かり合えたのではないか、と思っているところに深みが出てすごくいい! ほかに好きだったのはマリアがいる数少ないシーンで、エルザがマリアを愛おしんでいるところが一番胸に迫りました。
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