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白い月の丘で (カドカワ銀のさじシリーズ)
ハジュンは、強国アインスに滅ぼされたトール国の王子。ひそかにシーハン公国へと脱出し、過去を捨てて成長したが、十年ぶりに、故国に帰ってくる。アインスに虐げられ、音楽まで禁じられたトールの現状に穏やかではいられないハジュンだが、美しく成長した幼なじみで笛の名手のマーリィと、心通わせていく。しかし、マーリィの元に足しげく通ってくる謎の青年カリオルが、実は、仇であるアインスの王子だと知って——!?(カバー折り返しより)

亡国の王子が故国へ帰還した。王子はシーハン公国へ亡命し、学院長や学院の優秀な先輩、更に強く賢い師に学んで、健やかな青年に成長していた。故国へ戻ってきたのは師に言われて見聞を広めるため。王になどなるつもりはなかったけれど……。『碧空の果てに』の次の話にあたります。……こう書けば上記の私の微妙な説明で誰が出てくるか分かるはずだ!笑 面白かった。
てっきり三角関係でどろどろしていたり、敵国の王子が憎い、という話になるのかと思いきや、やはりシーハンで学んだだけあってハジュンは賢い人でしたし、アインスの王子であるカリオルも気持ちのいい若者で、マーリィを挟んだちょっと切ない三人の関係がいとおしいなと思えました。この話に出てくる若者たちは、つい応援したくなってしまう清々しさがあると思います。
草原の国の、様々な国の変化を書くシリーズっぽいので、主人公たちは新しい時代を担うけれど、一方で変わることのできない大人たちの存在があったり、その国独自の文化や考え方があったりと、変わることの難しさをしみじみ感じる本でもありました。
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