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文庫 セレモニー黒真珠 (MF文庫ダ・ヴィンチ)
もう忘れた、と思っていたけど
お葬式のご用命は、真心と信頼の旅立ち・セレモニー黒真珠まで——小さな町の葬儀屋「セレモニー黒真珠」を舞台に、シッカリしすぎなアラサー女子・笹島、喪服が異常に似合う悩めるメガネ男子・木崎、どこかワケあり気な新人ハケン女子・妹尾の3人が織り成す、ドラマティック+ハートウォーミングストーリー。連作短編全6作品を収録。解説は、作家の南綾子(裏表紙より)

お葬式をテーマにした連作。最初に読んだのがアンソロジーに収録されている「はじめてのお葬式」だったのでそういうちょっとほろっとくるいい話を集めているのかと思ったら、なかなか明るくシリアスでした。結婚と仕事を絡めてあるのもずしんと来たし、家族のどうしようもない問題にも関わってくるので、なかなか辛い。ぐっと涙を堪えて頭を下げる、セレモニー黒真珠の人々が重なる。
そうかと思うと「あたしのおにいちゃん」「はじめてのお葬式」が入っていてほっとしました。特に「はじめてのお葬式」は女子学生が主人公なだけあって、吹奏楽と野球部とか、東京の学校に行くとか、それは恋です、とかで! これが一番好きだ。大人のぐっと胸を張っているお話も好きなんだけど、戻らないものを戻らないと知ってしまった少年少女たちの話が好きなんだ!
そんな二つの気持ちを満たしてくれる、いい本だった。
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