読んだ本とか、漫画とか、映画とか、色々
福岡のお屋敷に奉公に出た千恵子。そこで出会った美しい令嬢の和江は、愛に飢えた寂しい日々を送っていた。孤独の中、友情とも恋とも違う感情で惹かれ合うが、第二次大戦下、戦況は刻々と悪化。女たちの運命はたやすく戦火に揺り動かされ……。人生を選ぶことも叶わず、時代と男に翻弄されてもなお咲き続ける昭和の女性たちの、誇り高き愛の物語。(裏表紙より)
やくざ者の情婦である和代と雛代、姉妹の愛憎と別れを描く「天人菊」。
父親の借金のかたに妾として売られた泉美。彼女のもとに旦那様の息子が現れる「凌霄花」。
博多の知事の家に奉公に上がった千恵子は、お嬢様の和江と惹かれ合う「乙女椿」。
過去といまを行き来するとある老女の追走「雪割草」。
何気なく読み始めて「ああ中短編集か」と思ったら! 嬉しい裏切りでした。お話が連なっていることに凄まじい意味が込められていて、おっもしろ……とつい声が出てしまう。
宮木あや子作品でも官能を含む艶めいたお話が集まっているんですが、この中短編の第二次世界大戦前後という舞台と合わさって、すごく濃密に香る。生と死に食らいついている感。「乙女椿」を読んでいて、どうして女性たちがこういう風に接してくれるんだろうと思ったら、三浦しをんさんの解説を読んで納得しました。そうか、女性たちはこうやって互いに力を合わせて命を繋ごうとしているんだな。そのひたむきさ、懸命さにぐっとくる。
最後の「雪割草」での恋が時代の移り変わりを表しているようで、最後ちょっと息がつけたのもすごくよかった。
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