読んだ本とか、漫画とか、映画とか、色々
2007年、とある青年が手に入れた大量のネガ。その古い写真を現像してネット上にアップすると素晴らしい作品だと賞賛の声が上がった。彼はそのネガから「ヴィヴィアン・マイヤー」という人物名を見つけ、彼女を探す。するとその訃報が検索で引っかかった。謎の写真家ヴィヴィアン・マイヤーとは……?
ドキュメンタリー。不思議な力強さと魅力を秘めた多数の写真を見つけたジョン・マルーフは、ヴィヴィアン・マイヤーが撮影したと思われる写真で作品展を行う。彼女は死後に脚光を浴びたが、それゆえに謎の満ちていた。マルーフは彼女の足跡を追って、家政婦をしていた家、乳母をしていた家などを訪ねてインタビューしていく。
そこから浮き上がってくるのは、発表することはなくても淡々と自分の作品を作っていく、職人のような表現者だったということ。何か悲しい過去があったのか天涯孤独で、新聞を乱読し、溜め込み癖的な収集癖がある変わり者だったということ。
すごくドラマティックなように思えるけれど、なんだろう、すごく物寂しいような……。世界から弾かれていたわけではないだろうけれど、自分と向き合い続けるあまり閉じられた世界に生きて、外側にある世界を撮影している女性の姿が浮かんで、なんだか胸がきゅっとする。
写真を見たいという声は、あなたが何を見ていたのか知りたいという気持ちなんじゃないかなあと思う。謎めいた人だったけれど、そのことを知らない人たちも写真から彼女の複雑な、人間的な内面を感じ取ったんじゃないかなあ。
この注目を本人が喜んだどうかは永遠の謎だけれど、作品が世に出て、誰かの心に響くなら素晴らしいことだと思う。面白いドキュメンタリーでした。
PR