読んだ本とか、漫画とか、映画とか、色々
世界征服まであと一歩だった魔王サタンは、勇者に敗れ、異世界『日本』の東京・笹塚にたどり着く。
そんな魔王が日本でできること。それはもちろん“世界征服”!! ——ではなく、駅前のファーストフード店でアルバイトをしながら生活費を稼ぐ、いわゆるフリーター生活だった!
その頃、魔王を追って時空を越えた勇者エミリアもまた、テレホンアポインターとして日本経済と戦っていた。そんな二人が東京で再会することになり——!?
六畳一間のアパートを仮の魔王城に、今日も額に汗して働くフリーター魔王さまが繰り広げる庶民派ファンタジー。第17回電撃小説大賞〈銀賞〉受賞作登場!(裏表紙より)
勇者に敗れた魔王が、現代東京にやってきて残り少ない魔力を駆使しつつなんとか戸籍を手に入れた。日々を生きるために選んだのはアルバイト。ファストフード店で優秀な接客をするできる魔王、もとい真奥とその部下芦屋、そして勇者こと恵美の、どたばたファンタジーコメディ。
コメディなんですがやっていることはごく普通の日常、かつ地下通路崩落とか首都高落下とか凄まじい異変が起こる状況。その中で東京に馴染んでいて、状況がよく見えている真奥の泰然としたかっこよさがきらめく。全然魔王らしくないけれどすごく有能ないい人だなあ彼。マグロナルドで世界征服してほしい。
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十年前は教師と生徒。
いまはただの飲み友達?
合コンに行ってみたら出会った人が高校のときの先生だった衝撃。十年前に想いを寄せていた教師、青砥英輔(35歳彼女ナシ)に再会したことで上山悠香(28歳彼氏ナシ)の恋は再び動き始める。自分が教え子だからこそ向けられるその優しさに、いちいちときめいてしまう悠香。しかしどうしても、あの頃の自分を越えて、英輔に近づく勇気が出ない。どんどん好きになるこの気持ち、どうすればいいの!? 甘くて苦い、大人気ムズキュンラブストーリーついに書籍化!!(裏表紙より)
十年前教師と生徒だった二人が、合コンで再会したのをきっかけに飲んだり食べたりちょっと出かけたりして、じれじれと距離を縮めていくお話。
お互いが好きじゃないとできないだろうという言動、元教師と生徒という関係性でごまかされていて「気づけー! 早く気づけー!」ともだもだします。
意外だったのが二人の共通項が「二次元」ということ。先生の副業が成人向け小説家だということです。オタクというほどオタクではありませんが、漫画やアニメを嗜んでいるのを隠しているので次の巻で明らかになるのかなあ?
2025年7月。高校生の明日子と双子の弟・日々人は、いとこがいること、彼女と一緒に暮らすことを父から唐突に知らされる。ただでさえつまらない夏休み、面倒ごとが増えて二人ともうんざりだ。いとこの存在に、なんの楽しみも期待もない。退屈な日常はひたすら続いていく。けれど、彼女——今日子は、長い眠りから目覚めたばかりの、三十年前の女子高生だった…。
17歳の夏、私たちの隣には"彼女"がいた。(裏表紙より)
ポケベルやルーズソックスが全盛だった1995年の女子高生、今日子。
スマホが普及しなんでも検索で調べられる2025年の高校生、明日子と日々人。
生きてきた年代は少しずれているけれど三人が2025年の夏に一堂に会し、少しだけ非日常感のある夏休みを送るお話。オレンジ文庫から出ているけれど普通の集英社文庫みたいだった。
主な語り手は明日子。彼女の、ちょっと冷めた感覚で物事を見ていたり、茫漠とした未来にかすかな不安を抱いているような語り方に、ああ17歳ってそうだよなあと思いました。少しずつ何かを昨日に置いて行っているんだけれどまだそれが重みとして感じられていないような、けれど夏が終わったらさよならしたんだということを思い出させられて胸がぎゅっとするような。
懐古する描写や少し未来にある、いまこれを読む私たちが感じている予兆が現実になっている文化や光景なんかを比較するところがなんだか切なくなりました。
料理好きの女子高生・茉莉がうたた寝から覚めると、そこは西洋風異世界で、隣には見知らぬ男が熟睡していた。大絶叫したとたん、不審者としてあわや処刑されかかる茉莉。なんと寝ていたのは本物の「王子様」! 側近たちから疑われまくる茉莉だが、重度の不眠症に悩んでいたというレーガン(王子)様は、「——帰るまでの間、俺と寝ろ」と“抱き枕”扱いしてきて!? ネット掲載時に話題を呼んだ異世界トリップの傑作、登場!(裏表紙より)
ばりばりの続きものだった。うわーこの巻だけだと茉莉の扱いがひどすぎてもやもやするー!
妹のお願いを聞いて大量のマドレーヌを焼いた次の日、学校でつい居眠りをした直後、目覚めたら見知らぬ場所にいた茉莉。不眠症の王子様レーガンに衣食住を保証するので添い寝しろと言われ、自分の身を守るために承知することに。しかし言葉の通じない国で、王子を狙う刺客だと疑われて。
食事に関してのコンさんとトイのやり口は、地味なんですが精神的にくる意地悪だなあと思いました。文化がわからなくてアウェー感を強く感じると、心がずたぼろになるよね……。
亡くなったはずのクロウの弟・パールが生きていた。誰か的確なツッコミを!! な状況にたじろぐフェルだが、皇宮の人々は彼が当たり前に存在するかのように過ごしている。何とか正体を探ろうと試みるも、事態はエルラント帝国がフエルの故国ユナイアの侵攻にまで発展。このままではフェルが人質に……。戦争を止めるには“アレ”をやるしかって、旦那様、本気ですか——!?
正体不明の弟冬樹おで、嫁が人質!? ニセ新婚生活第9弾!(裏表紙より)
死んだはずのパールが生きていた!? しかも皇宮では五人のはずの皇子が「六人」生きていることになっている。どうやら呪毒のせいでパールが生きているように操作されているらしい……。
ホラーみたいな展開もありつつ、最後の最後で凄まじいどんでん返しをかまされてもうどんな顔していいかわからない。うわあああああみんなあああああああ!!!
フェルには頑張って欲しいし、なんならシレイネ姫が助けに来てくれないかと思っている。
脇役だった執事が主役に——
本書は、「日本の創作における執事のイメージ」が、どのように描かれ、どのように広がり、どのように変化していったのかを考察する、初の通史となる一冊です。様々な漫画・小説・アニメなどの作品中で脇役に過ぎなかった執事が、1990年代からは次第にメインキャラクターとなり、2006年の「執事喫茶」の誕生に代表される「執事ブーム」が生まれ、「執事」のイメージ拡大は顕在化していきました。本書では1990年代から2005年までの執事イメージや作品の増加を「執事トレンド」、2006年以降の主役化作品の急増を「執事ブーム」として切り分け、ブームが生じるまでと生じた後の「日本の執事イメージ」を比較します。(カバー折り返しより)
日本における執事がどのように描かれ、カルチャーとして消費されてきたのかをまとめてあります。2018年8月の本で、執事喫茶を始め、アニメ、漫画、小説、ゲーム、特撮にも触れられています。ものすごい数の作品が列挙されていますがさほど比較せず、大きくジャンルわけしているだけだけれど、知っている作品が多いとああなるほどねとなるから、執事って意外と身近に描かれているんだなあと思う。
優しい同級生として有名だったナベちゃんが結婚するが、その嫁がヤバイらしいという噂が流れてくる「ナベちゃんと嫁」。国民的アイドルグループの一人となった教え子が母校を訪ねてくるという。かつて彼の弟の担任だった佐藤は……「パッとしない子」。成人式の写真に写っている彼女の着物にまつわる不思議と、完璧な子育てと母と子どもの話「ママ・はは」。時の人となったかつての同級生に取材を申し込んだ早穂だが……「早穂とゆかり」。四つの短編集。
あわよくば誰かと恋人関係になりたかったかつての同級生の男子、その彼が結婚するという。その嫁は少々普通ではない。連絡手段を限定しようとしたり女友達を排除しようとしたりする嫁だというのだ。
国民的アイドルになった教え子のことを「パッとしない子だった」と周囲に話していた教師。
いじめではないと言いながら相手のことを面白おかしくいじっていたライターの早穂。
彼女たちは当事者にはどのように思われていたのか。胸がきりきりするような「噛み合わない」人たちの四つのお話。もう痛くて痛くて……。
「自分の側からは見えない」という噛み合わなさを描いた作品群ばかりで、視点人物のほとんどが「私は正しい」と主張してくる痛々しさもそうだし、子どもの頃のあやまちをあやまちとも思っていない現在と、時が経ても癒えない当事者の傷のこととか、読んでいて辛かった。
二〇一二年一二月一二日、兵庫県警本部の留置施設内で、ひとりの女が自殺した。女の名は角田美代子。尼崎連続変死事件の主犯である。美代子と同居する集団、いわゆる“角田ファミリー”が逮捕され、これまでの非道な犯行が次々と明らかになってきていた矢先のことだった。主犯の自殺によって記憶の彼方に葬り去られたこの事件の裏側には何があるのか? 尼崎を中心とした徹底取材をもとに、驚愕の真相を白日の下の曝す、問題作!(カバー折り返しより)
ひたすら「わからない」と思いました。どうしてこうなったかも、ここまでのことになってしまったのかも。主犯が消えてしまって残された人たちは何を思ったんだろう。こうしてまったく関係のない立場からしてもやるせないのに。