読んだ本とか、漫画とか、映画とか、色々
2094年12月。なんのための戦いか誰もが見失う戦争が長く続く日本。野田家の三姉妹は東京を離れて稚内に来たが、そこでの暮らしに飽き飽きしていた。チェーホフの『三人姉妹』を原作にした舞台作品。
戦争が続いているけれどなんのために戦っているのか知らない。東京という場所に帰りたいという悲願がある。しかし狭い世界でしか生きていない一家……という原作である『三人姉妹』ほぼそのままな印象を受けたんですが、「三人姉妹」はだいぶと前に一回か二回くらいしか見ていないので、自分の記憶はあんまりあてにならない……。
都会へ思いを馳せながら地方で暮らしている、その鬱屈した感じや、そこから弾かれてしまうであろう一家の荒々しさ、無作法さっぽいものがよく表れていたかなあという気がしました。美しいんだけれど徹底しきれない粗野な感じというか。
やっぱりメイキングを見るのが楽しかったです。見ちゃうよねーメイキング。
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舟で旅をするタケルは水路に落ちた少女・カナを助ける。彼女や姉のナオらと仲良くなるも、タケルは再び太平洋を西に向かう旅に出るのだが…。(「キネマ旬報社」データベースより一部引用)
維新派の作品を初めて見ました。劇場を作って公演が終わると解体するというのは知っていたんですが、スクラップアンドビルドっていうんですねそれ。
水街はその名の通り、巨大なプールを使って水場を表現していて、すごく凝った舞台でした。水があるとこんな画になるのかあ、と舞台装置の凄さを実感しました。
独特な節回しの台詞。重なる声。そうしたものが見ているうちに酩酊感を催して、最後まで見るとなんだか酔ったような気分になってしまった。最後のシーンなんてなんか……鬼気迫るというか、物寂しいモノクロの世界に赤色が入って、ますます別世界のように見えて。
理解できたとはとても言い難いんですが、すごかった。
ジェームズは末期ガンで余命残りわずかと診断されていた。残された時間を使って、親友たちと旅をすることにしたジェームズだったが、長い旅によって少しずつ彼らの問題や気持ちが明らかになっていく。そして最後にジェームズと親友たちが出した結論とは……。
自分が余命幾ばくもないと知ったとき、どのように死に場所を選べるのだろうか。生きていてほしいと願う家族や友人たちがいるのはわかっているけれど、モルヒネまで使って生きながらえ、苦しみ抜いて死ぬ人生でいいのか。
そうしてジェームズが考えたのがこの選択で、見届けたのが友人たち。
この旅の感じ、何かに似ているようなと思ったら「スタンド・バイ・ミー」ですね。だからこれは大人たちの、死を見るための旅だったのかもしれない。
コナンたちは百人一首の団体皐月会の会長との対談を行う小五郎とともに、テレビ局を訪れていた。ところがそのテレビ局が爆破予告を受け、一度は避難するものの、貴重な百人一首の札を取りに戻った友人を助けるべく、平次と和葉は建物内に留まってしまう。爆破されるビル、取り残された友人たちを助けるためコナンは救出に向かう。これこそ、皐月会と百人一首をめぐる事件の始まりだった。
平次回の映画作品。めちゃくちゃ久しぶりにコナンの映画を見ました。
いやあ、歌に想いを込めるというシチュエーションが素敵すぎて、楽しかったです。あとやっぱり平次の啖呵はかっこよかったわ……。しかし爆破と飛翔シーンが多すぎて、超アクロバティクだった。
百人一首競技の盛り上がりと事件推理が同時進行するの、面白い。
ゲストキャラの紅葉が結構したたかで嫌味な少女なんですが、決して嫌な感じではなく、最後にはちょっとかわいいなと思える思い込みの強さがわかったりなどして、面白い子だなと思いました。
19世紀英国——女性の権利拡張に燃えるお転婆お嬢様アイルは、その逸脱した行動によって、ついに女学院を退学になってしまった。
実家に戻ったアイルの前に、エリックと名乗る病弱な少年が現れる。彼は兄の死の真相を調べるため、アイルの父親が理事を務める学校に転校を希望していた。
病に倒れた彼の代わりに、アイルは自らが転入すると宣言! しかしそこは男子校で……。
「間違っているのは、女学生をうけいれない向こうよね」
アイルは、誰にもバレずに事件の真相を突きとめられるのか——?(裏表紙より)
ヴィクトリア時代。女性の権利がまだまだ認められていない時代に、花嫁学校を卒業して結婚するだけの人生なんていや! と問題行動を繰り返した結果退学になったアイリーン。自分ができるということをもっと認めてもらいたいと思った結果、兄の死の真相を知りたいという少年の身代わりになって男子校に潜入。
男装ものの美味しさもあり、パブリックスクールものの美味しさもあり、と楽しい一冊でした。また男性陣が魅力的で、超優秀な監督生(かつ未来の夫候補、であることをアイルは知らない)従兄のウィリアム、粗野な問題児ながらも何かとアイルを助けてくれるデレク、アイルが最も愛する父親ジェフリー卿と声がそっくりなケネスなど、誰といい感じになってもときめくなあという布陣。
学期が終わるまでの潜入とのことですが、今度は何をやらかしてくれるのか楽しみです。
森若沙名子、27歳、彼氏なし。入社以来、経理一筋。きっちりとした労働と、適正な給料。過剰なものも足りないものもない、完璧な生活をおくっている、はずだった。最近、そんな気配のなかった同期に恋人ができて、少し迷いが生じている。ある日、営業部のエース・山田太陽が持ちこんだ領収書には「4800円、たこ焼き代」。経理からは社内の人間模様が見えてくる?
だいたいの社員は、入社するとすこしずつずるくなる。(裏表紙より)
「これは経費で落ちません」とざくざく切って捨てる話かと思いきや、意外と経費として計上していた。しかしその裏には人間の小狡い思惑や、小額の横領なんかがある。お金の流れを握る人は影の実力者になるよなあ、というのをしみじみ感じる話でした。
沙名子の性格や暮らしぶりが、ああーわかるーと思う。私はまったく正反対な性格だと思うんですが、数字が合わないと気持ち悪い(そして多いとさらに気持ち悪い)とか、職場においては適切な距離を保ちたいとかプライベートは喋りたくないとか、こまごました「社会人としての立ち位置」がすごーくよくわかるんですよね……。しかしそういう世界で淡々と生きる沙名子は本当に強いなあ。私には無理。数字もお金も触るの怖い。
ちらっと出てくる鏡美月さんが主人公のお話が先行してあるのかな? 会社の偉い人とお付き合いしているようなので、そちらのお話もすごく気になる。
会社における人間のずるさや、男女問わずちょっと変だと感じる性格の描き方などがリアルで、胸が痛かったですがとても面白かったです。
隊長、これ左遷って言いませんか?
レストラニクス聖教国神教会聖騎士団の若き騎士であるジークフリートは、ある日、騎士団の上司・サーバルト卿から食事の誘いを受ける。『イイ話』に違いないと思い込んでいたジークフリートは、なんと「カーマリー地方教会特務課」への人事異動を受けてしまう。カーマリーといえばやたらと悪魔や不死の魔物の発生率が高い土地で、その特務課といえばそういった魔物退治などでレストラニクス東方教区一番の殉職率を誇る戦場だった!
しかもサーバルト卿がカーマリー特務課主任に賭けチェスで負けた代償に、若い人員を差し出すという、なんともお粗末な約束が成立し、見事にジークフリートに白羽の矢が立ってしまったのだった…。ああ、哀れや、ジークフリート…。
あまりにもひどい仕打ちに自暴自棄になりつつも、「左遷」を受け入れカーマリーにやってkちあジークフリートは、そこで見慣れない黒い片眼鏡を掛け、背が高く神父でありながら僧服の襟元は大きくはだけている金髪ので長髪の男——特務課主任・オブザーに出会う。(裏表紙より)
内容紹介書くの下手すぎか!? っていうくらい裏表紙に小さくて細い文字でびっしり話の始まりが書かれている。これ頑張ったら削れると思うんだ……。
それはともかく。
上司の賭けチェスにより、凄まじい殉職率を誇るカーマリーに左遷された騎士ジークフリート。もちろんカーマリーにいる聖職者たちは一癖も二癖もある人物で、中でも主任のオブザーは飛び抜けていた。
危険はあるもののお気楽な地方教会の記録かと思いきや、最後の最後にだいぶと心をえぐる展開になり、胸が痛かったです。だってさ、一番最初に挨拶してくれたのブラウンさんじゃん! きついわ……。
どうやらカーマリー(?)を陥れようとしている者たちがいる様子。これ以上犠牲が出ないといいけど、難しかろうなあ……。
本物のシレイネにより(仮)花嫁をクビになったフェルは、故郷に強制送還! のはずが、鬼畜な旦那さまクロウの策略により、召使として黒龍城に引き留められていた。そんなある日、クロウが突然、シレイネは別人じゃないかと疑いだした。焦るフェルをよそに、なんとクロウがシレイネを拷問! 慌てて止めに向かうフェルだったが!? 秘密がついにバレ……る? うっかり婚ラブコメ逆襲の第5弾!(裏表紙より)
シレイネ襲来編がおしまい。てっきりフェルにも事情を明かして協力していくのかと思いきや、あくまですべてを知っているのはフェル以外の人たちらしく。はっきりと妖精が関わっていると書かれていて、とってもファンタジーになってきた。
しかしどんなに姿が変わっても自分を見つけてくれる、というシチュエーションはときめくなあ。シレイネはちゃんと居場所ができてよかったねえ……。悪女然とした彼女が実は自分の居場所を探して不安に怯える恋する乙女だとわかって、なんだかほっこりしてしまった。幸せになってほしい。
巨大生物の存在が示唆される情報に政府が対応を遅らせていく一方、それは蒲田に上陸。被害を受けた日本は対策を講じていくが、様々な要因により東京は壊滅に瀕する。日本はこの危機にどう立ち向かうのか。ゴジラと名付けられた巨大生物は果たして。
「蒲田くん」「内閣総辞職ビーム」「無人在来線爆弾」などネット上では印象的なワードが飛び交っていた印象だったのですが、今回初めてちゃんと見ました。ほとんど会議してるだけなのにめちゃくちゃ面白い!! なんだこれ!!
キャラクターが立っている上にめちゃくちゃリアルで、一人一人にドラマがあるなあと感じさせる台詞回しや表情がすごくいい。ストーリー上容赦ないところも熱いところもあってすごく面白かった。国家の危機に立ち向かう人たちの状況ってこんなんなのかなあと想像させるリアリティが本当にすごいと思う。
怪獣映画としての映像も迫力があってかっこよく、ヤシオリ作戦は熱かった。おお、おお……おおおおおお!! って叫んだ。
たいへん面白かったです。
人口の3%が殺し屋だという街、博多。この街で新入社員として殺し屋になった男の不運から、殺し屋たちが集う。時には戦い、時には復讐し、時には裏切りも……? 殺し屋たちの日常と非日常が入り混じる物語。
原作1巻は読了済。1巻だけかと思ったら複数巻(?)の話が1シーズンに入ってたんですね。
とりあえず林くんが主人公格だというのは把握できました。1巻読んだだけだと群像劇っぽかったんですが、林に焦点が当たると、本当に「人の心を失いかけて、でもなくしたくないと足掻いていた殺し屋少年が、周りに救われる話」だったなあと思いました。幸せになれよほんとに……。馬場さんお願いします……。
少年漫画的な熱さもあって、楽しい作品でした。