読んだ本とか、漫画とか、映画とか、色々
Sound Horizonのアルバム「Elysion 〜楽園幻想物語組曲」の楽曲をノベライズ。いかにして楽園への扉は開かれたのか? 「魔女とラフレンツェ」「エルの肖像」「Ark」「エルの天秤」「Baroque」「エルの絵本」を収録。
SH、Revo陛下のお言葉として、作品に触れた人のそれぞれの解釈を大事にするし、公式はこれが正解ですというものは提示しません、というものがあるのですが、このノベライズもそう。解釈の一種で正解ではありません。
でもすごーくよく出来ているなあと思いました。歌詞からフレーズを引っ張ってきているので頭の中で曲が鳴る。個人的に「魔女とラフレンツェ」のえぐさというか、ラフレンツェはそうなるかーというのがとても面白かったです。
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ある事情で26歳のOL・浅見桐子が身を寄せることになった先は、美人顔の年下幼なじみ・佐倉井真也のもと。そこはアロワナの水槽が鎮座する魚マニアの部屋だった!
しかし真也は、桐子が食卓に出した「食べる魚」は苦手と物申し、桐子は好き嫌いを克服させる事に!
一緒に出かけた水族館、熱帯魚ショップ、展望台。突然始まった同居は、食卓をともに囲むたびに二人の距離を縮めていく。東京での日々を通じて、地元では知らなかった互いの一面を知り——。
アクアリウムと料理が結ぶ、年の差幼なじみの恋物語。(裏表紙より)
「おいしいベランダ。」シリーズのスピンオフ。まもりにかつて恋して玉砕した佐倉井くんが、実はその後恋をしたらしいというのは本編でちらりと触れられていましたが、その恋のお話です。
視点は女性側、幼馴染で年上の「桐姉」こと桐子。とある事情で会社を辞めて東京にきたはいいものの、住んでいた部屋が火災の被害を受けて行き場をなくし、佐倉井くんのところに転がり込むことになってしまったという……家がなくなるとか、家(生活)が脅かされるとか、暮らすって大変だなあと思ってしまった冒頭でした。
アクアリウムという部分が強調されるのかと思いきや、メシウマ小説なのは変わらず、桐子が美味しそうなご飯を作る作る。夜中に読んでいたのですごくはらへりーでした。
年上がヒロインだからか、恋愛も落ち着いていて、でも仕事とか過去の恋とかは結構痛くて、本編シリーズとはまた違った味わいがあってとても面白かったです。
京都の寺町三条商店街にポツリとたたずむ、骨董品店『蔵』。女子高生の真城葵はひょんなことから、そこの店主の息子、家頭清貴と知り合い、アルバイトを始めることになる。清貴は、物腰は柔らかいが恐ろしく勘が鋭く、『寺町のホームズ』と呼ばれていた。葵は清貴とともに、客から持ち込まれる、骨董品にまつわる様々な依頼を受けるが——古都を舞台にした、傑作ライトミステリー!(裏表紙より)
舞台は京都。骨董品店のアルバイト、女子高生の葵と、店主の息子の清貴。京都の街を歩きながら、出会う人たちと小さな謎を解くお話。
とても葵が可愛らしいです。失恋から始まるって、もうここから恋が始まるだろーっていうのが楽しい。清貴のいけずなところが色っぽくてかっこよくて、どきどきします。
京都の有名どころをなんとなく歩いている感じなのも楽しかったです。
寛と康、二国との戦いを強いられることになった小玉。寛の鍛え上げられた軍を相手に、勝機をどう捉えるか……。
そんな小玉のもとに、康の密使がやってくる。密使は親征級の兵力を率いている小玉に、皇帝——つまり文林を倒し、女帝となるよう勧めにきたのだった。
「その者を捕らえよ! わたくしの大義は、大家とわたくしの子らのためにある!」
自分たち夫婦を侮辱する者は許さない。これが、あたしたち夫婦の形だ——。文林の妻として、小玉は激動の戦場を駆ける!(裏表紙より)
戦場に出た小玉。相手の出方を伺い、戦っていたものの、大事な人を失い、自らも負傷し動けなくなってしまう。一方宮城では、司馬淑妃が姦通罪で牢に繋がれる。これに暗躍したのは、彼女の息子で。
この巻のまとめを読む感じだと、もうだいぶと小玉の物語が終わりの方に来ているのかなあと思いました。ここからどんどんいろんな人が脱落するんじゃないだろうかと思うと、怖い。
生島ちほ14歳、今日づけで男子になってしまいました——。同じ中学に通う仲良し女子6人組を襲った、不思議なヤマイ。関節痛のような痛みを伴うそれは、驚きの現象を引き起こすものだったち 親友男子に告白されたあと、男になってしまったちほ、オトナになってしまった咲、そして……犬にまで!? 一方、市内では女子中学生を狙った猟奇殺人事件が起きていて……。この非常事態に、少女たちは!? 予測不能な変身系青春エンタメ!(裏表紙より)
単行本で『14f症候群』として出されたものが、文庫判になる際に加筆修正、改題したもの。女子中学生の非日常で、わーっと突き進む話かと思いきや、想像以上に黒々していておおっ……と圧倒されてしまいました。
男になってしまう「性」大人になってしまう「欲情」犬になってしまう「従順」友人になってしまう「独占」異形が身体に宿ってしまった「死命」。改めて見てみると、各タイトルからして全部不穏だったわ……。
サスペンスでホラーだった「従順」が面白かったです。猟奇殺人事件に関わることになってしまった、志乃の心理状況と話の展開が、ひいーってなる感じで。
虐待、過労死、母子心中、介護殺人、いじめによる自殺……もう、このような事件を起してはいけない。2万体を検死してきた法医学の権威・上野正彦の心の奥深くに刻まれた、涙なしには語れない愛と生と死のドラマが待望の文庫化! 書き下ろし原稿も収録。(裏表紙より)
上野さんが見てきたいくつかの事件と検死。どういう事件なのかざっくり書かれているのですが、やるせないなあと思わせるのはやっぱり子どもが亡くなる事件ですね……。
アメリカには心中という言葉がない? 浸透していない? というのがとても印象的でした。親子心中は、親が子どもの人権を無視していると考えられるので、この場合親の方が一人で死ぬ、というケースになるんですね。いまはその辺り変わっていたりするのかなあ……。
母親と二人暮らしのオーウェンは、同級生たちにいじめられ、孤独な日々を送っていた。ある日夜遅くに男性と少女が引っ越してくるのを見たオーヴェンは、その少女アビーと偶然夜更けに会話をする。彼女は「たぶん12歳くらい」と自らの年齢があやふやで、その過去も謎めいていた。しかし街では不吉な殺人事件が連続していて……。
夜の世界の子どもたち、というフレーズがなんとなく浮かぶ。
ひたすら、寂しい、悲しい、切ない、辛い……という感じで、どこで生きていけばいいんだろうという悲しみがずっとあって、寄り添って生きる者同士の苦しみがなんだか切なくも愛おしく感じられる作品だなあと思いました。
画面が始終薄暗いので、何か起こるぞ、ここには何かいるぞ、と思わせるのがいい。あと水のシーンが印象的。最後にこう持ってくるかあと思いました。闇の世界は彼女の世界なんだよな。だいぶとホラーでしたがざまあと思ってしまいました。
これからどこへ行くのか、途方もない旅が始まるのか……と思うとまた辛い気持ちになるけれど、少しでも二人に安らいだ時間が訪れればいいなあ。
景凡社発行のファッション雑誌「Lassy」の愛者である悦子は、毎年採用試験を受けに来ては不採用にされる名物のような人間。しかし今回は景凡社についに採用! けれども配属先は、地味で目立たず誰からも感謝されないという校閲部。しかし何事も全力で取り組む悦子は、校閲という仕事を通して、出会う人や自分自身をよりよく変えていく。
宮木あや子さんの『校閲ガール』が原作。原作は未読です。
校閲はこんな仕事じゃないよ! という意見も見ましたが、校閲というモチーフを使いつつ、一つの仕事に打ち込むことや地味で目立たないけれど縁の下でその仕事を支えている人たちの存在を、わかりやすくド派手に描いてくれたんだろうなあと思いました。是永是之の新しく書く作品が作り手たちのノンフィクションだっていうのも、それを象徴しているように思います。
何かが好きで、自分でそれを作ろうとして、でも一つの形になるにはたくさんの人の手に支えられて……という当たり前であることがとてもスゴイ! ことなのがわかって、見ていてとても楽しく、嬉しく思いました。
悦子のファッションも個性的で可愛かったですが、怒ったような口調でまくしたてるところがすごく好きで笑 あれだけばしっと言えたら気持ちいいだろうなあ。そのこだわりの強さが仕事の誇りになるんだろうなと思うと羨ましくて憧れます。
恋愛に傾きすぎないお話だったのもよかったなあ。幸人がすごく気が抜けた感じがよかったし、森尾も、セシルちゃんも、それぞれとてもかっこよくて可愛かった。
楽しかったです。