読んだ本とか、漫画とか、映画とか、色々
ニューヨークの下町で靴修理店を営むマックスは、老いた母親と二人暮らし。うだつの上がらない中年男のまま、恋人もおらず、単調な毎日を過ごしていた。ある日代々受け継がれてきた旧式ミシンで靴を修理し、試し履きをしたところ、鏡に映っていたのはその靴の持ち主。魔法のミシンで修理した靴を履けば、その靴の持ち主になれるのだった。マックスはその魔法を使って楽しい毎日を過ごし始めるが……。
現代ものなのにきっちりファンタジーの構成で(魔法がらみでおいしい思いをする→やばい事件に巻き込まれる→その能力を使って人助けをする)とても面白かったです。魔法による悲喜こもごも、コメディとシリアス、善と悪みたいなものがうまく対比されていて飽きなかったなあ。しかしニューヨークの下町という舞台設定だからか、絵柄が地味なのがまた面白い笑
女性が本格的に登場するのが中盤以降からなのですが、ここからまたちょっと色が変わって面白くなったなあ。
ラストで真相が明かされて、最後に先祖代々の秘密を明かされたシーンは、主人公の年齢はちょっと上だけれども正しく父親から子へ受け継がれていくものが存在するファンタジーでした。いい話だった。
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老舗ホテルの一人娘として生まれた「眠り姫」は、経営不振の実家を救うためにお見合いをすることに。「ヘンゼルとグレーテル」は廃屋から届くケーキの注文に戸惑っていた。自分こそが学年一の美少女だと思っている「白雪姫」は、同じくらい美しい無愛想な少女の存在が気になっていて……。誰もが知る“グリム童話”を大胆にアレンジ! 人気作家の作品、全六編を収録。(裏表紙より)
谷瑞恵「なくしものの名前」ルンペルシュティルツヒェン
白川紺子「白雪姫戦争」白雪姫
響野夏菜「二十年」かえるの王様
松田志乃ぶ「のばらノスタルジア」眠り姫
希多美咲「お菓子の家と廃屋の魔女」ヘンゼルとグレーテル
一原みう「A Cinderella Story」シンデレラ
以上六編の短編集です。甘いばかりだけでなく苦い話もぞっとする話もあるけれど、とてもいい短編集だと思いました。
いちばん好きなのは「のばらノスタルジア」。老舗ホテルの一人娘である寧々(通称のばら姫)は、経営破綻しかけているホテルを救うために政略結婚前提のお見合いをする……んですが、経営破綻の理由が飽き性で数字に弱いけれど魅力的な男性である恋多き父親と、未亡人になったことで破格の資産を持ち手腕を振るう黒蜘蛛夫人こと三輪夫人、そして王子様役であるワーカホリック気味の厳つく手厳しいことを言う直人、というキャラクターがすごく面白くて、ふわふわしたお嬢さんである寧々も実は数字に強くて未来の経営者たる才能が眠っている……という「この続きを読みたい!」と思わせる素敵なロマンスだったんですよね。三十歳の直人とまだ十八歳の寧々、このふたりが進展するところはきっともだもだするんだろうなあ! という可愛らしさで、とても好きなお話でした。
今井健人は息を呑む。入学式を終えて教室に入った健人が教室で見つけたのは、小学校で少しの間だけクラスメイトだった、そして健人がいじめてしまっていた少女、明日葉待夢だった。
忘れられない苦い思い出に直面する健人だが、当時からちょっと不思議な――だから浮いてしまっていた待夢と、改めて仲良くなっていく健人。だが、彼女に対する罪悪感は募っていく。
謝るということは、自分が昔いじめていたと知られてしまうこと。その気持ちを抱えたまま、待夢と過ごす日々は甘くて、でもほろ苦くて――。ピュアストーリー、開幕!(裏表紙より)
小学生の頃彼女をいじめていた健人。だが彼女は健人のことを覚えていなかった。彼女をいじめる原因になったのは、突然幼児返りしたり、かと思えば大人びたりする不思議な言動のせいだったのだが、再び彼女と親しくなっていくうちに、健人は彼女の中で何が起こっていたのかを知る。
ピュアラブストーリー、という感じのさっくり読めるかわいらしいお話でした。時間にまつわる不思議がからめられていて少しだけファンタジー。いじわるな人が出てこないので、バカップルなふたりを堪能しました。ちゃんと謝れてよかったねえ。
ついに反政府ゲリラは政府に宣戦布告。國子はブーメランひとつで戦車部隊に立ち向かう。だが地上の森では政府とゲリラの戦争をあざ笑うかのように、想像を超えた進化が始まっていた。究極のエコロジー社会がもたらす脅威とは? 國子たちは生き残れるのか? アトラス計画の真の目的とは? ゲリラ豪雨、石油価格の高騰、CO2の取引など、2004年に既に現在を予言し、SFを現代小説に転換した傑作長編!(解説・筒井康隆)
近未来もので、神話的な物語だったなあ。
アトラスランクが皇位継承権の保有者を示すランクであったことが明かされ、國子たちの出自が明らかになり、など、混迷を極めていく状況で一気にお話が畳まれていくのにおおっと思う。活躍するほとんどが女性で、女性の話だったというのもとても興味深い。
インパクトの強いシーンが多くて、映像化に向いてるなあと思ったので、アニメも是非見て見たい。
加速する地球温暖化を阻止するため、都市を超高層建造物アトラスへ移して地上を森林化する東京。しかし、そこに生まれたのは理想郷ではなかった! CO2を削減するために、世界は炭素経済へ移行。炭素を吸収削減することで利益を生み出すようになった。一方で、森林化により東京は難民が続出。政府に対する不満が噴き出していた。少年院から戻った反政府ゲリラの総統・北条國子は、格差社会の打破のために立ち上がった!(裏表紙より)
超高層建造物が生まれ、階級社会となった東京。反政府ゲリラの総統であり超常的なほどの直感能力を有する國子、アトラスの奥深くに隠され外に出る日を夢見ながら嘘を厭う美邦。二人の少女の道がどこかで交わろうとするお話、という印象の上巻。
いろんな人がいろんな立場でいろんな事情を話すので、頭の中で話を整理するのが大変だ。まだ全然それらしい謎は明らかになっていないので、ここから先どうなっていくんだろう。アトラスランクの血統ってなんなんだろうか。
ファンタジー小説特有のお約束ごとを、英国のファンタジー作家ダイアナ・ウィン・ジョーンズがユーモアたっぷりに解説。「剣」や「指輪」といったおなじみのアイテムから、囚われの身になったときにいつも秘密の抜け道が見つかるのはなぜか、といったファンタジーランドに対する疑問まで、五十音順に紹介します。(カバー折り返しより)
ファンタジー作品のお約束ごとを、五十音順に解説する一冊。
「色彩の法則」とかわかるわかる! あるよねー定番だよねーっていうものが面白おかしく解説されていて、ここが変だよファンタジー、というところもわかり、いたたまれないような笑えるような。王道ファンタジーを書いてみるならこれに即すとそれっぽくできるのかもなあ、などと考えました。
王宮を揺るがす大事件——それは、惚れ薬を飲んだ公爵フィオンが男爵令嬢コレットを見初めてしまったこと!
「僕が君のそばにいることを、どうか許して」
あなたの言葉は薬の効果、それとも本心……?
WEBで累計1290万PVのちょっと変わった溺愛系ラブファンタジー、ついに書籍化!(裏表紙より)
惚れ薬を盛られた王弟殿下、バード公爵フィオン。そんな彼に惚れられてしまった男爵令嬢コレットは、先ごろ結婚するはずだった相手から婚約しない旨を告げられたばかり。果たして惚れ薬をもったのは? フィオンの言葉はどこまで本心か?
地味な性格だけれど心優しいコレットのことを応援したくなります。しかし私はじみーに弟のアンリくんが好きだ!笑 冷静で賢い雰囲気がすごくする。
女の人は怖いよーというラストだったので、コレットは気に入られてよかったね……。しかし親世代が想像以上に根深そうだ。
モンタナの田舎の牧場で暮らす10歳のスピヴェット。家族は生まれるのが百年遅かったカウボーイの父、昆虫学者の母、アイドルを夢見てやかましい姉に、二卵性双生児のレイトン。けれどレイトンは銃の事故で死んでしまった。頭脳明晰で研究熱心なスピヴェットの発明が、ある日優れた発明に贈られるベアード賞を受賞することに。居場所がないと思ったスピヴェットは授賞式に出席するため、ワシントンまでの家出を決意する。
家族の理解を得られない言動をし、独自の世界を生きるスピヴェット。自由に生きているように思えて、ずっと窮屈な思いをしていた彼が、認められた喜びでワシントンへ。10歳の天才というだけで注目を浴びる彼だったけれど、本当の居場所を見つける。
きっかけは弟レイトンの死。このとき本当は何があったか、が大きな鍵を握ります。カウボーイの父親は、天才であるスピヴェットよりも年相応に無邪気なレイトンを愛していると、スピヴェットは思っている。母は昆虫に夢中で、姉はそもそも理解すらしてくれない。けれどそんなばらばらな家族が、やはり家族であった弟の死を同じように悼み悲しんでいることがわかったとき、それぞれの生き方をする家族がひとつであったことに気付く。
心に穴を抱えてしまった少年の大きな冒険、というにはとても小さな、温かみのある世界を描いてくれたなあという印象の作品でした。
大学の卒業式、真面目なエマと自由奔放なデクスターは、その日初めて会ったにも関わらず一夜を共に……しかけたが、何もないまま友人関係を続けていくことになる。エマはそれから恋心を隠し続け、毎年7月15日、エマとデクスターは、ひとりのときもふたりのときも、それぞれの人生を生きていた。
お互いに惹かれ合うものがありながらも、決定的な選択ができない男女が、それぞれに生きながらやがてひとつの答えにたどり着く。ラスト近くなって思わず「嘘だー!!!!」と叫んでしまったよ……ひどいよ……そんなのってないよ……。
とにかくラスト近くなったときの急展開(恋愛ものだとよくあるやつ……)に「嘘だ!!」「ひどい!!」と叫びましたが、23年間の7月15日の物語として、時間の流れが映像から感じ取れてとても面白かったです。精神的に未熟で恋人と別れたり、仕事がうまくいなかったり。貧乏生活をしていたけれど、ある程度の大人になったらそこそこのお家に住んでいることが「へー」と感心した風景でした。この国のサクセスストーリーってこういう風なのが一般的なのかー。
同じ速度で生きられるわけではないけれど、同じ歩幅で進むことができるその瞬間を愛おしみたい。ラストに先へと去っていく過去のエマが印象的で、それを見送るデクスターが切なくもあり愛おしくもありました。
アシュレイが加わったことによって機体強化のきっかけを作れたものの、戦況は圧倒的不利。各々はそれぞれの思いを胸に最後の戦いに臨む。
とってつけたようなスザクとルルーシュの! そういうのは! 本編でやれ!!!
というすごくフェチズムを感じさせる首締めのシーンが最初の方にあって思いっきりツッコんだ。
最終章まで見ましたが、戦闘シーンはすごく迫力があったものの、その分話の筋が少々分かりづらく、キャラクターに感情移入もしづらくて(これは多分いま本編を見ているせいだと思うんですが)、コードギアスの名を冠してはいるもののまったく別のロボットアニメという感じがしました。やっぱりギアスによる陰謀とか策略とかがっつり見たいじゃないですか!
しかしとてもサンライズのロボットアニメという感じがしました。精神体が語りかけてくるところ「キタキタキター!」って思った。
エンディングがめちゃめちゃハッピーエンドでびっくりしました。まるでギアスじゃない……笑 しかしこういう終わりはいいものだ。