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グラン・アーク共和国の聖騎士リランは、聖騎士団の借金の形として仮想敵国・輝陽皇国に置いていかれた。故に豪奢な衣装を着せられ、皇帝・大樹から「君が新しい妃だろうか?」と訊かれた時は秒で「殺ろう」と決意したのだ。だが大樹はリランが聖騎士と知ると、人を喰らう〈屍魔祖〉の斃し方を訊ねてきた。皇国では皇子らを奴の生贄に捧げて安寧を保っていること、大樹もかつて生贄にされかかったことなどを、太陽のような笑顔の彼から聞かされたリランは……? 中華風退魔ラブコメ。(裏表紙より)
こういう展開や登場人物を書きたいと思ったとき、ちゃんと説得力のある設定が必要になるわけですが、和泉さんはその設定の作り方がめちゃくちゃお上手かつ面白くてくせになる。
タイトルからして、傲岸不遜で人間不信気味の皇帝に求婚された西の国の女性騎士が絆されちゃうやつでしょ? と思いがちですが、皇帝は生い立ちや成長過程こそ苦労続きながら、弟属性強めの頑張り屋、理解力高め、不遜な態度とは縁がなく、姉兄仲も良好。グールのせいで統治も後継者問題もめちゃくちゃでにっちもさっちもいかなくなっている状態の国を救うため、その力を持つ騎士リランを頼る、だけのつもりが周りのお膳立てで妃にされてしまうという……中華風後宮ものよりも異文化交流が主題のラブコメ。
そしてやっぱり後半の力技のハッピーエンドが気持ちいい! 皇国を助けるために取った行動や、聖なる武器の正体など、お話が一気に転がって物語のおしまいにたどり着くのが本当に楽しかった!
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19世紀末のロンドン——。ある目的のため、セシルは見習い記者として働いている。令嬢という身分を隠し、性別さえも偽る生活だが、仕事上のパートナーであるジュリアンとの仲はとても良好だ。そんな今、ロンドンの街は“怪盗ブラックバード”の話題で持ちきり! 鮮やかな手口で貴族の邸宅から宝飾品を盗み、黒い羽根を残して消える大怪盗——。ある日、セシルは怪しい新聞広告に目をとめて……!?(裏表紙より)
父の死の真相を突き止めたセシルは、引き続き社交界デビューして結婚するその日まで、新聞記者見習いの少年として働いている。そのパートナーである挿絵画家のジュリアンこそがその結婚相手と知らずに。
ばれる? いつばれる? とどきどきするロマンスがある一方、ヴィクトリア時代を舞台にした謎解きも楽しいシリーズ。新聞広告でここまでたくさんの人と話を描けるなんてすごいなあ。つながっていくところが楽しすぎる。
しかしあとがきよ。「そのとき」にバレるとは限らないって、絶対何かあるじゃん! しかもあんまり嬉しくないやつと一緒に来るんでしょ! 私ならそうする。
責務が重なり、未来の女王レティーツィアは多忙だった。騎士のデュークが仕掛けた悪戯にも気づけないほどに。手痛い助言を受け、レティはいよいよ己の頭脳となる『軍師』役を決める。候補は二人――神出鬼没で謎に包まれた“天才"ゼノンと、没落貴族で出世の見込みもない“凡人"メルディ。ひとまずレティは、メルディのある可能性に着目し、視察に同行させるが……!? 最強女王伝説第10弾!(裏表紙より)
ナイツオブラウンドも8人まで揃い、今回は9人目。軍師をスカウトするのと、もしかしたら最後の一波乱の布石かな? と思われる敵役が登場する第10巻です。
メルディの才能を確認するための話なので、デュークやその他の面々は控えめながら、アストリッドが大活躍。メルディは多分これからレティと同じくらい上手にアストリッドを使うんだろうなあと想像できてしまって笑ってしまった。
しかしここにきて、亡くなった最初の婚約者の事件を掘り返すのか……。何が起こるか怖いけれど、きっちりカタをつけてきてほしい。
「僕と契約をするか」
19世紀フランスの片田舎で、親に捨てられた少女ニニは死にかけていた。そんな時、彼女の前に美しい悪魔が現れる。彼の名はダンタリオン。甘い物が好きで思慮深い、魔獣専門の獣医だった。
ダンタリオンと契約し、魔界で悪魔の使い魔になる——過酷な生活を覚悟したニニだが、思いがけず手厚く庇護され、少しずつ心の凍った部分が溶けはじめ……。
ニニに甘い悪魔ダンタリオンと怠惰な居候悪魔ベルフェゴール、人間ニニと魔獣たちが織りなす、いびつであたたかな主従物語。(裏表紙より)
フランスと魔界とを行き来する悪魔と使い魔となった人間の少女の、擬似家族もの。幻想生物も出るよ!
ぼんやりと視界が薄暗いような冒頭から、ニニが少しずつ従者らしくなくなっていく、というと語弊があるのですが、何を考えてどうしたいか伝えることができるようになって彼女たちがより家族らしくなっていくところがとても温かでよかった。
その分、フランス革命後の、人々の生活の苦しさと犯罪に手を染めなければ生きていけない人たちの描写がきつかったな……。それでも、捨てられて殺されたものとされた子どもが親に対して、私にあなたは必要ないと言い切れたのはだいぶ溜飲が下がりました。
騙されやすい宝石士ティアは、幸せを呼ぶ守護貴石を作る森の魔女と密かに噂されている。そんな彼女の店に、サファイアのように美しい青年ディアマン伯爵が訪れたのだけれど……。問答無用で連れ去られ、なぜか伯爵と結婚することに! そのうえ、王子のために魔女が戴冠式で授ける魔法の王冠を作れと脅されて!? 本物の魔女じゃないのにどうしたらいいの? でも、依頼されたからには、最高の王冠を作ります! 世間知らずな宝石士と怜悧な伯爵の契約結婚ラブファンタジー。(Amazonより)
父母が亡くなり、唯一の家族だった祖母も亡くなって、天涯孤独になった宝石士のティア。隠れ住むようにしながらその腕前は知る人ぞ知るもので、その噂を聞きつけたディアマン伯爵に連れ去られ、新王の王冠を作るためだけに結婚させられてしまう。メルヘンチックだけれど建国や王族、国周りの事情はだいぶとダーク。それがわかる中盤から、国が滅ぶ寸前にまで至る終盤、最後に王冠の魔女から王へと与えられた宝冠の素朴で崇高な美しさに涙が出る、想像以上にロマンティックなファンタジーでどきどきしました!
ティアの言葉や環境は大きく改善には至らなかったけれど、状況を知ったことで二人の距離が縮まるのがよかったなあ。ギルバートは、いきなり豹変したな!? とびっくりしたんですが、自分のせいではない何かに得られるはずのものを奪われた に思うところがあったんだろうな……。
とても可愛らしくてドラマチックなファンタジーで楽しかったです。
同性愛者で恋人がいることを隠して生きている高校生・安藤純はある日クラスメートの三浦紗枝が書店でBL漫画を買っているところを目撃する。BL好きが知られて偏見の目で見られることを恐れる紗枝の懇願を受け入れて秘密を共有する二人。やがて紗枝は純に告白し、二人は付き合うようになるが……。
同性愛者と、BLの周りを描いた作品。偏見とアウティングって、同性愛にもBLにも絡むよなあと思いながら見てました。
BL好きの女子ではないところにしっかり焦点が当たっていて、同性愛者の不倫が物悲しく感じられたり、子どもがほしいと思ったり、そんな人を好きになったヘテロの葛藤だったり、どこかで起こっているであろうことをすごく上手くまとめてあるなあと思いました。
作中では学校でもLGBT教育が始まっていた感じ? でしたが全然行き届いてないみたいでしたね。2023年現在の教育現場ではどうなっているのかなあ。
ある日人には見えないものが見えるようになった女子高生のみこ。もちろん周りには見えていないため、どんなに恐ろしくても耐えるしかない。だが身近な人に害が及びそうになるとそうもいかず……。
突然心霊系のものが見えるようになり、大混乱しながら必死に見えないふりをして日常を守りつつ、見えてしまうゆえに結果的に周りを助けてしまう女子高生のオカルトコメディ……なんですが善いものも悪いものもだいぶ怖い感じに描かれていて、先が気になりすぎて一気見してしまった。
本人的には必死なのに周りから見れば奇行になるのが切ない、かつ怖い。だって誰も助けてくれないってことだもんね!?
しかし一番怖いのは神様だという、だいぶ気になるところで終わってしまい、続きが気になります。
マーベリック事件から一年後。ヒーローを引退した鏑木・T・虎徹とバーナビー・ブルックスJr.だが、かつての1部ではなく2部ヒーローとして相変わらず息が合っているようないないような活躍で街の平和を守っていた。しかし1部に上がりたいという気持ちがくすぶるバーナビーは、新オーナーの提案に乗り、虎徹ではなく新ヒーローのゴールデンライアンと組まされることになってしまい……。
アニメシリーズからの続き。そう、これが見たかった! というやつですね。
引退してもやっぱりヒーロー。たった一年じゃそう変わらないという、達観しているような諦めが早いような虎徹と、まだまだ青すぎるバーナビー。この二人の間に割り込んでくるライアン、という、なんかちょっと痴話喧嘩というかそういうのを見せられている気がちょっとしてしまい笑 多分みんなが虎徹を好きすぎるせい。
Beginningを見た後に見ていたんですが、ワイルドタイガーがみんなをまとめていたんだなあとしみじみ思いました、いろいろな気持ち、名声や、活躍や、復讐といった望みがあってヒーローという仕事をしているわけですが、ワイルドタイガーの根っこにある「ヒーローとは」という気持ちは多分みんな持っているもので、彼がそこにいることで最も大事なものを見失わないで済むからなんじゃないかなあと。
会社や利益が絡むヒーローという仕事の世知辛さを感じる敵と黒幕と事件の顛末でしたが、とても面白かったです。これで第2シーズンを見る準備ができたぞ。
「NEXT」と呼ばれる特殊能力者たちが現れた時代。大都市シュテルンビルドで暮らす能力者たちの中には、スポンサー会社との契約下でヒーロー活動を行い、その活躍を番組として放送することで生計を立てるヒーローなる職業に就く者たちが現れるようになっていた。ベテランながら旬を過ぎたヒーロー、ワイルドタイガーこと鏑木・T・虎徹は、ある日会社からバディヒーローとして売り出すことを命じられ、新人ルーキーのバーナビーと組むことになる。しかしそりが合わない二人はとても相棒らしいとは言えず……。
テレビの最初の話をまとめた劇場版。
虎徹とバーナビーが絆を作っていくまでのお話で、登場する他のヒーローたちもちょっとギスギスしている感じ。ちょっと新鮮。
普通に総集編だと思っていたので、全然知らない話が始まってびっくりしたんですが、再構成の上で劇場版オリジナル要素を入れてあったんですね。さすが、ファンの心を知っている……。ただの総集編じゃ物足りないんですよ本放送を見た勢はね!