読んだ本とか、漫画とか、映画とか、色々
「こらえるのよ、巫女姫なんだから。私の肩には大勢の民の命がかかっている——」水派の巫女姫・玉藻は一族を守るため、敵対する豪族・若武王に嫁ぐことに。幼い頃からたった一人の支えだった兄・岬と離れる悲しみに打ちひしがれながらも、巫女姫の使命を受け入れる。だが婚礼間近の夜、反乱が起こり、玉藻を守った岬は獣と化す邪悪な呪いを受けてしまう。誰も近寄れない岬を救うため、二人きりの逃避行が始まった!(裏表紙より)
古代日本をイメージさせる世界を舞台にした、和風ファンタジーの二作目。前巻がすごくいい雰囲気で好きだと思ったので、二巻も読みました。いやー、癒された。面白かったー。
妹が実兄に思いを寄せている状況から、定番の兄妹の恋の展開を踏むかと思ったんですが、その世界観と舞台と設定がすごく生きていて、いい意味でおっと思うところがたくさんあって楽しかったです。反乱、からの、真相、からの、話が続く感じが、おっ、おっ! と思って。最後まで楽しかった。
前巻の二人も出てくるので、すごく嬉しかったー!! 彼はいい神様になったなあ! 玉藻と岬が辛い状況にあるところに、すごく優しい言葉をかけてくれて、自然と優しくしてくれるので、もうきゅんきゅんが止まりませんでした。悲しいことを知っているひとは強いなあ。その分、伊布夜の意地悪はちょっと……と苦笑いしました。
しかし、前巻最後で思ったんですが、昼女神様は、結構ラフな人ですね!? 太陽を司る神様だから、明るいのは当然だと思うんですが、いささかびっくりしました。でも、好きです、そういう神様。もうちょっとこの方のこと見てみたいなー。
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「おめでとうございます、聖巫女マヤ!」
次々とひれ伏す侍女たちを前に、高校生・内家摩耶は途方に暮れていた。むせかえる草の匂い、不思議な声の鳥たち、そして深い森に抱かれた建造物。ここはマヤ文明の都市国家のひとつ、ヤシャウチェ。飛行機事故から生還したはずの摩耶が目覚めたのは、現代ではありえない場所だった……。
運命の紡ぎ手に選ばれた少女の想いが今、時を越える——!(裏表紙より)
古き良きビーンズ文庫! な話でした。家庭に居場所もなく、たった一人心を許している幼なじみの明寿加とは、メールでやりとりするだけの、摩耶。政治家の父が首相になるという時、摩耶は外国の学校へとやられるが、その飛行機が事故に遭ってしまう。目覚めた摩耶は遥かなときを超え、マヤ文明の都市国家で、巫女として生きている状況にあった。
価値観が全く違う環境で、巫女としての能力が危ぶまれつつも、生きていこうとする摩耶。ざっくりと人が死ぬのと、神と巫女という信仰が色濃いせいで、なんだか血なまぐさい(だがそこがいい!) 一人の女の子が、自分の大事なものを抱えたまま、その時代に生きていくと決めたこと。そして再び巡り会うものがあったのだと思うと、想像が広がるお話でした。
亡命していた門閥貴族派の残党が、帝都オーディンに舞い戻ってきている——ラインハルトの元にもたらされたその報告の裏には、「黒狐」とも呼ばれるフェザーン自治領主ルビンスキーのある策謀が隠されていた。フェザーンと手を組むことに同意したラインハルトは、潜入した貴族たちによる、幼帝の誘拐と同盟領への亡命を黙視。一方の同盟最高評議会は、これになんら疑問を抱かず、政治的なプロパガンダとして利用することに終始する。そして、ラインハルトによる苛烈な宣戦布告が自由惑星同盟にとどいた……。(裏表紙より)
帝国パートがメイン。今度こそ自由惑星同盟攻略を目指すラインハルトは、ついに皇帝を追い出す(と書くと身もふたもないが)ことに成功し、自由惑星同盟はまんまとその策謀に乗ってしまう。一方、ヤンはその思惑を察知しつつも、ユリアンを手放す事態に陥って。
ラインハルト陣営は、舞台か! ってくらいきらきらーっと華やかなんですが、私が好きなのはヤン陣営です。あの生活能力がない人が、いやだいやだって言いながら活躍するのが好き。
失業中サラリーマンの恵太が引っ越した先は、家賃3万3千円の超お得な格安アパート。しかし一日目の夜玄関脇の押入れから「出て」きたのは、自称明治39年生れの14歳、推定身長130cm後半の、かわいらしい女の子だった(表題作「押入れのちよ」)。ままならない世の中で、必死に生きざるをえない人間(と幽霊)の可笑しみや哀しみを見事に描いた、全9夜からなる傑作短編集。(裏表紙より)
最初にくる「お母さまのロシアのスープ」がものすんごい衝撃的だったので、息を吐く。これで終わるのかと思ったら、もう一回転した。すごい。
この人の書く女の人は、ちょっと気色悪い人が多いなーというのと、男の人の悲哀を感じさせつつもちょっと滑稽な立場がうまいな、というのを感じました。
「お母さまのロシアのスープ」と「しんちゃんの自転車」が好きです。
幽霊にまつわるちょっといい話あり、妖怪じみた恐ろしい話あり、と、ぞっとしたりじわっとしたり、いい短編集でした。
幼いころ、記憶をなくして森でさまよっていたところを、王子サミュエルに拾われた少女リル。サミュエルは、そんな彼女を猫として飼い始め、溺愛するようになる。森の奥深く、訪れる者のほとんどいない離宮で、いつしかふたりは互いの身体に溺れるようになるのだが……。リルの過去を知る者の出現で、優しかった王子の様子が豹変し——!?(裏表紙より)
ソーニャ文庫って執着系TLレーベルでしたっけ。それにふさわしい、ダークでエロで、可愛くって可哀想な話でした。こういうエロは好きだ。
女の子を猫として飼う王子様。猫のふりをする女の子。二人だけの閉じられた世界に、国が戦争で負けるであろうという終わりと、女の子の過去を知る者が来訪する。最後まで夢見がちに狂っている、可愛くって可哀想な二人。執着系の名に違わぬ物語で、単純に愛され系じゃなかったのが面白かったです。
アラフォー、負け犬、女子力皆無。趣味は読書で仕事も読書。増え続ける体脂肪と減り続ける貯金に怯え、ひきこもりに拍車がかかる。そんな“だらしな書評家”が、日常の悩みや疑問を、クスリになる本の紹介と共にスッキリ解決! 共感&驚愕たっぷり、迷える女子人生の小さなバイブルになる、痛快エッセイ。〈文庫オリジナル〉(裏表紙より)
「FRaU」2002年3月12日号から2004年7月13日号に連載されていたものを加筆修正したもの。読んでびっくりしました。全然、古くない……。時事ネタはありますが、本の紹介も話題も、読みやすいしするっと入ってきてびっくりしました。
一回に、テーマに沿った三冊の本を紹介するエッセイ。日常の謎小説、青春小説、デブのためのデブ小説など、持ってくるテーマが身近かつ面白い! 紹介される本も、今も手に取りやすい話題の作家さんで(今、そういう書き手さんになっている方ばかりだというのが、すごい)、ああ、これ読んでみたい! と強く思いました。
査問会に出頭を命じられたヤン。その隙をつくようにして、イゼルローン要塞の目前に、巨大な人工球体が出現した。それはラインハルトが跳躍によって送り込んできた帝国軍要塞ガイエスブルクだった。要塞対要塞——壮絶な戦闘は、互いの主砲による攻撃の応酬からはじまった。司令官ヤンの不在を隠し、防御に徹する同盟軍に、ケンプ率いる帝国軍は容赦なく襲いかかる。そして皮肉なことに、帝国軍侵攻の知らせは、査問会の中止をもたらした。解放されたヤンは、帝国軍を撃退すべく、急ぎ戦地へと向かうが……。(裏表紙より)
同盟国パート。この巻ではラインハルトはほぼお休み。ここで話はいったん終わった風で、次なる大きな事件に繋がっていく様子。
ユリアンの才能が後世になんらかの功績を残すらしいことと、結局君たちどうなのという、ヤンとフレデリカが実は周りにもそう思われているらしいことが、癒しでした。結局結婚するのかなーどっちがプロポーズするのかなーということを期待しつつ、続きを読む。
グーテンベルク革命から五世紀。電子の端末が膨大なコンテンツから美しい「ページ」を開くこの時代、あなたにとって「本」とはいったい何か。それはいかに変貌するのか。書店・古書店・図書館・取次・装丁・編集、そして練達の書き手・読み手の位置から、鋭いアンテナの持ち主たちが応える——本の過去と未来を俯瞰する三七のエッセイ。(カバー折り返しより)
電子書籍という形態が読まれるようになって、紙の本はどうなるか、というのをそれぞれの立場から書いたもの。紙の本は滅びる、という人もいれば、紙の本は消えない、という人もいる。
電子書籍では、今どこを読んでいるのか、話が残りどれだけあるのかが分からない、というのになるほどなあ! と思いました。確かの小説なんかは特に、残りのページ数で話の終息地点を想像するよね……。
あと、学生に、雑誌を作りなさいという課題を与えて、グループで作らせたもののことを書いている長谷川一さんという方のエッセイで登場した作品に、おおっと思いました。確かに、新しい形が生まれる可能性もある。未来の子どもたちに、本の絵を描いてみましょうと言ったらどうなるか、ということを冒頭で書いていらして、確かに、電子書籍が一般的になると、みんな端末を描くかもしれない、とどきっとしました。
三十七名の方のエッセイが収録されているのですが、本というものについて、すごく思い入れのある人は、本の力を信じているし、その人たちほど思い入れのない人は情報化社会という観点で見ているという印象でした。私は信じている派なので、書店さんや、古書店さんといった人たちのものを面白く読みました。一番おもしろかったのは、やっぱり出久根達郎さんのかなあ。本にまつわるエッセイ(誰かの話)という、読み物として面白かった。
物語を読むことに無上の喜びを感じる人達は、日本の各地に次々と生まれ、育って来ます。となれば、後から来る方々に、こんな花が咲いている、こんな実が実っていると示すのは、先に歩いた者の務めでしょう——読み巧者・北村薫が選んだ50冊。出会えて良かったと思える本が、必ずあります。有栖川有栖との熱血対談、大野隆司の彩色版画を収録。(裏表紙より)
読売新聞に連載された、ミステリ小説紹介をまとめたものと、その裏側について語ったものと、二本の対談が収録されています。最近ミステリ小説関係を読んでいるのは別に何を書こうと思ったわけではなく、文学評論、児童文学案内以外だと、私が手に取れる範囲なのはあとはミステリくらいである、というだけです……。
やっぱり私は全然読んでないな! と思いました。ポーやクリスティーが挙っているかと思いきや、綾辻行人とか山田風太郎も挙っていて、おお……となる。ますます読みたくなったぞ。折しも、三谷幸喜監督が『オリエント急行殺人事件』をやるようなので、読みどきかなーと思いつつ。