読んだ本とか、漫画とか、映画とか、色々

聖地の地下神殿での試練を乗り越え、宰相だったカノンは王に、巫女〈見習〉だったノトは王巫女となった。シリウス王国に戻った二人は華やかな儀式や舞踏会で迎えられるが、カノンが王となったことに不満を持つ大貴族もいて……。一方ノトは立派な王巫女になろうと頑張るが、相変わらずの不器用ぶりから横柄だと誤解されいじめられてしまう。そんな中、王を狙う陰謀にノトが巻き込まれ……!! カノン、ノトを守れるか!?(裏表紙より)
シリウス王国の王宮に入り、〈聖剣の巫女〉としてカノンの側に立つことになったノト。けれどやっぱり言葉が足りず、周囲から横柄巫女と呼ばれることに。
理解してくれるカノンやその周りの人はたいへんいい人でほっとします。少しずつ理解を示してくれるようになった神殿女官たちや、特にリリィ様がいい味だしてきてますね! これからもどんどん状況を引っ掻き回して、彼女自身も成長してほしいです。
先代、先々代の巫女たちの「王を愛した巫女」の結末にどきりとする。そうか、聖職者だから王と結ばれるわけにはいかないんだな……。ノトとカノンはどういう選択をするんだろう。
そしてこの巻、いい終わり方だったなあ! 感動してぞくっとした。
PR

故郷の富山から上京し、東京で初めて借りた部屋の家賃は二万五千円。あの頃の私は、とてもお人好しで、全く人を疑うことを知らなかった……。引き受けたバイトは表札売り、うぐいす嬢、ホステス、そして謎の「お運びさん」!? 大都市・東京の片隅で、おずおずと、けれど生き生きと花開いた、大学生ムロイの愚かしくも愛しい日々。(裏表紙より)
友人に「おすすめのエッセイってある?」と聞いたら、室井滋さんが面白いよーと言ってもらえたので、やっと読んでみた。
お、おもしろー! 東京に上京した室井さんの、学生生活……とはあんまり関係のない生活の記録。すごいむちゃくちゃなんだけど、あーあるある……みたいに思ってしまうのは、自分にも起こりうることだからだ。日常の方がやっぱりミラクル。面白い人の周りには、面白い人が集まっている。

近未来都市ウィーン——ミリオポリスと呼ばれるその都に、機械化された身体を持ち、治安を司る組織MSSに所属する三人の少女がいた。
「やめて、お願い!」鳳/アゲハ。
「絶対に守るって……」乙/ツバメ。
「みんな死んじゃう!!」雛/ヒビナ。
とある戦犯法廷に立つ被告と七人の証人を保護する任に就いた三人だが、運命は、少女たちに未曾有の嵐をもたらす。
一人ずつ訪れる死。
二人目のリヒャルト・トラクル。
己を進化させる禁断の果実。
それでも、夢を抱いて嵐を飛び越え、蝶は真実の地平に舞い降りる——。
天と地の間に生きる妖精たちの物語!(カバー折り返しより)
オイレンと重なるもう一つの事件。なんだかとってもライトノベル! な、戦う女の子たちの話になっていましたが、状況が進むにつれて鳳が「止めて!」と叫び声をあげる事態になっていくのが辛い……。明るく希望に満ちた展開から、一気に加速する戦いというめまぐるしさが、辛いけれど、本当に面白い!
TRPGが出てくるとは思わなかったけれど、すごいゲーム展開で面白かった……。こんな風に世界が動くのが見えたら、面白いだろうなあ。
そして、冬真どうした!? と目を剥く成長ぶりで、お姉さんびっくりです。いきなり包容力が高まったぞ! このまま折れずにみんなを支えてくれ! というまだまだ予断を許さない展開が続きそうなので、応援する。

空港で旅客機が占拠された。首謀者の男——パトリックを捕らえ空港内留置所に拘束するも、中国服の武装集団に襲撃される。いきがかり上、パトリックと共闘することになる涼月。一方、テロリストが市民200名を人質に、空港の一角を占拠。陽炎も人質となり、両手に爆弾のスイッチを握らされる。テロリストの中には、〈レベル3〉の特甲児童、双子の兄弟の姿もあった……。クールでキュートでグロテスクな“死に至る悪ふざけ”、第4幕!(裏表紙より)
スプライトと重なるというので、どっちを先に読もうかなーと思い、涼月のことをもっと知りたいのでこっちにしました。やっぱり、すげーーーーー面白かったーーーーー!!
グロくてきついしえげつない描写は多いんだけれども、そうじゃないと描けないものがある、というのをひしひし感じて、すっごく楽しんでしまった。
涼月はもちろん、今回陽炎がすごく頑張った! 辛かったけど、頑張った……。ケルベルスの三人は、傷つきやすい女の子たちの集まりだよなあ。かつ、その周りの大人たちの魅力がね! いいよね! 悪い大人のことを、理解して、それを知らないふりをする女の子、でも大人は気付いてるよ! という関係性が、陽炎とミハエルは大変美味しいです。
夕霧の成長も目覚ましく(いや、もともと彼女は誰よりも俯瞰する立場にいることが多いんですが)、徐々に少女から女性になりつつある包容力だなあと思いました。
最後のビデオレターにすごく和みました。

幼い頃、一度会っただけの美しい少年フェリクスに、唯一の財産である壮麗な館と莫大な借金ごと買われることになったグレーテル。「可愛いよ、触られただけでこんなに感じてくれたんだ」再会したその日にベッドに引き込まれ、与えられる優しい愛撫と恋の囁き。豪奢な婚礼の準備に迫われる夢のような日々の中、彼よりも多額な金を積んで館を入手したいという別の男が現れ———!?(裏表紙より)
穏やかな恋のお話。妖精の城と呼ばれる絢爛豪華な『エーヴィヒトラウム』という城に住むグレーテルは、裕福な商人の後継者である年下の少年フェリクスに、城ごと買われてしまう。
そういう城っていうと、城じゃないけどサグラダ・ファミリアを想像したんですが、どうやらもっと迷宮的で箱庭っぽいお城なんだなと思いました。そういうの大好き!
もっとすれ違いやら険悪になるのかと思いきや、グレーテルはずっと寂しそうにしているし、フェリクスは歳の割にはチャーミングで思いやりのある男の子なので、二人が寄り添っていく穏やかさがなんだか心地いい。城に住む女の子の、おとぎ話のような恋のお話だなあと思いました。

「初めて仕事で人を殺したときのこと、覚えてるか?」。国際都市ミリオポリスの治安を守る、警察組織MPBの機械化された3人の少女、涼月・陽炎・夕霧。ある日、涼月は、初出撃時の記憶がないことに、あらためて疑問を抱く。彼女たちは、人殺しでトラウマを背負わぬよう、“人格改変プログラム”を適用されていた。あのとき、本当は何が起こったのか? クールでキュートでグロテスクな“死に至る悪ふざけ”(オイレンシュピーゲル)、核心に迫る第3幕!(裏表紙より)
スプライトより、ちょっと前の時間軸。MPBとMSSが微妙に平行を辿っている感じ。私はこの三人の方が好きなので、楽しかったし、はらはらした。特甲児童の秘密にどんどん近付くところが、ほんっとどきどきするし、続きを読みたい! ってなる。
リヒャルト・トラクルの逮捕の直前、別の特甲児童の存在が明らかになる。また、特甲児童の六人が何故交差しているのかという真実に近付きつつある三巻。
涼月と吹雪のやり取りに、にやにやしたり、はらはらしたり、ぶーって噴いたり。本当は何があったんだろう!? ちょっとずつずれている感じもあって、これからどうなるんだろうと心配になる。
次の巻は二つの作品で交差するんだよな。早く読もう。

大好評のブログ日記『今朝子の晩ごはん』の文庫化第二弾!
のんびり過ごすつもりで、ガラパゴス旅行から帰ってきたら『吉原手引草』で直木賞を受賞! 嵐のような取材と怒涛の出来事が続く、2007年下半期の日々の出来事と「晩ごはん」の記録。 解説/松岡和子
最近物語を読んでいたので、そろそろ人の日記を読みたいと思い。
いろんな人と会い、見たり、感じたりする内容なので、ふむふむと読む。乗馬楽しそうだなーと最近習い事をしてみたい自分は思うのだった。
これを読みながら思い出したのは、確か大学四年生の時に一冊目を読んだことで、卒業論文を何にするかと考えながら読んでいたら、ちょうど悩んでいたうち片方であった方のことがでてきたので、「呼ばれてる!」と思ってそちらを選んだのだった。

二度の結婚に失敗した没落貴族の娘アイナは、今度は「トカゲの王子様」と噂される第二王子のもとへ嫁ぐことに決めた。覚悟を決めて辺境の地へ赴くアイナだったが、妻としてではなく、なんと客人として迎えられてしまう。最初は最惑ったけれど、第二王子エドウィンをはじめ、腹黒執事や怪しげな薬屋のおばばなど、少し変わったメンツに囲まれて、新しい生活を楽しみ始めるアイナ。だが、エドウィンの兄が国王に即位したことで、二人の運命は大きく動き出すことになる——
没落貴族の娘とトカゲの半身を持つ王子が織り成す感動の恋愛ファンタジー!(カバー折り返しより)
ドラゴン! と思って読みました。想像以上に庶民的で、どちらかというとほのぼのしていました。主人公のアイナが、没落貴族といえどごくごく普通の女の子だったのと、ヒーローであるエドウィン王子が、まったく王子らしくない引きこもりだったせいか。トカゲの半身を持つ王子様の趣味が、庭いじりと森の散歩だという!
最初の一話完結っぽい短い話が続いているときは、ほのぼのものなのかと思いながら読んでいたのですが、二人の「子ども」レグザスが出てきた辺りから面白くなってきました。王様に喧嘩売りにいくって、やっぱり面白い! 後半になって急に登場人物がどっと増えたのでもうちょっと長いものを読んでみたい気がしましたが、二人とも幸せそうで何よりでした。

近未来都市ウィーン——ミリオポリスと呼ばれるその都には、たくさんの言語とたくさんの神とたくさんの闘争があって、混沌の中で人々はあがき、生きていた。
機械化された身体を持ち、治安を司る組織MSSに所属する三人の少女がいる。
「死にませんわ、あたくし」鳳/アゲハ。
「坊主じゃねーし」乙/ツバメ。
「ボク、独りはやだ」雛/ヒビナ。
国連ビル内での内務大臣暗殺から始まるテロを前に、少女たちは立ち向かい、立ちすくむ——組織の内部崩壊を目の当たりにして。
互いの絆をもって戦いへと身を投じる少女たちに襲いかかる、大いなる雷鳴。
MSSの長く、熱い二十四時間が今、幕を開ける!!(カバー折り返しより)
書き下ろしじゃないからとっても話がコンパクト、かつ分かりやすかった。骨太な書き下ろしもいいんだけれど、まとまっているのも面白くてすごいなあ。
要人警護の任務に着く妖精たち。国連ビル内で発生した一人の暗殺によって用いられた細菌兵器に立ち向かうMSS。無力なただ人である冬真ががんばる回でもあります。
鳳たちのことを応援する気持ちもあるんですが、冬真の悩みがすごく等身大というか、戦っている人、に向ける思いがすごく身近に感じられて、自分もきっとこういう風に悩むんじゃないか、というものになっている。今度、彼はどんな風に成長しているんだろう。楽しみだ。

サマーアの空を覆う神の呪いは砕け散る。
天空に広がるは深く抜けるような蒼穹。
その中心で輝く黄金の太陽。
人々は驚喜した。
しかし。
夢売りと夜の王の元には、まだ二つの彩輝晶「光輝晶」と「闇輝晶」が残されていた——(裏表紙より)
夢の上、三巻め。本編最終巻。二巻の最後で起こった出来事から、真実へ、そして未来へ続く。
アライスの物語「光輝晶」、ツェドカの物語「闇輝晶」。知りたい! と思っていた二人のことを読むことができて、すごく嬉しかった。そして、いい結末でした。両面になったこの二人の物語で閉じられて、すごくよかった!
二巻から、絶対に幸福な終わりではない、と思ったけれど、やっぱり犠牲はあったけれど。それでも、夢を見た人々がとても綺麗で、苦しくて、胸がいっぱいになりました。
最後の一文に震えました。本当に面白かった! よかったしか言えないけれど、本当によかった。番外編集もぜひ読もう。イズガータやアーディンの話をもっと読みたい!