読んだ本とか、漫画とか、映画とか、色々
お仕事を持つ女性へのインタビュー集。靴職人、ビール職人、染織家、活版技師、女流義太夫三味線、漫画アシスタント、フラワーデザイナー、コーディネーター、動物園飼育係、大学研究員、フィギュア企画開発、現場監督、ウエイトリフティング選手、お土産屋、編集者。以上のお仕事をしている女性たち。
面白かった! 色々あるんだなあ。物作りをしている人もいれば、育てる人、研究する人、運動する人、色々あって、皆さんどうしてその仕事を選んだのかという物語が面白い。全然筋違いのところからやってきた人もいたり、そのために学校に通ったりする人もいたり。
読んでいて噴き出したのは、大学研究員の方へのインタビュー。研究者ならではの呼び方がおかしかった。研究している人のことを「カエルやってるビル」とかいう呼び方をするのは、活字にするとおかしい。
PR
「護衛を探しているんだ。雇われないか」
騎士団を馘首になったばかりの不良騎士グレールを、酒場でスカウトしたのは時空漂着者のサクラ。異界から来たという彼は、その“再活性”能力ゆえ各王宮に知れ渡った存在だった。
快楽の契約を交わし人間の血を啜るヴィアローたち。その美しき種族の王ツバキを追って、サクラはここへ来たというが——。
「……なぁサクラ。再活性者って、なんだ?」(裏表紙より)
異界を行き来する存在があり、ヴィアローと呼ばれる吸血種族が、ミアリーと呼ぶ人間と契約を交わし血をすする、そんな生き物たちがいる物語。あとがきを読んで納得しましたが、原稿依頼が「十五巻くらい出ている話の、間の一巻完結」の話ということで、設定も話も投げっぱなしの、アクションありファンタジー、でした。へ、変な原稿依頼!
ちょっとお耽美なところもあり、でも女性の登場人物がほぼ皆無だったり、刀だったり銃だったり、オーバーザレインボーだったり、ごた混ぜの感じがなんとなく映画っぽくて、不思議な活劇でした。
自分の容姿に自信がもてないミラ、クラスの人気者カオリ、「わたし」というしがらみに悩む秋穂、そして誰とも交わろうとしないシズ。同じ高校の写真部に所属する4人は、性格も、好きなカメラも違うけれど、それぞれのコンプレックスと戦っていた。カメラを構えると忘れられる悩み。しかし、ファインダーを覗く先に不可解な謎が広がっていて……。(帯より)
女子高生とカメラ部とミステリ、と聞いて飛びつきました。ミステリ成分よりも、悩める女子の割合の方が大きかったですが、女子高生の痛々しい「自分」と「他者」という学校社会の話で、刺さる感じがとてもよかったです。
カメラという、解放の手段を持っているせいで、四人は思ったよりものびのびとしているけれど、ふとした時、周囲と自分を比べてしまって卑屈になったり腹が立ったり悲しくなったり、痛い思いをするところがいい。表現の手段を持っている者ならではの、ちょっとした傲慢が出る「コンプレックス・フィルタ」や、たった一つ好きなものを見出してしまった者の「ペンタプリズム・コントラスト」。作り手として共感できる書き込みは薄いかもしれないけれど、ちょっとした謎の部分があったりするところも面白かったです。
「お父さんって子どもの頃どうだったの?」娘・セイコの素朴な疑問に、生きてきた時代を確かめる旅に出た父・カズアキ。「未来」と「幸せ」について考える物語。(裏表紙より)
セイコの祖父母は戦争を体験した世代、曾祖母は第一次世界大戦を知っている。だったらお父さんはどうだったの? おじいちゃんおばあちゃんに比べると、昔話、弱い。
弱い、という言葉がなかなかぐっさり来て、でもなるほどなあ、そういう捉え方も出来るか……と不思議に納得しました。そうして、カズアキさんは昭和という時代を振り返ることになる。
私にとって、昭和という時代は、やっぱり終戦を境にしている。終戦後の日本っていうのははち切れそうだったよなあ、という印象。どんどん経済成長していって、みんなぴかぴかに輝いた顔をしているテレビの映像を思い浮かべる。特に、万博の映像。お金である程度の幸せが買えるような時代だったのかというのを改めて思う。やっぱり、はち切れそうな時代だったんだろう。その裏側に、たくさんの問題を抱えていた。「速さ」というのは善し悪しだ。
自分たちは幸せだったのか。今の私たちは幸せなのか。はっきり言うことはできないけれど、未来を信じるからこそ家族はできるのかな、と思うと、じわっとした。
さらわれた最愛の息子アフレイムを救おうと、カリエはすべてを捨ててザカールへと向かった。だが、彼女を待ち受けていたのは、現長老であるリウジールの悪しき野望だった。彼女を守るはずのラクリゼも死んだと告げられ、屈辱的な仕打ちの数々に絶望の極限へと追い込まれるカリエ。一方、エドとサルベーンはカリエを追いかけてザカールへ乗り込むため、海賊トルハーンの協力をとりつけるが……(カバー折り返しより)
ザカールに囚われ、リウジールから責め苦を受けるカリエ。闇の中で繰り返される暴力に、カリエの心はどんどん死んでいく。やがて、カリエの前に死んでしまった実母、養母、サジェ、イウナが現れ、責める言葉を投げつけていく。
前編、中編に比べて、行間が狭く文字がぎっしり。そしてちょっとだけ本が厚い。
もうどんどん追い込まれて、ずたぼろになって、ここまでヒロインにひどいことばっかり降り掛かるのか! というかなり苦しい巻でした。しかもここで妊娠してしまうのに頭を抱えました。カリエ自身が、あまり実感がないらしいのと、ちゃんと産むと言ったことでちょっと緩和されているけれど、ひどすぎる……。
神に関わる部分がかなり多くなっている巻で、ザカリア女神、タイアス神、オル神が絡み合ってきたのと、人間がそれにかなり深く関わりつつある予感を残し、『喪の女王』へ続く。
薄い壁、漏れ聞こえる生活音、おんぼろの木暮荘に、少しだけ風変わりな住人とその周りの人々がいる。昔の男が突然姿を現した女性、セックスしたいという欲求を抱えた老人、秘密を抱えたトリマー、夫の深夜の不審な行動を見咎める花屋の女主人、住人を覗く男、赤ん坊を預けられた女子大生、かつての恋人を忘れられないカメラマン。連作短編集。
明るい方かなと思っていたら、どっちかというとちょっと変な方向で、暗めの話が多かった。それでもやっぱり妙なおかしみがあって面白いんだけれど、私が今読みたいのはこれではなかったー(『お友だちからお願いします』『本屋さんで待ちあわせ』の流れだったので……)しかし「柱の実り」は好きだった。幸せな結末が見えないけれど、その時々にぎゅうっと幸せな気持ちがするような恋愛ものが好きなのだ……。
最後の「嘘の味」のニジコが誰に繋がるのかなと思ったらそう来たか! というのがおかしかった。小ネタみたいなのだけれど、輪になってたーとちょっと嬉しかった。連作短編のそういうところが好きです。
東京の強豪校からやってきた才能あふれる問題児・灰島、身体能力は抜群なのに性格がヘタレな黒羽、身長163cmの熱血主将・小田、クールで謎多き副将・青木……。目指すは全国。地方弱小チームの闘いが始まる!(帯より)
どこかで心を傷つけてしまった天才と、彼に感化されていく秘められた才能の持ち主、そして彼らの仲間となって全国を目指していく高校生たちの、爽やかな青春小説。面白かった! 面白かった! かけがえのないものを見つけて、人との繋がりに楽しい気持ちを獲得して行く彼らが本当に泣けるほど爽やかでいとおしかった!
天才に引っ張られていく少年が、今度は逆に底から引っ張り上げられる、そういう関係性が熱い! こいつには見捨てられたくない、認められたい、という気持ちって、本当に何よりも強いよなあ。そういう関係があることが、すごく嬉しくて、大切に感じる。
このメインの二人だけではなくて、先輩たちの立ち位置もすごくいい。絶妙に、大人になりつつある青年たちの姿が、かっこいい。
私のお気に入りは棺野くんです! 大事な時に大事なものを間違えずにいられる男の子は最強だと思う。
もっと読んでいたいし、追いかけていたい男の子たちだった。面白かった。
ヨギナ総督をつとめながら、エティカヤ王バルアンの妃として、王子を出産したカリエ。アフレイムと名付けられた王子も元気に育ち、カリエはエティカヤの女性として、これ以上望むべくもない地位に到達していた。だが、久々にカリエと再会したミュカは、その表情に意外な陰りをみとめる。一方、カリエを守ると誓ったラクリゼは、弟の圧倒的な力の前に、かつてない不安を感じていた……。(カバー折り返しより)
まだまだ序の口、という具合の中巻。カリエが決意するまでと、その否応ない運命が大口を開けて彼女を飲み込んでいく。リウジールという最強のクナムが、恐ろしい言動でカリエとラクリゼを翻弄する。これ本当に少女小説かよ! という、えぐい展開にうひょーあひゃーと悲鳴をあげてしまいます。
バルアンが若干小物化しているのは気のせいかなーとか、エドの男っぷりがどうして上がっているんだろう? とか、ミュカとイーダルはどんな駒になって女神の手を示していくんだ? とか、色々あるので続きを読む。